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第八十話 天空要塞、攻略作戦
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決戦の時は来た。
アビスの隠れ家アジトに、生き残ったフロンティアの全メンバー約三十名が集結していた。その誰もが傷つき、仲間を失った悲しみを胸に抱えていた。だが、その瞳には絶望の色はない。あるのは、これから始まる最後の戦いへの、静かで燃えるような決意だけだった。
「準備はいいな、お前ら」
バルガンが低く、しかし力強い声で問う。
「「「応!!」」」
短い返事が、アジトの壁を震わせた。
リオが、ピエロが遺した奇妙な仮面を祭壇のように設置された台座の上に置いた。
「座標データは入力済み。この仮面を起動させれば、私たちは一気に天空要塞の眼前に跳べるはず。でも、転移先がどうなってるかは分からない。いきなり敵のど真ん中かもしれない。覚悟はいい?」
彼女の問いに沈黙で応えることで、俺たちは覚悟を示した。
リオは頷くと、仮面の額にある宝石にそっと魔力を注ぎ込んだ。
仮面が禍々しい紫色の光を放ち始める。空間がぐにゃりと歪み、俺たちの体を非現実的な浮遊感が包み込んだ。
視界が、一瞬闇に閉ざされる。
そして次に目を開けた時。俺たちは言葉を失っていた。
眼下に広がるのは、どこまでも続く白い雲の海。
そして目の前には、巨大な『それ』がまるで神々の城のように悠然と浮かんでいた。
全長数キロはあろうかという黒鉄の浮遊大陸。その上には無数の尖塔が天を突き、城壁にはおびただしい数の砲門がこちらを睨みつけている。
大陸の中心には、メフィストの玉座があるであろう、ひときわ巨大な漆黒の城がそびえ立っていた。
天空要塞パンデモニウム。
それは個人のギルドが所有する城というよりは、一つの国家が持つ最終兵器のようだった。
「……冗談だろ」
誰かがそう呟いた。
その圧倒的な威容は、俺たちの覚悟を根底から揺るがしかねないほどの絶望的な威圧感を放っていた。
要塞の周囲には、すでに無数の飛行モンスターが警備網を形成していた。ワイバーンの亜種、ガーゴイルの群れ、そして機械仕掛けの飛行兵器。
俺たちが転移してきた座標は幸いにも敵のど真ん中ではなかったが、発見されるのは時間の問題だった。
「怯むな!」
ゼノンが誰よりも早くイグニスの背に跨り、叫んだ。
「相手が城だろうとやることは変わらん!叩き潰す!ただそれだけだ!」
彼の揺るぎない声が、俺たちの恐怖を闘志へと変えていく。
俺は、ロックバードを召喚し、その背にカエデ、リオ、ゴブを乗せた。そして俺たちの最後の切り札、キメラ・ロードもまた、その巨体を空中に浮かばせる。
「作戦を開始する!」
バルガンの号令が、天空に響き渡った。
「航空部隊、前へ!俺たち突入部隊のために道を切り開け!」
「行くぞ、イグニス!」
「ロックバード、続け!」
ゼノンのワイバーンと俺のロックバード。二頭の巨鳥が編隊を組んで、敵の防空網へと突撃していく。俺とゼノンが率いる航空部隊の戦いが始まった。
「キシャアアアア!」
敵のワイバーン亜種が、群れをなして襲いかかってくる。
「雑魚が!」
ゼノンが吐き捨てると、イグニスはその口から扇状に広がる紅蓮のブレスを吐き出した。
最前列にいた敵モンスターが、一瞬で焼き尽くされ黒い煙となって消えていく。
「ユー!右翼の砲台を叩け!」
「了解!」
俺はロックバードを急旋回させ、城壁に設置された魔力砲台へと向かう。砲台から紫色のエネルギー弾が雨のように降り注ぐ。
「ゴブ、魔法障壁!」
「はい、マスター!」
ゴブが展開したシールドがエネルギー弾を防ぐ。その間に俺はロックバードの背中から、特殊なスライムを射出した。
それは金属を腐食させるアシッド・スライムと、内部で膨張する性質を持つブロート・スライムを組み合わせた、対兵器用の新型スライム。
スライムは砲台の装甲に付着すると、その内部へと侵食し瞬く間に膨れ上がった。
ドゴォン!
