20 / 119
フルルの腕前
しおりを挟む
土地関連で揉めそうな所はまとめてきたし、後は外壁計画はザルトに任せよう。
次は戦略と戦術について詰めていこう。
村長宅に戻って来た。裏庭の射撃場から銃声がする。
「フルルちゃん、すごいわね!!? 百発百中?」
「いえ、ティナさんのご指導の賜物です‥‥‥」
ティナが興奮してフルルを褒めていた。
「銃の扱い方くらいしか教えてないわよ! フルルちゃん、天才よ!!」
ティナが大絶賛している。これも珍しい光景だ。
フルルには小銃を使うように言っておいた。拳銃を撃つには俺と同様に腕力が足りないはず。
小銃なら両手と肩で支える事が出来るし、三脚架みたいので支えても良い。
「‥‥‥当然だ。むしろここからが本番だからな」
「「エドガー様!!」」
ハモってるじゃん。お前ら頭の中一緒か?
「ティナ、お前は家事全般と射撃、格闘に関しては天才だと俺は思っている」
「!? そ、そんな‥‥‥!! 勿体無いお言葉です!」
「だが‥‥‥このフルルは『狙撃』の超天才だと思っている。午後の訓練は俺が見る、二人ともついて来い」
「「は、はいっ!!」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここは丘の上。
本来なら村一番の狩人に貸す予定だった狙撃銃を一挺と専用弾を三発、エドガーはフルルに渡した。
「こ、これは? 長いし重いです‥‥‥」
(腕力ないもんな、仕方ない。でもお前の凄いところを俺はわかるし、知っているぞ)
「これを持って撃つには重いよな。大丈夫、こうして置いてお前はうつ伏せで構えてみて?」
狙撃銃の銃身の持ち手より先に地面に置くための三脚架を置いて固定する。
「この銃の装填数は五発だ。今は三発与える。撃ったらこのボルトを引くと排莢、再装填される、いいな?」
こくんと頷くフルル。
「フルル、お前には誰にも出来ない特別な才能がある。それに風の神に愛され、風の精霊と話せる。お前、風の精霊の力を借りれば遠く離れていても話が聞こえるんだろ?」
「!? 何故それを‥‥‥? !!」
エドガーは少し微笑み、フルルの頭を撫でる。
「これから遠く離れて指示を出す。聞こえたら手を挙げて。それから指示通りにやってみせてくれ」
「‥‥‥はい、わかりました。やってみます」
狙撃銃に付けていたスコープも要らないらしい。これも貴重なので別の人に使わせるようにしよう。エドガーはスコープを外してティナに手渡した。
エドガーは歩いて離れたところでほんの小さな声で本音を呟く。
「フルル、お前には本当に期待してるからな‥‥‥」
フルルは精霊の力で聞こえたので手を挙げた。が、前を向いて歩くエドガーからは見えていなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さぁ、一発目はこれだ。これの中心を狙ってみろ」
エドガーが置いたのは紙に同心円を描いた紙。距離は300メートルは離れている。
そして二人は紙の左右1メートルのところにいた。
先程渡されたスコープで覗いて確認しているティナ。
「右手が挙がりましたね。もぞもぞと動いています」
「来るぞ」
ターン!! バシュッ!!!!
紙の同心円の真ん中を撃ち抜いていた。
「‥‥‥フルルちゃん、ほんとにすごいですね」
「まだまだ‥‥‥すごいのはここからさ」
二人はさらに遠ざかる。次の目標はさらに小さい紙で同心円もさらに小さい。
推定距離は500メートル。
二人も目標から近く左右50センチ以内だ。
「見えるか? いけるか?」
「‥‥‥手が挙がりました、来ますよ」
バシュッ!!!! ‥‥‥ダーン!!
今度も小さい同心円の中心を撃ち抜いている。
「!!!! すごい!!」
「いや、まだいけるはずだ」
さらに二人は遠ざかった。
そして風が少し吹いて来た。
推定距離は1000メートル、声は普通なら当然聞こえない。
「今度はこれだ、やってみろ」
今度の的は手のひらよりも小さい紙。さらに同心円でなく極めて小さな一点。
置けるところが無いのでエドガーが右下端を手で持っている。
横風で目標の紙もたなびいている。
「見えないか? 見えてたら右手を挙げろ」
「‥‥‥右手が挙がってます。が、首を振っていますね。この距離、その紙のサイズではさすがに無理なのでは?」
右手が挙がったので見えてはいる、という事。首を振ったのは無理だ、という意味だろう。
「フルル、聞こえているな。俺はお前なら間違いなく出来ると信じている。見えているのなら出来る。大丈夫だ! お前のエイミングのスキルで俺たちに奇跡を見せてくれ!」
「‥‥‥右手が挙がって構えました、来ます‥‥‥」
バシュッ!!!! ‥‥‥‥‥‥ターン
寸分の狂いなく小さな紙の一点を撃ち抜いた。
「‥‥‥‥‥‥!!」
あまりの出来事に絶句するティナ。
「‥‥‥聞こえるか、フルル。おめでとう、お前はこの世界で初の、そして世界一のスナイパーだ!」
「‥‥‥右手が挙がりました」
次は戦略と戦術について詰めていこう。
村長宅に戻って来た。裏庭の射撃場から銃声がする。
「フルルちゃん、すごいわね!!? 百発百中?」
「いえ、ティナさんのご指導の賜物です‥‥‥」
ティナが興奮してフルルを褒めていた。
「銃の扱い方くらいしか教えてないわよ! フルルちゃん、天才よ!!」
ティナが大絶賛している。これも珍しい光景だ。
フルルには小銃を使うように言っておいた。拳銃を撃つには俺と同様に腕力が足りないはず。
小銃なら両手と肩で支える事が出来るし、三脚架みたいので支えても良い。
「‥‥‥当然だ。むしろここからが本番だからな」
「「エドガー様!!」」
ハモってるじゃん。お前ら頭の中一緒か?
