異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯

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追放

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「エドガーよ、貴様は追放とする」
 ストライク五爵家当主からの一言。
 正直言って当たり前か。俺はスキルを与えられなかったからな。

 俺はエドガー・ストライク。このストライク五爵家の三男であった。過去形なのは今まさに貴族ではなくなったからだ。

 昨日の『祝福の儀』にて俺は何のスキルも与えられなかった。
 この世界においてスキルがないというのは生きる才能が無いという事とほぼイコールだ。

「そんな‥‥‥!! ストラゴス様、どうかお慈悲を!!」
 処分に対して納得がいかず、食い下がっている彼女は俺の専属メイドのティナ。
 俺がもっと小さかった頃に助けたのが縁でそれからはずっと俺の世話をしてくれている。
 
 ティナは普通の人ではない。女性で銀の髪、小麦色の肌、そして小さな角。『ノナン族』と呼ばれる種族だ。その見た目からこの王都のスラム街で迫害されていた。俺が貴族ならではの強権を発動して拾い上げた。

 この俺、エドガーは転生者だ。日本人だっただろう記憶は残っているが何処の誰だったのか、詳細は覚えていない。

 よくあるラノベとかでは転生者はチートスキルとかを与えられて、その後はそのスキルをフルで使ったり、工夫したり、裏技を見つけたりするんだろう?

 俺にはその権利がない。
 何故ならスキルが与えられなかったからだ。

 スキルがない世界とかじゃないんだぞ。他の人は【剣帝】だの【◯魔法】だの与えられるのにも関わらず‥‥‥だ。

 そりゃスキル無しなら追放されても仕方ないよな。

「流刑地の村【テオドール】行きの馬車の手配をした。明日の昼出発だ。それまでに準備を整えておけ」
「‥‥‥はい、わかりました」

 元日本人の記憶が目覚めたのは5年前、7歳の時だ。それまでのこのエドガー少年はとても優秀だったようだ。中身が俺になってからは残念ながら評判は失速してしまったようだ。

 どんなスキルを与えられても良いように可能な限りあらゆる知識を身につけた。
 欲を言えばもう少しこの貴族という特権階級でこの世界のことについてもっともっと学びたかった。前世の記憶とリンクしてからは毎日図書館に通っていたけどそれでも足りないと思った。

 だが、仕方ない。スキルを与えられなかった俺が悪いのだ。


「急で大変申し訳ございませんが、本日をもってお暇をいただきたく存じます」
 ティナからの発言。
「ふん、ノナン族のメイドなど我が家に必要ない。置いて貰えるとでも思っていたのか!?」

 ティナが父上に頭を下げてこちらへ来る。
「エドガー様、このティナも共に参ります! 決してエドガー様お一人には致しません」
「わ、わかった。共になってくれて心強いよ、ティナ」
 俺はそう返すのが精一杯だった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 翌朝、俺は準備を整えていつでも出られるようにした。
 ティナは‥‥‥? ちょっと待て。
 何をかき集めてきたんだ? なんだ、その荷物の量は。とても馬車に乗りそうにないだろ。

「‥‥‥もう少し荷物を減らせ、ティナ」
「ダメです! どれも貴重なエドガー様との思い出ですから!!」

 出てくるわ出てくるわ、何だこれ‥‥‥?

「それは助けていただいた時に履いていたエドガー様のお靴‥‥‥。それは初めて添い寝した時のエドガー様の抜け毛‥‥‥。それはエドガー様が‥‥‥」
「うん、ゴミだな。邪魔だから全部捨てようか?」

「ダメですーーー!!!!!」
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