砲台が、内側から破裂し鉄屑と化す。
「見事だ!」
ゼノンが賞賛の声を上げる。
「だが、数が多い!キリがないぞ!」
彼の言う通り、倒しても倒しても要塞のハッチから次々と新たな敵が湧き出してくる。
俺とゼノンは、背中合わせに空を舞い、互いの死角をカバーしながら戦い続けた。
ゼノンのワイバーンが圧倒的な火力で敵のモンスター部隊を殲滅する。
俺のロックバード部隊(と言っても今は一頭だが)が、その援護を受けながらトリッキーな戦術で要塞の防衛システムを一つ、また一つと破壊していく。
ライバル同士の完璧な共同戦線。
空での激しい戦闘が、数十分は続いただろうか。
俺たちはついに、要塞の外壁にわずかな隙間を作り出すことに成功した。
「今だ!ユー!」
ゼノンの声が響く。
「お前のあの化け物で、奴らの鉄壁をこじ開けろ!」
「承知!」
俺は後方で待機させていたキメラ・ロードに命令を下した。
「行けえええええええ!」
俺の意志に呼応し、伝説の獣王が咆哮を上げた。
三つの頭が、それぞれ異なる属性のエネルギーをその口元に収束させていく。
ドラゴンの『力』、狼の『知恵』、そして鷲の『速さ』。
それらが融合した虹色の破壊光線が、要塞の外壁の一点へと放たれた。
スキル、『トライ・ディザスター』。
閃光。
世界が白に染まる。
要塞の分厚い黒鉄の装甲が、まるでバターのように融解していく。
轟音と共に、外壁に直径数十メートルにも及ぶ巨大な風穴が空いた。
「「「うおおおおおおおおっ!」」」
後方で待機していたバルガン率いる突入部隊が、その突破口を目掛けて一斉に突撃を開始する。彼らはそれぞれが小型の飛行アイテムや飛行魔法を使い、決死の覚悟で要塞内部へと向かっていく。
「俺たちも行くぞ!」
俺は、ロックバードの進路をその風穴へと向けた。
俺たちの本当の戦場は、あの要塞の中にある。
「待っているぞ、メフィスト」
カエデがレイピアを握りしめ、静かに呟いた。
「今度こそ捕まえて、ガノバスの悪行の証拠、全部吐かせてやるんだから!」
リオも商人としての闘志を燃やす。
天空要塞への突入口は開かれた。
だが、その内部にはピエロやギロチンをも上回る、パンデモニウムのさらなる凶悪な幹部たちが俺たちを待ち構えているに違いない。
俺たちの最後の戦いが、今、まさに始まろうとしていた。
俺たちは覚悟を決め、巨大な要塞の暗い内部へとその身を投じていった。
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「準備はいいな、お前ら」
バルガンが低く、しかし力強い声で問う。
「「「応!!」」」
短い返事が、アジトの壁を震わせた。
リオが、ピエロが遺した奇妙な仮面を祭壇のように設置された台座の上に置いた。
「座標データは入力済み。この仮面を起動させれば、私たちは一気に天空要塞の眼前に跳べるはず。でも、転移先がどうなってるかは分からない。いきなり敵のど真ん中かもしれない。覚悟はいい?」
彼女の問いに沈黙で応えることで、俺たちは覚悟を示した。
リオは頷くと、仮面の額にある宝石にそっと魔力を注ぎ込んだ。
仮面が禍々しい紫色の光を放ち始める。空間がぐにゃりと歪み、俺たちの体を非現実的な浮遊感が包み込んだ。
視界が、一瞬闇に閉ざされる。
そして次に目を開けた時。俺たちは言葉を失っていた。
眼下に広がるのは、どこまでも続く白い雲の海。
そして目の前には、巨大な『それ』がまるで神々の城のように悠然と浮かんでいた。
全長数キロはあろうかという黒鉄の浮遊大陸。その上には無数の尖塔が天を突き、城壁にはおびただしい数の砲門がこちらを睨みつけている。
大陸の中心には、メフィストの玉座があるであろう、ひときわ巨大な漆黒の城がそびえ立っていた。
天空要塞パンデモニウム。
それは個人のギルドが所有する城というよりは、一つの国家が持つ最終兵器のようだった。
「……冗談だろ」
誰かがそう呟いた。
その圧倒的な威容は、俺たちの覚悟を根底から揺るがしかねないほどの絶望的な威圧感を放っていた。
