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第六十二話 集う者たち
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俺たちの呼びかけは、アステリアの冒険者たちの心を確かに動かした。最初は数人だった参加希望者は、噂が噂を呼び、瞬く間にその数を増やしていった。
「対ドラゴン用の特殊スライムを無償提供だと?」
「ドロップ品の優先交渉権も付くらしいぜ!」
「何より、あのエンシェントドラゴンと戦える機会なんて滅多にない!」
実利を求める者、名声を求める者、そしてただ純粋に強敵との戦いを渇望する者。動機は様々だったが、集まってきたのはいずれも自分の腕に絶対の自信を持つ、アステリア屈指の猛者たちだった。
二日後、俺たちのレイドパーティは総勢四十名を超える大部隊となっていた。
タンク役の重騎士団、ダメージソースとなるアタッカー部隊、回復と補助を担う後衛支援部隊。カエデとリオが中心となり、即席とは思えないほどバランスの取れた組織が編成されていった。
そして、出発前日の夕暮れ。
レイドメンバーが集まる広場に、ひときわ大きな喧騒が巻き起こった。
俺たちがその喧騒の中心に視線を向けると、そこにいたのは俺が忘れもしない、一人の男だった。
燃えるような赤い髪。真紅の竜鱗鎧。そして、その隣に控える圧倒的な存在感を放つワイバーン。
「……ゼノン」
俺は思わずその名を呟いた。
闘技会で、俺に完膚なきまでの敗北を味わわせたアステリア最強のドラゴンテイマー。彼がなぜここに。
ゼノンは野次馬たちを気にも留めず、まっすぐに俺たちの元へと歩いてきた。
その鋭い眼光は、俺を、そして俺の隣に立つゴブを射抜くように見据えている。
「……面白いことを始めたようだな。モンスターメイカー」
彼の声は相変わらず、絶対的な自信に満ちていた。
「エンシェントドラゴン討伐、か。貴様のような紛い物使いが何を成し遂げられるというのか、見届けに来てやった」
その言葉は挑発的だった。だが、不思議と以前のような不快感はなかった。
むしろ、彼のその真っ直ぐな瞳からは、俺たちの挑戦に対する歪んだ形ではあるが、一種の興味のようなものが感じられた。
「ゼノン……! お前も参加するのか!」
集まったレイドメンバーの中から、ゼノンと顔見知りらしいプレイヤーが驚きの声を上げた。
ゼノンはその問いには答えず、ただ俺を見つめ続けていた。
「……もし貴様らが本当にあの古竜を討ち果たしたなら。その時は俺の見る目がなかったと、認めてやらんでもない」
彼は、俺たちの挑戦を試しているのだ。
俺たちが彼の言う「本物の強さ」に、どこまで迫れるのかを。
「……見ていてください」
俺は静かに、しかし力強く答えた。
「俺たちの戦い方が紛い物なんかじゃないってこと、必ず証明してみせますから」
俺の言葉に、ゼノンは初めて、ふっと口の端を吊り上げた。それは嘲笑とは違う、好敵手に対する不敵な笑みのように見えた。
「……フン。威勢だけは一丁前だな」
彼はそれだけ言うと踵を返した。
「せいぜい足掻くがいい」
彼はレイドに参加するとは言わなかった。だが、その場を立ち去ることもしなかった。ただ、少し離れた場所から俺たちの動向を静かに見守り続けるようだった。
彼の登場はレイドメンバーたちに、さらなる熱気と、そして緊張感を与えた。
アステリア最強の男が見守る中で伝説の竜に挑む。これ以上に血が湧き肉躍る舞台はない。
そして、ついに、出発の朝が来た。
俺たち四十数名のレイドパーティはアステリアの東門から、エンシェントドラゴンが巣食うという灼熱の火山地帯へと進軍を開始した。
道中は想像を絶する過酷さだった。地面は黒い火山岩で覆われ、空気は硫黄の匂いで満ちている。時折、地面の亀裂から灼熱の蒸気が噴き出し、冒険者たちの行く手を阻んだ。
だが、俺の創り出した【耐熱スライム】がその威力を発揮した。スライムを体に張り付かせたプレイヤーは、まるでエアコンの効いた部屋にいるかのように灼熱のダメージを完全に無効化することができた。
「すげえ! 本当に熱さを感じねえ!」
「これなら溶岩地帯のど真ん中でも歩けるぜ!」
