地球育ちの俺、銀河帝国では『伝説の古代種族』らしい。~拾われた宇宙船で無自覚に無双してたら、皇女様に求婚されました~

夏見ナイ

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第62話

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大地に叩きつけられたラグナロクは、しかし、沈黙しなかった。
その黒い装甲は、今の衝撃ですら、僅かに傷が付いただけ。数千年の時を超えた超技術は、伊達ではなかった。

『……機体損傷、軽微。脅威対象ヤマト、再補足。殲滅プロトコル、フェーズ2に移行』

ラグナロクの巨体が、ぎしりと音を立てながら、起き上がる。
そして、その全身の装甲が、スライドするように展開し始めた。
隠されていた無数の砲門が、一斉に姿を現す。

それは、まさしく、ハリネズミのようだった。
三百六十度、死角なし。全身が、殺戮のための兵器と化している。

『全方位飽和攻撃、開始』

次の瞬間、ラグナロクの全身から、ありとあらゆる種類の弾丸が、嵐のように、大和へと撃ち込まれた。
レーザー、プラズマ、実体弾、ミサイル。
もはや、弾幕と呼ぶのも生易しい、破壊そのものが、空間を埋め尽くす。

「うおっ!?」

さすがの大和も、これには驚いた。
彼は、咄嗟に、その場から大きく跳躍する。
彼がさっきまでいた場所は、一瞬で、クレーターへと変わっていた。

大和は、空中で体勢を整えると、近くの半壊したビルの壁に、音もなく着地した。
まるで、重力を無視しているかのような、身のこなし。

「しつこいな、本当に……」

彼は、壁を蹴り、ビルからビルへと、飛び移っていく。
その動きは、もはや人間の目では追いきれない。
ラグナロクの、無数の砲門が、その動きを追って、火を噴き続ける。

帝都の上空で、壮絶な鬼ごっこが始まった。
一つの黒い影が、縦横無尽に空を駆け、それを、無数の光の筋が、追いかけていく。
その余波だけで、次々とビルが破壊され、大地が抉られていく。

「な、何だ、あれは……」
「神々の、戦いか……?」

地上で、その光景を見ていた人々は、あまりのスケールの大きさに、ただ、呆然とするしかなかった。

大和は、攻撃を避けながら、思考を巡らせていた。
(硬すぎるな、あいつ。まともに殴っても、キリがない。何か、弱点は……)

彼は、ラグナロクの動きを、注意深く観察する。
巨体。圧倒的な火力。鉄壁の防御力。
だが、その動きは、どこか、直線的で、融通が利かないように見えた。
おそらく、プログラムされた動きを、忠実に実行しているだけなのだろう。

ならば。
予測できない動きで、翻弄すればいい。

大和は、不規則なジグザグの軌道で、ラグナロクへと、逆に接近を開始した。
ラグナロクの攻撃は、正確無比だ。だが、それは、予測可能な目標に対してのみ。
大和の、物理法則を無視したような三次元機動は、その照準システムを、完全に混乱させていた。

「よし、懐に入った!」

ついに、大和は、ラグナロクの、巨大な胴体部分へと、張り付くことに成功した。
まるで、巨大なクジラに張り付く、小さなフジツボのように。

『至近距離に、目標を確認。迎撃システム、作動』

ラグナロクの装甲表面から、小型の迎撃用アームが、無数に出現し、大和を捕らえようとする。

だが、大和は、それらを、ひらりひらりとかわしながら、装甲の上を、駆け上がっていった。
まるで、自分の家の、階段でも上るかのように。

そして、彼は、ラグナロクの、巨大な頭部へと、たどり着いた。
そこにある、巨大な、赤い単眼のメインセンサー。
おそらく、ここが、この巨大兵器の、中枢だろう。

大和は、その赤いセンサーを、真正面から見据えた。
そして、彼は、右の拳を、固く、固く、握りしめた。

「これで、終わりにさせてもらうぞ」
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