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第57話
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天から降り注ぐ、巨大な刃。
戦艦をも切り裂くというその一撃を、大和は、ただ見上げていた。
彼の目には、焦りも、恐怖もない。あるのは、ただ、面倒くさい、という感情だけだった。
(またか……。なんで、みんなデカいもので殴りたがるんだ……)
ライルの怒号と共に、対艦刀『グラム』が、大和の頭上、数メートルの位置まで迫る。
もはや、回避は不可能。
皇帝も、そして遠くで戦況を見守っていたゼノたちも、誰もが終わりを覚悟した。
その瞬間。
大和は、ゆっくりと、右腕を上げた。
そして、降ってくる巨大な剣の、その側面を、手のひらで、ぽん、と軽く叩いた。
パシン。
あまりにも、軽い音。
だが、その直後。
対艦刀『グラム』は、まるで横から強風に煽られた木の葉のように、その軌道を大きく逸らされた。
「なっ!?」
ライルの意図とは全く違う方向へと流された剣は、皇宮の別の建物の屋根を、あらぬ方向に切り裂きながら、地面に突き刺さる。
ライルは、必死に機体を立て直そうとするが、慣性が殺しきれない。
ナイトメアは、バランスを崩し、不格好に、中央塔の屋上に片膝をつく形で着地した。
目の前に、無防備な大和の姿がある。
ライルは、プライドをズタズタにされながらも、最後の攻撃手段を行使した。
剣を失った右腕を、固く握りしめる。
パンチだ。
『これで、潰れろぉぉっ!』
数十トンの質量を持つ、巨大な鉄の拳が、大和の顔面めがけて、叩き込まれた。
その威力は、先ほどの剣に勝るとも劣らない。
大和は、それを見て、ため息をつきたくなるのを、ぐっとこらえた。
そして、迫りくる鉄の拳を、左手で、ひょいと、いとも簡単に、受け止めた。
ゴッ!
衝撃音が、周囲の空気を震わせる。
しかし、大和の体は、一ミリたりとも、揺らいでいなかった。
ナイトメアの全力のパンチが、彼の、たった片手によって、完全に止められている。
『そ、そんな……。俺の、ナイトメアが……』
コクピットの中で、ライルは、完全に戦意を喪失していた。
目の前で起きていることが、彼の現実認識能力を、遥かに超えていた。
大和は、ナイトメアの拳を掴んだまま、その巨大な顔を見上げた。
そして、空いている右手の、人差し指を立てる。
(うるさいのは、ここか)
彼は、ナイトメアの頭部――ちょうど、コクピットがあるあたりを、狙いを定めて、その立てた人差し指を、弾いた。
デコピンだ。
コンッ。
と、小石が当たったかのような、小さな、小さな音がした。
次の瞬間。
ナイトメアの、分厚い特殊合金でできた、頭部装甲。
それが、まるで卵の殻のように、内側から、粉々に、砕け散った。
バリィィィン!
強化ガラスのキャノピーが、蜘蛛の巣状の亀裂と共に、粉砕される。
剥き出しになったコクピットの中で、ライル・シュナイダーは、白目を剥いて、完全に意識を失っていた。
全ての動力を失ったナイトメアは、ゆっくりと、その場に崩れ落ちていく。
大和は、その巨体が皇帝に当たらないよう、足で軽く蹴って、軌道を逸らしてやった。
こうして、帝国最強の巨大ロボット兵器は、パンチを受け止められ、デコピン一発で、ただの鉄屑と化した。
その、あまりにも現実離れした光景を、遠くの艦隊ブリッジのモニターで見ていたヴァリウス公爵は、持っていたグラスを、握り潰していた。
戦艦をも切り裂くというその一撃を、大和は、ただ見上げていた。
彼の目には、焦りも、恐怖もない。あるのは、ただ、面倒くさい、という感情だけだった。
(またか……。なんで、みんなデカいもので殴りたがるんだ……)
ライルの怒号と共に、対艦刀『グラム』が、大和の頭上、数メートルの位置まで迫る。
もはや、回避は不可能。
皇帝も、そして遠くで戦況を見守っていたゼノたちも、誰もが終わりを覚悟した。
その瞬間。
大和は、ゆっくりと、右腕を上げた。
そして、降ってくる巨大な剣の、その側面を、手のひらで、ぽん、と軽く叩いた。
パシン。
あまりにも、軽い音。
だが、その直後。
対艦刀『グラム』は、まるで横から強風に煽られた木の葉のように、その軌道を大きく逸らされた。
「なっ!?」
ライルの意図とは全く違う方向へと流された剣は、皇宮の別の建物の屋根を、あらぬ方向に切り裂きながら、地面に突き刺さる。
ライルは、必死に機体を立て直そうとするが、慣性が殺しきれない。
ナイトメアは、バランスを崩し、不格好に、中央塔の屋上に片膝をつく形で着地した。
目の前に、無防備な大和の姿がある。
ライルは、プライドをズタズタにされながらも、最後の攻撃手段を行使した。
剣を失った右腕を、固く握りしめる。
パンチだ。
『これで、潰れろぉぉっ!』
数十トンの質量を持つ、巨大な鉄の拳が、大和の顔面めがけて、叩き込まれた。
その威力は、先ほどの剣に勝るとも劣らない。
大和は、それを見て、ため息をつきたくなるのを、ぐっとこらえた。
そして、迫りくる鉄の拳を、左手で、ひょいと、いとも簡単に、受け止めた。
ゴッ!
衝撃音が、周囲の空気を震わせる。
しかし、大和の体は、一ミリたりとも、揺らいでいなかった。
ナイトメアの全力のパンチが、彼の、たった片手によって、完全に止められている。
『そ、そんな……。俺の、ナイトメアが……』
コクピットの中で、ライルは、完全に戦意を喪失していた。
目の前で起きていることが、彼の現実認識能力を、遥かに超えていた。
大和は、ナイトメアの拳を掴んだまま、その巨大な顔を見上げた。
そして、空いている右手の、人差し指を立てる。
(うるさいのは、ここか)
彼は、ナイトメアの頭部――ちょうど、コクピットがあるあたりを、狙いを定めて、その立てた人差し指を、弾いた。
デコピンだ。
コンッ。
と、小石が当たったかのような、小さな、小さな音がした。
次の瞬間。
ナイトメアの、分厚い特殊合金でできた、頭部装甲。
それが、まるで卵の殻のように、内側から、粉々に、砕け散った。
バリィィィン!
強化ガラスのキャノピーが、蜘蛛の巣状の亀裂と共に、粉砕される。
剥き出しになったコクピットの中で、ライル・シュナイダーは、白目を剥いて、完全に意識を失っていた。
全ての動力を失ったナイトメアは、ゆっくりと、その場に崩れ落ちていく。
大和は、その巨体が皇帝に当たらないよう、足で軽く蹴って、軌道を逸らしてやった。
こうして、帝国最強の巨大ロボット兵器は、パンチを受け止められ、デコピン一発で、ただの鉄屑と化した。
その、あまりにも現実離れした光景を、遠くの艦隊ブリッジのモニターで見ていたヴァリウス公爵は、持っていたグラスを、握り潰していた。
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