レイドメンバーたちは俺の創造物の効果に、驚きと称賛の声を上げた。
火山地帯を数時間進むと、ついに目的の場所が見えてきた。
地平線の彼方にそびえ立つ巨大な活火山。その山頂からは黒い煙が天を突くように立ち上っている。
そして、その火口付近には明らかに人工的な建造物――巨大なドーム状の遺跡が存在していた。
あれがエンシェントドラゴンの巣。灼熱の煉獄。
俺たちがそのドームへと近づいた、その時だった。
遠くで俺たちの動向を見守っていたはずのゼノンの姿が動いた。
彼のワイバーン、イグニスが一声高く咆哮を上げると、その巨大な翼を広げ、空へと舞い上がった。
そして、彼は俺たちの頭上を通り過ぎ、誰よりも先にドラゴンの巣へと向かっていく。
「おい、ゼノン! 抜け駆けか!?」
誰かが叫ぶ。
だが、彼の声が風に乗って俺たちの耳に届いた。
「――勘違いするな。俺は貴様らに手を貸すつもりはない。ただ……」
彼は振り返ることなく言った。
「――この俺の獲物である古竜に挑む資格があるか。まずは、その小手調べをさせてもらうだけだ」
彼のワイバーンがドームの入り口を守っていた数十体のサラマンダーの群れに向かって、紅蓮のブレスを吐き出した。
一瞬で、前衛のモンスターたちが焼き尽くされる。
彼は俺たちのために、道を切り開いてくれているのだ。
素直ではない、彼らしいやり方で。
俺は彼の真紅の背中を見つめながら、不敵に笑った。
「……負けてられませんね」
俺は集まった四十人の猛者たちに向かって、声を張り上げた。
「総員、戦闘準備! これより、エンシェントドラゴン討伐作戦を開始する!」
「「「オオオオオオオオッ!」」」
雄叫びが火山地帯に響き渡った。
アステリアに集いし猛者たち。そして、気まぐれな最強のテイマー。
役者は揃った。
M.M.O.の歴史に新たな伝説を刻むための最大の戦いが、今、始まろうとしていた。
「対ドラゴン用の特殊スライムを無償提供だと?」
「ドロップ品の優先交渉権も付くらしいぜ!」
「何より、あのエンシェントドラゴンと戦える機会なんて滅多にない!」
実利を求める者、名声を求める者、そしてただ純粋に強敵との戦いを渇望する者。動機は様々だったが、集まってきたのはいずれも自分の腕に絶対の自信を持つ、アステリア屈指の猛者たちだった。
二日後、俺たちのレイドパーティは総勢四十名を超える大部隊となっていた。
タンク役の重騎士団、ダメージソースとなるアタッカー部隊、回復と補助を担う後衛支援部隊。カエデとリオが中心となり、即席とは思えないほどバランスの取れた組織が編成されていった。
そして、出発前日の夕暮れ。
レイドメンバーが集まる広場に、ひときわ大きな喧騒が巻き起こった。
俺たちがその喧騒の中心に視線を向けると、そこにいたのは俺が忘れもしない、一人の男だった。
燃えるような赤い髪。真紅の竜鱗鎧。そして、その隣に控える圧倒的な存在感を放つワイバーン。
「……ゼノン」
俺は思わずその名を呟いた。
闘技会で、俺に完膚なきまでの敗北を味わわせたアステリア最強のドラゴンテイマー。彼がなぜここに。
ゼノンは野次馬たちを気にも留めず、まっすぐに俺たちの元へと歩いてきた。
その鋭い眼光は、俺を、そして俺の隣に立つゴブを射抜くように見据えている。
「……面白いことを始めたようだな。モンスターメイカー」
彼の声は相変わらず、絶対的な自信に満ちていた。
「エンシェントドラゴン討伐、か。貴様のような紛い物使いが何を成し遂げられるというのか、見届けに来てやった」
その言葉は挑発的だった。だが、不思議と以前のような不快感はなかった。
むしろ、彼のその真っ直ぐな瞳からは、俺たちの挑戦に対する歪んだ形ではあるが、一種の興味のようなものが感じられた。
「ゼノン……! お前も参加するのか!」
集まったレイドメンバーの中から、ゼノンと顔見知りらしいプレイヤーが驚きの声を上げた。
ゼノンはその問いには答えず、ただ俺を見つめ続けていた。
「……もし貴様らが本当にあの古竜を討ち果たしたなら。その時は俺の見る目がなかったと、認めてやらんでもない」
彼は、俺たちの挑戦を試しているのだ。
俺たちが彼の言う「本物の強さ」に、どこまで迫れるのかを。
「……見ていてください」
俺は静かに、しかし力強く答えた。
「俺たちの戦い方が紛い物なんかじゃないってこと、必ず証明してみせますから」
俺の言葉に、ゼノンは初めて、ふっと口の端を吊り上げた。それは嘲笑とは違う、好敵手に対する不敵な笑みのように見えた。
「……フン。威勢だけは一丁前だな」
彼はそれだけ言うと踵を返した。
「せいぜい足掻くがいい」
彼はレイドに参加するとは言わなかった。だが、その場を立ち去ることもしなかった。ただ、少し離れた場所から俺たちの動向を静かに見守り続けるようだった。
彼の登場はレイドメンバーたちに、さらなる熱気と、そして緊張感を与えた。
アステリア最強の男が見守る中で伝説の竜に挑む。これ以上に血が湧き肉躍る舞台はない。
そして、ついに、出発の朝が来た。
俺たち四十数名のレイドパーティはアステリアの東門から、エンシェントドラゴンが巣食うという灼熱の火山地帯へと進軍を開始した。
道中は想像を絶する過酷さだった。地面は黒い火山岩で覆われ、空気は硫黄の匂いで満ちている。時折、地面の亀裂から灼熱の蒸気が噴き出し、冒険者たちの行く手を阻んだ。
だが、俺の創り出した【耐熱スライム】がその威力を発揮した。スライムを体に張り付かせたプレイヤーは、まるでエアコンの効いた部屋にいるかのように灼熱のダメージを完全に無効化することができた。
「すげえ! 本当に熱さを感じねえ!」
「これなら溶岩地帯のど真ん中でも歩けるぜ!」
レイドメンバーたちは俺の創造物の効果に、驚きと称賛の声を上げた。
火山地帯を数時間進むと、ついに目的の場所が見えてきた。
地平線の彼方にそびえ立つ巨大な活火山。その山頂からは黒い煙が天を突くように立ち上っている。
そして、その火口付近には明らかに人工的な建造物――巨大なドーム状の遺跡が存在していた。
あれがエンシェントドラゴンの巣。灼熱の煉獄。
俺たちがそのドームへと近づいた、その時だった。
遠くで俺たちの動向を見守っていたはずのゼノンの姿が動いた。
彼のワイバーン、イグニスが一声高く咆哮を上げると、その巨大な翼を広げ、空へと舞い上がった。
そして、彼は俺たちの頭上を通り過ぎ、誰よりも先にドラゴンの巣へと向かっていく。
「おい、ゼノン! 抜け駆けか!?」
誰かが叫ぶ。
だが、彼の声が風に乗って俺たちの耳に届いた。
「――勘違いするな。俺は貴様らに手を貸すつもりはない。ただ……」
彼は振り返ることなく言った。
「――この俺の獲物である古竜に挑む資格があるか。まずは、その小手調べをさせてもらうだけだ」
彼のワイバーンがドームの入り口を守っていた数十体のサラマンダーの群れに向かって、紅蓮のブレスを吐き出した。
一瞬で、前衛のモンスターたちが焼き尽くされる。
彼は俺たちのために、道を切り開いてくれているのだ。
素直ではない、彼らしいやり方で。
俺は彼の真紅の背中を見つめながら、不敵に笑った。
「……負けてられませんね」
俺は集まった四十人の猛者たちに向かって、声を張り上げた。
「総員、戦闘準備! これより、エンシェントドラゴン討伐作戦を開始する!」
「「「オオオオオオオオッ!」」」
雄叫びが火山地帯に響き渡った。
アステリアに集いし猛者たち。そして、気まぐれな最強のテイマー。
役者は揃った。
M.M.O.の歴史に新たな伝説を刻むための最大の戦いが、今、始まろうとしていた。
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なお、原文を解読して漢字仮名交じり文に書き直されたものは、特に「ひふみ神示」または「一二三神示」と呼ばれています。
縄文人の祝詞に「ひふみ祝詞(のりと)」という祝詞の歌があります。
日月神示はその登場以来、関係者や一部専門家を除きほとんど知られていなかったが、1990年代の初め頃より神典研究家で翻訳家の中矢伸一の著作などにより広く一般にも知られるようになってきたと言われています。
この小説は真実の物語です。
「神典日月神示(しんてんひつきしんじ)真実の物語」
どうぞ、お楽しみ下さい。
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