「ティナ、お前は家事全般と射撃、格闘に関しては天才だと俺は思っている」
「!? そ、そんな‥‥‥!! 勿体無いお言葉です!」
「だが‥‥‥このフルルは『狙撃』の超天才だと思っている。午後の訓練は俺が見る、二人ともついて来い」
「「は、はいっ!!」」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ここは丘の上。
本来なら村一番の狩人に貸す予定だった狙撃銃を一挺と専用弾を三発、エドガーはフルルに渡した。
「こ、これは? 長いし重いです‥‥‥」
(腕力ないもんな、仕方ない。でもお前の凄いところを俺はわかるし、知っているぞ)
「これを持って撃つには重いよな。大丈夫、こうして置いてお前はうつ伏せで構えてみて?」
狙撃銃の銃身の持ち手より先に地面に置くための三脚架を置いて固定する。
「この銃の装填数は五発だ。今は三発与える。撃ったらこのボルトを引くと排莢、再装填される、いいな?」
こくんと頷くフルル。
「フルル、お前には誰にも出来ない特別な才能がある。それに風の神に愛され、風の精霊と話せる。お前、風の精霊の力を借りれば遠く離れていても話が聞こえるんだろ?」
「!? 何故それを‥‥‥? !!」
エドガーは少し微笑み、フルルの頭を撫でる。
「これから遠く離れて指示を出す。聞こえたら手を挙げて。それから指示通りにやってみせてくれ」
「‥‥‥はい、わかりました。やってみます」
狙撃銃に付けていたスコープも要らないらしい。これも貴重なので別の人に使わせるようにしよう。エドガーはスコープを外してティナに手渡した。
エドガーは歩いて離れたところでほんの小さな声で本音を呟く。
「フルル、お前には本当に期待してるからな‥‥‥」
フルルは精霊の力で聞こえたので手を挙げた。が、前を向いて歩くエドガーからは見えていなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さぁ、一発目はこれだ。これの中心を狙ってみろ」
エドガーが置いたのは紙に同心円を描いた紙。距離は300メートルは離れている。
そして二人は紙の左右1メートルのところにいた。
先程渡されたスコープで覗いて確認しているティナ。
「右手が挙がりましたね。もぞもぞと動いています」
「来るぞ」
ターン!! バシュッ!!!!
紙の同心円の真ん中を撃ち抜いていた。
「‥‥‥フルルちゃん、ほんとにすごいですね」
「まだまだ‥‥‥すごいのはここからさ」
二人はさらに遠ざかる。次の目標はさらに小さい紙で同心円もさらに小さい。
推定距離は500メートル。
二人も目標から近く左右50センチ以内だ。
「見えるか? いけるか?」
「‥‥‥手が挙がりました、来ますよ」
バシュッ!!!! ‥‥‥ダーン!!
今度も小さい同心円の中心を撃ち抜いている。
「!!!! すごい!!」
「いや、まだいけるはずだ」
さらに二人は遠ざかった。
そして風が少し吹いて来た。
推定距離は1000メートル、声は普通なら当然聞こえない。
「今度はこれだ、やってみろ」
今度の的は手のひらよりも小さい紙。さらに同心円でなく極めて小さな一点。
置けるところが無いのでエドガーが右下端を手で持っている。
横風で目標の紙もたなびいている。
「見えないか? 見えてたら右手を挙げろ」
「‥‥‥右手が挙がってます。が、首を振っていますね。この距離、その紙のサイズではさすがに無理なのでは?」
右手が挙がったので見えてはいる、という事。首を振ったのは無理だ、という意味だろう。
「フルル、聞こえているな。俺はお前なら間違いなく出来ると信じている。見えているのなら出来る。大丈夫だ! お前のエイミングのスキルで俺たちに奇跡を見せてくれ!」
「‥‥‥右手が挙がって構えました、来ます‥‥‥」
バシュッ!!!! ‥‥‥‥‥‥ターン
寸分の狂いなく小さな紙の一点を撃ち抜いた。
「‥‥‥‥‥‥!!」
あまりの出来事に絶句するティナ。
「‥‥‥聞こえるか、フルル。おめでとう、お前はこの世界で初の、そして世界一のスナイパーだ!」
「‥‥‥右手が挙がりました」
88
あなたにおすすめの小説
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる