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酒造り計画始動
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籾摺りと精米については魔法陣で解決しようとエドガーは決めた。ロキソには別のことを頼みたいと思ったからだ。
エドガーは村長に尋ねる。
「この村で一番酒造りが上手い人は誰ですかね?」
「うーん、ブルーですかねぇ。東地区にいますよ」
東地区はメッサーラに行く時に通った。川が流れてて水には困らなそうだし、醸造所、蒸留所を作る場所の候補でもある。
「ちょっと話をしてきますね」
エドガーとティナは馬に乗って出かけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
二人は東地区にやってきた。
(これは葡萄の木かな? 随分とたくさん生えてるな)
エドガーが葡萄の木?を見ていたら村人に話しかけられる。
「これはこれはエドガー様。こちらに何か御用でしょうか?」
「あぁ、こんにちは。ブルーさんを探してまして‥‥‥」
「ブルーは私です。何か?」
話しかけてきた人がブルーさんだった。
「ブルーさんは酒造りが上手いそうですね。この村の酒を名物にしようと思ってまして。大きく醸造所を作ろうと思うのですがやってみませんか?」
「? それは専門家としてやれって事でしょうか?」
「そうです! 村としての事業なので村から給料も支払われますよ」
「ふむ‥‥‥やってもいいが一つ条件があります」
「はい、なんでしょう?」
「この前の戦いで手を負傷しました。魔法薬が有れば治るそうなのです。金を貯めて買うつもりです、それまでお待ちいただけますか?」
なんだ、そんなことか、とエドガーは鞄からポーションを取り出す。
「コレを使って治してください。酒造りはなるべく早く取り掛かりたいのです」
「えっ!? コレは!?」
「俺の作ったポーションです。お金は結構です」
「えっ! そ、そんな‥‥‥。ありがとうございます、一所懸命に頑張ります!」
ブルーのスキルは『醸造』 農作業に関してはあまり上手く無かったが酒造りは妙に上手かった。
この村では農作業こそがメインで酒造りは農業の合間に行う言わば遊びに近いものだった。自分たちで消費するだけなのだから出来が良くて褒められてもそれで特別評価される事はなかったのだ。
好きで楽しくて上手く出来る酒造りを専門にやらせてもらえる‥‥‥こんなにありがたい事はない。と、ブルーは思った。
「さて、じゃあ具体的に話をしていきましょう。ブルーさんはワインとビール、ゆくゆくはオリザという穀物からも酒を作ってもらいたいです」
「好きな酒造りだけをして生活出来るならそんなありがたい話はありません。是非やらせてください!!」
醸造所はこの東地区と中央の中間の位置に建てる事にした。もちろんザルトによる建築魔法で。夏にはビールを仕込み、秋にはワインを仕込む予定だ。
今年の秋の分のワインは仕込み済みらしい。逆にちょうど良い。
「ではブルーさん、さっそく新しい酒造りをやってみませんか?」
「え‥‥‥、これから真冬になるんですけど。冬に採れる作物なんてあるんですか?」
「いや、さっきも言ったこのオリザっていう穀物が原料なんですけどね。もう一つの原料はオリザを買った時についてきたこれです」
オリザ米を購入した時に紛れて入っていたものが『稲霊(いなだま)』と呼ばれるものだ。
自然栽培していると稲穂につくものだ。
そして日本酒作りに最も必要としているもの。
麹菌。この麹菌(酵母)が日本酒、甘酒、米酢、醤油や味噌まで作ってくれる元日本人からすればありがた過ぎるカビ菌の一種だ。
「この麹菌を培養‥‥‥増やしていけばいろいろと作れるはずなんです。やり方はわかるんですがなにぶん不器用なので‥‥‥」
「エドガー様がそうおっしゃるならやってみましょう。いろいろご指示ください」
エドガーは村長に尋ねる。
「この村で一番酒造りが上手い人は誰ですかね?」
「うーん、ブルーですかねぇ。東地区にいますよ」
東地区はメッサーラに行く時に通った。川が流れてて水には困らなそうだし、醸造所、蒸留所を作る場所の候補でもある。
「ちょっと話をしてきますね」
エドガーとティナは馬に乗って出かけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
二人は東地区にやってきた。
(これは葡萄の木かな? 随分とたくさん生えてるな)
エドガーが葡萄の木?を見ていたら村人に話しかけられる。
「これはこれはエドガー様。こちらに何か御用でしょうか?」
「あぁ、こんにちは。ブルーさんを探してまして‥‥‥」
「ブルーは私です。何か?」
話しかけてきた人がブルーさんだった。
「ブルーさんは酒造りが上手いそうですね。この村の酒を名物にしようと思ってまして。大きく醸造所を作ろうと思うのですがやってみませんか?」
「? それは専門家としてやれって事でしょうか?」
「そうです! 村としての事業なので村から給料も支払われますよ」
「ふむ‥‥‥やってもいいが一つ条件があります」
「はい、なんでしょう?」
「この前の戦いで手を負傷しました。魔法薬が有れば治るそうなのです。金を貯めて買うつもりです、それまでお待ちいただけますか?」
なんだ、そんなことか、とエドガーは鞄からポーションを取り出す。
「コレを使って治してください。酒造りはなるべく早く取り掛かりたいのです」
「えっ!? コレは!?」
「俺の作ったポーションです。お金は結構です」
「えっ! そ、そんな‥‥‥。ありがとうございます、一所懸命に頑張ります!」
ブルーのスキルは『醸造』 農作業に関してはあまり上手く無かったが酒造りは妙に上手かった。
この村では農作業こそがメインで酒造りは農業の合間に行う言わば遊びに近いものだった。自分たちで消費するだけなのだから出来が良くて褒められてもそれで特別評価される事はなかったのだ。
好きで楽しくて上手く出来る酒造りを専門にやらせてもらえる‥‥‥こんなにありがたい事はない。と、ブルーは思った。
「さて、じゃあ具体的に話をしていきましょう。ブルーさんはワインとビール、ゆくゆくはオリザという穀物からも酒を作ってもらいたいです」
「好きな酒造りだけをして生活出来るならそんなありがたい話はありません。是非やらせてください!!」
醸造所はこの東地区と中央の中間の位置に建てる事にした。もちろんザルトによる建築魔法で。夏にはビールを仕込み、秋にはワインを仕込む予定だ。
今年の秋の分のワインは仕込み済みらしい。逆にちょうど良い。
「ではブルーさん、さっそく新しい酒造りをやってみませんか?」
「え‥‥‥、これから真冬になるんですけど。冬に採れる作物なんてあるんですか?」
「いや、さっきも言ったこのオリザっていう穀物が原料なんですけどね。もう一つの原料はオリザを買った時についてきたこれです」
オリザ米を購入した時に紛れて入っていたものが『稲霊(いなだま)』と呼ばれるものだ。
自然栽培していると稲穂につくものだ。
そして日本酒作りに最も必要としているもの。
麹菌。この麹菌(酵母)が日本酒、甘酒、米酢、醤油や味噌まで作ってくれる元日本人からすればありがた過ぎるカビ菌の一種だ。
「この麹菌を培養‥‥‥増やしていけばいろいろと作れるはずなんです。やり方はわかるんですがなにぶん不器用なので‥‥‥」
「エドガー様がそうおっしゃるならやってみましょう。いろいろご指示ください」
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