99 / 100
第99話
しおりを挟む
探査船『シーカー』が、ゆっくりと、浮上を始める。
帝都の、巨大な、宇宙港は、この、歴史的な、船出を、見送るために、集まった、民衆で、埋め尽くされていた。
その数は、百万人を、超えていたかもしれない。
彼らは、色とりどりの、旗を、振り、紙吹雪を、舞わせ、一つの、名を、叫び続けていた。
「「「ヤマト! ヤマト! ヤマト!」」」
その、熱狂的な、声援は、地鳴りとなって、厚い、シールド越しの、ブリッジにまで、届いてくる。
『シーカー』の、メインスクリーンには、その、熱狂の、光景が、映し出されていた。
大和は、その、画面を、見ながら、ただただ、困惑していた。
(なんで、こんなことに……)
俺は、ただ、家に、帰りたいだけ。
なのに、なぜ、こんな、国家的な、イベントに、なってしまっているのか。
彼の、素朴な、疑問に、答えてくれる者は、いない。
「すごい、熱気ですわね」
エリアーナが、嬉しそうに、呟いた。
「当然です。帝国の、未来を、賭けた、船出なのですから」
ゼノが、誇らしげに、胸を、張る。
彼らと、大和との、間には、相変わらず、深くて、広い、認識の、溝が、横たわっていた。
やがて、『シーカー』は、帝都の、大気圏を、離脱し、漆黒の、宇宙空間へと、その姿を、現した。
眼下には、青く、美しく、輝く、首都星アストリアが、見える。
「船長」
ゼノが、再び、声を、かけてきた。
「目標ポイントまでの、ワープ航行の、準備が、整いました。最終的な、ご決断を」
最終的な、ご決断。
またしても、重い、言葉が、大和の、肩に、のしかかる。
目標ポイントとは、大和が、最初に、この宇宙で、発見された、あの、宙域のことだ。
科学技術院が、何か、手がかりが、あるかもしれない、と、予測した、場所。
大和は、星図を、見た。
地球が、どこにあるのか、全く、分からない、広大な、宇宙の、地図。
ため息が、出そうになるのを、ぐっと、こらえる。
もう、こうなったら、ヤケだ。
やるしかない。
彼は、腹を、括った。
そして、できるだけ、船長らしく、見えるように、指で、星図の、一点を、指し示した。
「……よし」
「目標、ポイントX-78。これより、我々は、人類(じんるい)未踏の、領域へと、足を踏み入れる」
「全乗組員に、告ぐ。気を、引き締めて、任務に、あたってほしい」
「……以上だ」
彼が、知っている、SF映画の、キャプテンの、セリフを、適当に、つなぎ合わせただけの、スピーチ。
だが、それを、聞いた、クルーたちの、士気は、最高潮に、達した。
「人類未踏……! なんと、心、躍る、響きか!」
「船長の、お言葉、確かに、拝聴した!」
「この、身、命に、代えても、任務を、完遂する!」
彼らの、目には、炎が、宿っていた。
大和は、「あ、うん、まあ、そこまで、気負わなくても……」と、思ったが、もはや、口には、出さなかった。
「ワープエンジン、起動!」
ゼノが、号令を、かける。
『シーカー』の、船体が、眩い、光に、包まれる。
周囲の、空間が、ぐにゃりと、歪み、星々が、光の、線となって、後方へと、流れていく。
そして、次の瞬間。
船は、凄まじい、加速と共に、亜空間へと、突入した。
広大な、銀河へ。
故郷を、探す、壮大な、旅が、今、始まった。
その、旅路が、さらなる、勘違いと、騒動を、巻き起こす、珍道中と、なることを、まだ、誰も、予測できていなかった。
帝都の、巨大な、宇宙港は、この、歴史的な、船出を、見送るために、集まった、民衆で、埋め尽くされていた。
その数は、百万人を、超えていたかもしれない。
彼らは、色とりどりの、旗を、振り、紙吹雪を、舞わせ、一つの、名を、叫び続けていた。
「「「ヤマト! ヤマト! ヤマト!」」」
その、熱狂的な、声援は、地鳴りとなって、厚い、シールド越しの、ブリッジにまで、届いてくる。
『シーカー』の、メインスクリーンには、その、熱狂の、光景が、映し出されていた。
大和は、その、画面を、見ながら、ただただ、困惑していた。
(なんで、こんなことに……)
俺は、ただ、家に、帰りたいだけ。
なのに、なぜ、こんな、国家的な、イベントに、なってしまっているのか。
