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第68話
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「怪我……ですと?」
侍医長が、信じられないものを見るような目で、大和に問い返した。
その声は、驚愕のあまり、裏返っている。
「ええ。なんか、体が少しだるいし、包帯も巻かれてるし……。俺、何かありましたっけ?」
大和は、本気で、きょとんとしていた。
ラグナロクとの死闘の記憶は、まだ、夢の中の出来事のように、曖昧だった。
後頭部を殴られた後からの記憶が、どうにも、はっきりしない。
その、あまりにも、無自覚な言葉。
それが、周囲に、どれほどの衝撃を与えたか。
彼は、知る由もなかった。
侍医長は、天を仰いだ。
(この御方は、あの、星をも揺るがす、死闘を……ただの、寝違えか何かと、同じレベルで、認識しておられるのか……!)
エリアーナは、涙を浮かべながらも、その逞しさに、うっとりとしていた。
(ヤマト様……! ご自身の、偉大な御業を、全く、意に介しておられない。なんと、奥ゆかしく、そして、お強い方……!)
ゼノは、感動に、打ち震えていた。
(さすがは、師匠! あの程度の戦い、師にとっては、赤子の手をひねるようなものだったのだ! 我々が、心配することすら、おこがましかった!)
皇帝ガイウスは、静かに、確信していた。
(この男こそ、天が、我らアストレアに、遣わしたもうた、守護神に違いない……!)
全員の、勘違いが、さらなる、高みへと、昇華されていく。
その中心で、大和だけが、状況を、全く、理解できていなかった。
彼は、自分の体に巻かれた、包帯を、ぺりぺりと、剥がし始めた。
「うーん、もう、痒いから、いらないかな、これ」
包帯の下から、現れた肌。
そこには、もはや、火傷の痕跡すら、ほとんど、残っていなかった。
ごく僅かに、皮膚の色が、変わっている程度だ。
「おお……! 驚異的な、回復力……!」
侍医長が、再び、驚愕の声を上げる。
「回復力って……。これくらい、擦り傷みたいなもんですよ。地球じゃ、日常茶飯事です」
その、大和にとっては、何気ない一言。
それが、皇帝ガイウスに、ある、重大な、決意を、固めさせた。
チキュウ。
ヤマト殿の、故郷。
そこは、この程度の、超常的な現象が、「日常茶飯事」である、という、神々の、国。
もし、そのような、規格外の存在が、他にも、いるとしたら。
もし、そのような、星と、正式に、国交を、結ぶことができたなら。
この、アストレア銀河帝国は、未来永劫、安泰ではないか。
皇帝の脳裏に、壮大な、計画が、浮かび上がっていた。
それは、帝国の、総力を挙げて、伝説の星『テラ』――ヤマトの言う、『チキュウ』を、探し出す、という、途方もない、プロジェクトだった。
彼は、まだ、その考えを、口には出さなかった。
だが、その決意は、彼の心に、固く、刻まれた。
その、すぐ隣で。
大和は、ベッドから、ひょいと、降り立つと、屈伸運動を始めていた。
「よし、体も、なまってないな。さてと、腹が減った。何か、食べるもの、ありませんか? できれば、生姜焼きがいいんですけど」
その、あまりにも、マイペースな言動に、その場にいた、帝国の、最高権力者たちは、もはや、返す言葉も、見つからなかった。
侍医長が、信じられないものを見るような目で、大和に問い返した。
その声は、驚愕のあまり、裏返っている。
「ええ。なんか、体が少しだるいし、包帯も巻かれてるし……。俺、何かありましたっけ?」
大和は、本気で、きょとんとしていた。
ラグナロクとの死闘の記憶は、まだ、夢の中の出来事のように、曖昧だった。
後頭部を殴られた後からの記憶が、どうにも、はっきりしない。
その、あまりにも、無自覚な言葉。
それが、周囲に、どれほどの衝撃を与えたか。
彼は、知る由もなかった。
侍医長は、天を仰いだ。
(この御方は、あの、星をも揺るがす、死闘を……ただの、寝違えか何かと、同じレベルで、認識しておられるのか……!)
エリアーナは、涙を浮かべながらも、その逞しさに、うっとりとしていた。
(ヤマト様……! ご自身の、偉大な御業を、全く、意に介しておられない。なんと、奥ゆかしく、そして、お強い方……!)
ゼノは、感動に、打ち震えていた。
(さすがは、師匠! あの程度の戦い、師にとっては、赤子の手をひねるようなものだったのだ! 我々が、心配することすら、おこがましかった!)
皇帝ガイウスは、静かに、確信していた。
(この男こそ、天が、我らアストレアに、遣わしたもうた、守護神に違いない……!)
全員の、勘違いが、さらなる、高みへと、昇華されていく。
その中心で、大和だけが、状況を、全く、理解できていなかった。
彼は、自分の体に巻かれた、包帯を、ぺりぺりと、剥がし始めた。
「うーん、もう、痒いから、いらないかな、これ」
包帯の下から、現れた肌。
そこには、もはや、火傷の痕跡すら、ほとんど、残っていなかった。
ごく僅かに、皮膚の色が、変わっている程度だ。
「おお……! 驚異的な、回復力……!」
侍医長が、再び、驚愕の声を上げる。
「回復力って……。これくらい、擦り傷みたいなもんですよ。地球じゃ、日常茶飯事です」
その、大和にとっては、何気ない一言。
それが、皇帝ガイウスに、ある、重大な、決意を、固めさせた。
チキュウ。
ヤマト殿の、故郷。
そこは、この程度の、超常的な現象が、「日常茶飯事」である、という、神々の、国。
もし、そのような、規格外の存在が、他にも、いるとしたら。
もし、そのような、星と、正式に、国交を、結ぶことができたなら。
この、アストレア銀河帝国は、未来永劫、安泰ではないか。
皇帝の脳裏に、壮大な、計画が、浮かび上がっていた。
それは、帝国の、総力を挙げて、伝説の星『テラ』――ヤマトの言う、『チキュウ』を、探し出す、という、途方もない、プロジェクトだった。
彼は、まだ、その考えを、口には出さなかった。
だが、その決意は、彼の心に、固く、刻まれた。
その、すぐ隣で。
大和は、ベッドから、ひょいと、降り立つと、屈伸運動を始めていた。
「よし、体も、なまってないな。さてと、腹が減った。何か、食べるもの、ありませんか? できれば、生姜焼きがいいんですけど」
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