地球育ちの俺、銀河帝国では『伝説の古代種族』らしい。~拾われた宇宙船で無自覚に無双してたら、皇女様に求婚されました~

夏見ナイ

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第76話

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ヴァリウスが、ただの肉塊となって崩れ落ちた後。
艦長室には、気まずいほどの、静寂が、流れていた。

ゼノも、近衛騎士たちも、目の前で起こった、あまりにも、規格外な、決着の、意味を、まだ、完全には、理解できずにいた。
ただ、分かるのは。
帝国を、未曾有の、危機に、陥れた、全ての、元凶が、今、完全に、沈黙した、ということだけだった。

「……終わった、のか……?」
ゼノが、誰に言うでもなく、呟いた。

その、静寂を、破ったのは、大和だった。
彼は、廃人と化した、ヴァリウスには、一瞥もくれることなく、床に、へたり込んでいた、エリアーナの、前へと、歩み寄った。
そして、その前に、そっと、しゃがみこんだ。

「エリアーナ様。もう、大丈夫ですよ」

その声は、先ほどまでの、氷のような、冷たさが、嘘のように、いつもの、穏やかで、優しい、響きに、戻っていた。
その、声を聞いて、エリアーナは、はっと、我に返った。
彼女の、大きな瞳から、堰を切ったように、涙が、溢れ出した。

「ヤマト様……! よかった……、ご無事で……!」

彼女は、自分が、人質に取られていた、恐怖よりも、目の前の、男の、無事を、心から、喜んでいた。
その、健気な、姿に、大和の、胸が、ちくりと、痛んだ。

彼は、何も言わず、そっと、その、小さな、肩を、抱き寄せた。
それは、彼にとっては、ごく自然な、慰めの、行動だった。

「うわっ……!?」
「し、師匠!?」

だが、その、あまりにも、大胆な、行動に、ゼノと、騎士たちは、驚きの声を上げた。
皇女殿下の、お体に、気安く、触れるなど、帝国では、死罪に、値する、大罪だ。
だが、相手が、師、ヤマトでは、誰も、何も、言えない。

エリアーナは、大和の、腕の中で、最初は、驚きに、体を、硬くしたが、やがて、その、温かく、そして、力強い、胸板に、顔を、うずめた。
そこからは、太陽のような、安心する、匂いがした。
彼女は、子供のように、声を、上げて、泣いた。
今まで、溜め込んできた、恐怖、不安、その全てが、涙となって、溢れ出てくる。

大和は、そんな彼女の、背中を、優しく、ぽんぽん、と、叩いてやった。
まるで、泣きじゃくる、妹を、あやすかのように。

「よしよし。もう、大丈夫。全部、終わりましたから」

その、光景は。
傍から見れば、まさに、英雄に、救われた、姫君、そのものだった。
騎士たちは、その、あまりにも、絵になる、二人の姿を、どこか、感動したような、面持ちで、見守っていた。

こうして、帝国を、震撼させた、クーデターは、完全に、鎮圧された。
そして、囚われの、皇女は、英雄の腕の中に、無事、救出されたのだった。

大和は、ただ、泣きじゃくる、少女を、慰めているだけ。
エリアーナは、ただ、安心感と、募る想いで、胸が、いっぱいなだけ。
その、二人の間に、漂う、甘い空気が、周囲に、さらなる、勘違いを、生んでいることに、彼らは、まだ、気づいていなかった。
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