彼の、素朴な、疑問に、答えてくれる者は、いない。
「すごい、熱気ですわね」
エリアーナが、嬉しそうに、呟いた。
「当然です。帝国の、未来を、賭けた、船出なのですから」
ゼノが、誇らしげに、胸を、張る。
彼らと、大和との、間には、相変わらず、深くて、広い、認識の、溝が、横たわっていた。
やがて、『シーカー』は、帝都の、大気圏を、離脱し、漆黒の、宇宙空間へと、その姿を、現した。
眼下には、青く、美しく、輝く、首都星アストリアが、見える。
「船長」
ゼノが、再び、声を、かけてきた。
「目標ポイントまでの、ワープ航行の、準備が、整いました。最終的な、ご決断を」
最終的な、ご決断。
またしても、重い、言葉が、大和の、肩に、のしかかる。
目標ポイントとは、大和が、最初に、この宇宙で、発見された、あの、宙域のことだ。
科学技術院が、何か、手がかりが、あるかもしれない、と、予測した、場所。
大和は、星図を、見た。
地球が、どこにあるのか、全く、分からない、広大な、宇宙の、地図。
ため息が、出そうになるのを、ぐっと、こらえる。
もう、こうなったら、ヤケだ。
やるしかない。
彼は、腹を、括った。
そして、できるだけ、船長らしく、見えるように、指で、星図の、一点を、指し示した。
「……よし」
「目標、ポイントX-78。これより、我々は、人類(じんるい)未踏の、領域へと、足を踏み入れる」
「全乗組員に、告ぐ。気を、引き締めて、任務に、あたってほしい」
「……以上だ」
彼が、知っている、SF映画の、キャプテンの、セリフを、適当に、つなぎ合わせただけの、スピーチ。
だが、それを、聞いた、クルーたちの、士気は、最高潮に、達した。
「人類未踏……! なんと、心、躍る、響きか!」
「船長の、お言葉、確かに、拝聴した!」
「この、身、命に、代えても、任務を、完遂する!」
彼らの、目には、炎が、宿っていた。
大和は、「あ、うん、まあ、そこまで、気負わなくても……」と、思ったが、もはや、口には、出さなかった。
「ワープエンジン、起動!」
ゼノが、号令を、かける。
『シーカー』の、船体が、眩い、光に、包まれる。
周囲の、空間が、ぐにゃりと、歪み、星々が、光の、線となって、後方へと、流れていく。
そして、次の瞬間。
船は、凄まじい、加速と共に、亜空間へと、突入した。
広大な、銀河へ。
故郷を、探す、壮大な、旅が、今、始まった。
その、旅路が、さらなる、勘違いと、騒動を、巻き起こす、珍道中と、なることを、まだ、誰も、予測できていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
身寄りのない少女を引き取ったら有能すぎて困る(困らない)
長根 志遥
ファンタジー
命令を受けて自らを暗殺に来た、身寄りのない不思議な少女エミリスを引き取ることにした伯爵家四男のアティアス。
彼女は彼と旅に出るため魔法の練習を始めると、才能を一気に開花させる。
他人と違う容姿と、底なしの胃袋、そして絶大な魔力。メイドだった彼女は家事も万能。
超有能物件に見えて、実は時々へっぽこな彼女は、様々な事件に巻き込まれつつも彼の役に立とうと奮闘する。
そして、伯爵家領地を巡る争いの果てに、彼女は自分が何者なのかを知る――。
◆
「……って、そんなに堅苦しく書いても誰も読んでくれませんよ? アティアス様ー」
「あらすじってそういうもんだろ?」
「ダメです! ここはもっとシンプルに書かないと本編を読んでくれません!」
「じゃあ、エミーならどんな感じで書くんだ?」
「……そうですねぇ。これはアティアス様が私とイチャイチャしながら、事件を強引に力で解決していくってお話ですよ、みなさん」
「ストレートすぎだろ、それ……」
「分かりやすくていいじゃないですかー。不幸な生い立ちの私が幸せになるところを、是非是非読んでみてくださいね(はーと)」
◆HOTランキング最高2位、お気に入り1400↑ ありがとうございます!
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる