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第五十六話 聖なる創造物
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俺の手の中に生まれたのは、後光が差しているかのように眩い光を放つ生命体だった。スライムの不定形な輪郭は残しつつも、その体は半透明の水晶のようにきらめき、内部には純白の光の核が心臓のように脈打っている。
【ホーリー・スライム・アーク】
ランク:ユニーク
スキル:ホーリーライト、ターンアンデッド、リジェネレーションフィールド
ユニークスキル:セイクリッド・ソウル
そのステータスを見た瞬間、俺は勝利を確信した。これはただのホーリー・スライムではない。聖水との融合によって、その存在そのものが聖なる概念へと昇華した、究極の対アンデッド兵器。
「カエデさん! 道を開けてください!」
俺の叫びに、アンデッドの群れの中で孤軍奮闘していたカエデがはっとしたようにこちらを見た。彼女は、俺の手の中にある光の塊を見て何かを察したのだろう。
「承知した!」
彼女は残された力を振り絞り、レイピアに聖なる光を纏わせる。
「我が道を阻むな、亡者ども!」
白銀の閃光が、アンデッドの壁に一筋の道をこじ開けた。
俺は、その道を生まれたばかりのホーリー・スライム・アークと共に駆け抜けた。
「行け!」
俺はアークリッチへと向かって、光の塊を放った。
ホーリー・スライム・アークは矢のように飛翔し、アークリッチが展開する黒い霧の魔法障壁に正面から激突した。
ジュウウウウウッ!
聖なる光と邪悪な闇。相反する二つの力がぶつかり合い、凄まじい音を立てて拮抗する。黒い霧は聖なる光に触れたそばから浄化され、消滅していく。
「なっ……!?」
アークリッチの空ろな眼窩に、初めて動揺の色が浮かんだ。彼の鉄壁の魔法障壁が、いともたやすく破られていく。
障壁を突き破ったホーリー・スライム・アークは、ついにアークリッチの骸骨の体にぴたりと張り付いた。
次の瞬間、アークリッチの全身から黒い煙が、まるで蒸発するかのように噴き出し始めた。
「グ……オオオオオオオ!?」
アークリッチが初めて苦痛の絶叫を上げた。
ホーリー・スライム・アークが持つユニークスキル『セイクリッド・ソウル』。それは、触れたアンデッドの存在そのものを魂のレベルから浄化し、無に帰す究極のアンチ・アンデッド能力だった。
アークリッチは必死にその光の塊を体から引き剥がそうとする。だが、スライムは彼の骨の隙間にまで染み込み、その魂を蝕んでいく。
「今です! マスター!」
ゴブの声が響く。
そうだ。今こそ、とどめを刺す時。
アークリッチがホーリー・スライム・アークとの戦いに気を取られている、この一瞬。
「カエデさん!」
俺の呼びかけに、カエデはすでに動いていた。
彼女はアンデッドの残党を薙ぎ払い、一直線にアークリッチへと肉薄する。
「ゴブ、援護魔法を!」
「はい! 『マジック・ブースト』!」
ゴブの補助魔法がカエデのレイピアに更なる聖なる力を与える。白銀の剣は、もはや太陽のように眩い光を放っていた。
「邪悪なる魂よ、安らかなる眠りへと還れ!」
カエデの凛とした声が闘技場に響き渡る。
彼女は天高く跳躍すると、その光の剣をアークリッチの頭上へと振り下ろした。
スキル『ホーリー・ジャッジメント』。
聖騎士の最強の浄化の剣。
「――ジャッジメント!」
閃光。
世界が白一色に染まった。
聖なる光の奔流が、アークリッチの存在そのものをこの世界から消し去っていく。
彼を縛り付けていた長きにわたる怨念も憎悪も、その全てが光の中へと溶けていくようだった。
「……ありがとう、勇者よ……。これで、ようやく……」
最後にそんな安らかな声が、俺たちの頭の中に微かに響いた気がした。
光が収まった時、そこにはもう何もなかった。
アークリッチも、彼に操られていたアンデッド軍団も跡形もなく消え去っていた。
後に残されたのは、静寂と、闘技場の中央で淡い光を放ちながら静かに浮かぶ一つの小さな石だけだった。
それは、賢者の脳髄を模したかのような複雑な模様を持つ乳白色の宝石。
【賢者の石】
レア度:伝説級
アイテム種別:モンスター素材
効果:万物の根源たる魔力を秘める。あらゆる創造、及び進化の触媒となり、その結果を未知の領域へと引き上げる。
「……やった」
俺は震える手でその石を拾い上げた。
ひんやりとしているのに、どこか温かい。その内部にはこの世界の全ての知識と真理が詰まっているかのような、計り知れないエネルギーが渦巻いていた。
伝説級素材、一つ目。
俺たちは、ついにそれを手にしたのだ。
「……終わったのか」
カエデがレイピアを鞘に収め、その場に膝をついた。彼女の体力はもう限界だった。
「カエデさん!」
リオが慌てて彼女に駆け寄る。
俺はホーリー・スライム・アークに最後の命令を下した。
「スキル、『リジェネレーションフィールド』」
光のスライムは俺の命令に応え、その身から穏やかで温かい光の波動を放出した。
その光が俺たちの体を包み込む。
傷ついたカエデの体がみるみるうちに癒えていく。消耗した俺とゴブの魔力も、急速に回復していく。
俺たちは光の中で、お互いの顔を見合わせた。
そして、誰からともなく笑みがこぼれた。
絶望的だったこの試練。それを俺たちは、またしても乗り越えたのだ。
その時、闘戯場の奥に新たな螺旋階段が光と共に現れた。
最上階へと続く最後の道。
俺たちは互いに肩を貸し合い、ゆっくりとその階段へと向かった。
大賢者の塔の第二の試練、「力」。
俺たちはそれを、俺たちだけの「力」の形で見事に突破してみせたのだった。
【ホーリー・スライム・アーク】
ランク:ユニーク
スキル:ホーリーライト、ターンアンデッド、リジェネレーションフィールド
ユニークスキル:セイクリッド・ソウル
そのステータスを見た瞬間、俺は勝利を確信した。これはただのホーリー・スライムではない。聖水との融合によって、その存在そのものが聖なる概念へと昇華した、究極の対アンデッド兵器。
「カエデさん! 道を開けてください!」
俺の叫びに、アンデッドの群れの中で孤軍奮闘していたカエデがはっとしたようにこちらを見た。彼女は、俺の手の中にある光の塊を見て何かを察したのだろう。
「承知した!」
彼女は残された力を振り絞り、レイピアに聖なる光を纏わせる。
「我が道を阻むな、亡者ども!」
白銀の閃光が、アンデッドの壁に一筋の道をこじ開けた。
俺は、その道を生まれたばかりのホーリー・スライム・アークと共に駆け抜けた。
「行け!」
俺はアークリッチへと向かって、光の塊を放った。
ホーリー・スライム・アークは矢のように飛翔し、アークリッチが展開する黒い霧の魔法障壁に正面から激突した。
ジュウウウウウッ!
聖なる光と邪悪な闇。相反する二つの力がぶつかり合い、凄まじい音を立てて拮抗する。黒い霧は聖なる光に触れたそばから浄化され、消滅していく。
「なっ……!?」
アークリッチの空ろな眼窩に、初めて動揺の色が浮かんだ。彼の鉄壁の魔法障壁が、いともたやすく破られていく。
障壁を突き破ったホーリー・スライム・アークは、ついにアークリッチの骸骨の体にぴたりと張り付いた。
次の瞬間、アークリッチの全身から黒い煙が、まるで蒸発するかのように噴き出し始めた。
「グ……オオオオオオオ!?」
アークリッチが初めて苦痛の絶叫を上げた。
ホーリー・スライム・アークが持つユニークスキル『セイクリッド・ソウル』。それは、触れたアンデッドの存在そのものを魂のレベルから浄化し、無に帰す究極のアンチ・アンデッド能力だった。
アークリッチは必死にその光の塊を体から引き剥がそうとする。だが、スライムは彼の骨の隙間にまで染み込み、その魂を蝕んでいく。
「今です! マスター!」
ゴブの声が響く。
そうだ。今こそ、とどめを刺す時。
アークリッチがホーリー・スライム・アークとの戦いに気を取られている、この一瞬。
「カエデさん!」
俺の呼びかけに、カエデはすでに動いていた。
彼女はアンデッドの残党を薙ぎ払い、一直線にアークリッチへと肉薄する。
「ゴブ、援護魔法を!」
「はい! 『マジック・ブースト』!」
ゴブの補助魔法がカエデのレイピアに更なる聖なる力を与える。白銀の剣は、もはや太陽のように眩い光を放っていた。
「邪悪なる魂よ、安らかなる眠りへと還れ!」
カエデの凛とした声が闘技場に響き渡る。
彼女は天高く跳躍すると、その光の剣をアークリッチの頭上へと振り下ろした。
スキル『ホーリー・ジャッジメント』。
聖騎士の最強の浄化の剣。
「――ジャッジメント!」
閃光。
世界が白一色に染まった。
聖なる光の奔流が、アークリッチの存在そのものをこの世界から消し去っていく。
彼を縛り付けていた長きにわたる怨念も憎悪も、その全てが光の中へと溶けていくようだった。
「……ありがとう、勇者よ……。これで、ようやく……」
最後にそんな安らかな声が、俺たちの頭の中に微かに響いた気がした。
光が収まった時、そこにはもう何もなかった。
アークリッチも、彼に操られていたアンデッド軍団も跡形もなく消え去っていた。
後に残されたのは、静寂と、闘技場の中央で淡い光を放ちながら静かに浮かぶ一つの小さな石だけだった。
それは、賢者の脳髄を模したかのような複雑な模様を持つ乳白色の宝石。
【賢者の石】
レア度:伝説級
アイテム種別:モンスター素材
効果:万物の根源たる魔力を秘める。あらゆる創造、及び進化の触媒となり、その結果を未知の領域へと引き上げる。
「……やった」
俺は震える手でその石を拾い上げた。
ひんやりとしているのに、どこか温かい。その内部にはこの世界の全ての知識と真理が詰まっているかのような、計り知れないエネルギーが渦巻いていた。
伝説級素材、一つ目。
俺たちは、ついにそれを手にしたのだ。
「……終わったのか」
カエデがレイピアを鞘に収め、その場に膝をついた。彼女の体力はもう限界だった。
「カエデさん!」
リオが慌てて彼女に駆け寄る。
俺はホーリー・スライム・アークに最後の命令を下した。
「スキル、『リジェネレーションフィールド』」
光のスライムは俺の命令に応え、その身から穏やかで温かい光の波動を放出した。
その光が俺たちの体を包み込む。
傷ついたカエデの体がみるみるうちに癒えていく。消耗した俺とゴブの魔力も、急速に回復していく。
俺たちは光の中で、お互いの顔を見合わせた。
そして、誰からともなく笑みがこぼれた。
絶望的だったこの試練。それを俺たちは、またしても乗り越えたのだ。
その時、闘戯場の奥に新たな螺旋階段が光と共に現れた。
最上階へと続く最後の道。
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俺たちはそれを、俺たちだけの「力」の形で見事に突破してみせたのだった。
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