要塞の周囲には、すでに無数の飛行モンスターが警備網を形成していた。ワイバーンの亜種、ガーゴイルの群れ、そして機械仕掛けの飛行兵器。
俺たちが転移してきた座標は幸いにも敵のど真ん中ではなかったが、発見されるのは時間の問題だった。
「怯むな!」
ゼノンが誰よりも早くイグニスの背に跨り、叫んだ。
「相手が城だろうとやることは変わらん!叩き潰す!ただそれだけだ!」
彼の揺るぎない声が、俺たちの恐怖を闘志へと変えていく。
俺は、ロックバードを召喚し、その背にカエデ、リオ、ゴブを乗せた。そして俺たちの最後の切り札、キメラ・ロードもまた、その巨体を空中に浮かばせる。
「作戦を開始する!」
バルガンの号令が、天空に響き渡った。
「航空部隊、前へ!俺たち突入部隊のために道を切り開け!」
「行くぞ、イグニス!」
「ロックバード、続け!」
ゼノンのワイバーンと俺のロックバード。二頭の巨鳥が編隊を組んで、敵の防空網へと突撃していく。俺とゼノンが率いる航空部隊の戦いが始まった。
「キシャアアアア!」
敵のワイバーン亜種が、群れをなして襲いかかってくる。
「雑魚が!」
ゼノンが吐き捨てると、イグニスはその口から扇状に広がる紅蓮のブレスを吐き出した。
最前列にいた敵モンスターが、一瞬で焼き尽くされ黒い煙となって消えていく。
「ユー!右翼の砲台を叩け!」
「了解!」
俺はロックバードを急旋回させ、城壁に設置された魔力砲台へと向かう。砲台から紫色のエネルギー弾が雨のように降り注ぐ。
「ゴブ、魔法障壁!」
「はい、マスター!」
ゴブが展開したシールドがエネルギー弾を防ぐ。その間に俺はロックバードの背中から、特殊なスライムを射出した。
それは金属を腐食させるアシッド・スライムと、内部で膨張する性質を持つブロート・スライムを組み合わせた、対兵器用の新型スライム。
スライムは砲台の装甲に付着すると、その内部へと侵食し瞬く間に膨れ上がった。
ドゴォン!
砲台が、内側から破裂し鉄屑と化す。
「見事だ!」
ゼノンが賞賛の声を上げる。
「だが、数が多い!キリがないぞ!」
彼の言う通り、倒しても倒しても要塞のハッチから次々と新たな敵が湧き出してくる。
俺とゼノンは、背中合わせに空を舞い、互いの死角をカバーしながら戦い続けた。
ゼノンのワイバーンが圧倒的な火力で敵のモンスター部隊を殲滅する。
俺のロックバード部隊(と言っても今は一頭だが)が、その援護を受けながらトリッキーな戦術で要塞の防衛システムを一つ、また一つと破壊していく。
ライバル同士の完璧な共同戦線。
空での激しい戦闘が、数十分は続いただろうか。
俺たちはついに、要塞の外壁にわずかな隙間を作り出すことに成功した。
「今だ!ユー!」
ゼノンの声が響く。
「お前のあの化け物で、奴らの鉄壁をこじ開けろ!」
「承知!」
俺は後方で待機させていたキメラ・ロードに命令を下した。
「行けえええええええ!」
俺の意志に呼応し、伝説の獣王が咆哮を上げた。
三つの頭が、それぞれ異なる属性のエネルギーをその口元に収束させていく。
ドラゴンの『力』、狼の『知恵』、そして鷲の『速さ』。
それらが融合した虹色の破壊光線が、要塞の外壁の一点へと放たれた。
スキル、『トライ・ディザスター』。
閃光。
世界が白に染まる。
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轟音と共に、外壁に直径数十メートルにも及ぶ巨大な風穴が空いた。
「「「うおおおおおおおおっ!」」」
後方で待機していたバルガン率いる突入部隊が、その突破口を目掛けて一斉に突撃を開始する。彼らはそれぞれが小型の飛行アイテムや飛行魔法を使い、決死の覚悟で要塞内部へと向かっていく。
「俺たちも行くぞ!」
俺は、ロックバードの進路をその風穴へと向けた。
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