77 / 119
メッサーラへ
しおりを挟む
翌日は雨が降っていた。
「昨日はすみませんでした。面目有りません、エドガー様」
「気にしないでください。酒場も感染状況次第では営業時間を短縮しないといけませんし」
食った呑んだよりも充分に払えば問題無かろう。なんなら補助金も出していたはずだ、日本政府は。
フィルさんは酒が弱いわけではなくやはり連日の激務からの解放ですぐ酔って寝てしまったらしい。お疲れ様でございます。
「じゃあまたメッサーラに行ってきます!」
「お気をつけて!」
今回は感染症を広めても良くないので最低人数で。テオドールから行くのは俺とティナだけだ。
「これも持っていきな!」
「‥‥‥おぉ、きっと役に立つよ。ありがとな、イブ」
出がけにイブに荷物を渡された。中を見て納得、役に立ちそうだよ。
「では出発します!」
お付きの兵士さんも昨日は少し休めたかな?
昨日よりも肌ツヤが良い気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「この辺の道は例年泥濘んでて雨天時は通れなかった記憶があるのですが‥‥‥」
「道を整備しました、な? ティナ」
「ええ、土嚢を使って固めて。あれも楽しかったですね」
「‥‥‥土嚢?」
あとで詳しく話してやろう。
例の泥濘みポイントは問題なく進めた。
途中で休息とかを入れつつ約一日でメッサーラに到着した。
「手続きをして参ります。馬車でお待ちください」
フィルさんは門の衛兵と話をしている。
なんか少し揉めてるみたいだな。
「エドガー様、準貴族が急に来たので責任問題がとかなんとか言ってますね」
「あぁ、なるほど‥‥‥」
今回の件、フィルさんの仕事としては衛生面の改善の指導教育だったのが何故準貴族を連れて来ているのかって話しで揉めているのだと思う。
ちょっと貴族権限を使ってみるか。準だけどな。
「あー、テオドール行政官のエドガーであります。フィルさんは何も問題ありません。何か問題があればこの私、エドガーの一存だと言ってください。通ってもよろしいですか?」
「! ははっ!! お通ししろ!!」
誰も不急の事態とはいえ責任取りたくはないもんな。大丈夫だ、俺だってもっと上に押し付けるさ。
「すみません、エドガー様」
「気にしないでください」
一応俺の責任って事でスムーズに領都に入れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そのまま街を巡ってみた。以前来た時よりもずっと活気がなくなり街を歩いている人もまばらだ。
「不要不急の外出の禁止令を出しましたのでそのせいですね」
そりゃ歩行者も減るだろうな。
「経済的にも大きな影響を‥‥‥。どうしましょうか?」
ふむ‥‥‥、これはなかなか深刻な問題だな。
ただこの領都メッサーラは人口が多いので問題、今回の場合は感染症対策をどうにかさえすれば反動で大きく回復するはずだ。
考えながら進んでいたら見覚えのある店が。
えーっと確か布製品とかを扱っている店だったような‥‥‥。
馬車を止めてもらって降りてみてみるとなんとなく思い出せそうな感じが。
「ん? エドガー様?」
背後から声がした、その声は‥‥‥?
「マッシュ!? お前マッシュか?」
「はい、マッシュです。以前はお世話になりまして‥‥‥」
熊のように大きい身体の男はマッシュだった。
見違えたように大人しくシャンとした姿になっていたが。
「お陰様で今はこちらの店で裁縫師として務めております」
「なんだかまるで別人だな」
マッシュ‥‥‥裁縫‥‥‥マスク‥‥‥。
!!!!
「マッシュ! この覆い布に刺繍は出来るか?」
「え、ええ。もちろん‥‥‥」
俺の唐突な質問に反応しきれてない感じのマッシュ。
俺は紙に簡単に魔法陣を書き殴った。
「これだ!! マッシュ、こんな感じの刺繍なら一日でどれくらい出来る? 同じ裁縫師仲間も掻き集めてだ」
「魔法陣なんですか? こんなの見た事ないですね、これくらいならまぁ一人一日で10枚ってところでしょうか?」
「つまり10人なら100枚、100人なら1000枚だな」
「ま、まぁその仕事だけするならばですけど」
「わかった! また来る!! ありがとう」
「はぁ‥‥‥、お気をつけて」
俺は馬車に飛び乗って指示を出す。
「ゲオルグ様の屋敷へ! 急ぎましょう」
「昨日はすみませんでした。面目有りません、エドガー様」
「気にしないでください。酒場も感染状況次第では営業時間を短縮しないといけませんし」
食った呑んだよりも充分に払えば問題無かろう。なんなら補助金も出していたはずだ、日本政府は。
フィルさんは酒が弱いわけではなくやはり連日の激務からの解放ですぐ酔って寝てしまったらしい。お疲れ様でございます。
「じゃあまたメッサーラに行ってきます!」
「お気をつけて!」
今回は感染症を広めても良くないので最低人数で。テオドールから行くのは俺とティナだけだ。
「これも持っていきな!」
「‥‥‥おぉ、きっと役に立つよ。ありがとな、イブ」
出がけにイブに荷物を渡された。中を見て納得、役に立ちそうだよ。
「では出発します!」
お付きの兵士さんも昨日は少し休めたかな?
昨日よりも肌ツヤが良い気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「この辺の道は例年泥濘んでて雨天時は通れなかった記憶があるのですが‥‥‥」
「道を整備しました、な? ティナ」
「ええ、土嚢を使って固めて。あれも楽しかったですね」
「‥‥‥土嚢?」
あとで詳しく話してやろう。
例の泥濘みポイントは問題なく進めた。
途中で休息とかを入れつつ約一日でメッサーラに到着した。
「手続きをして参ります。馬車でお待ちください」
フィルさんは門の衛兵と話をしている。
なんか少し揉めてるみたいだな。
「エドガー様、準貴族が急に来たので責任問題がとかなんとか言ってますね」
「あぁ、なるほど‥‥‥」
今回の件、フィルさんの仕事としては衛生面の改善の指導教育だったのが何故準貴族を連れて来ているのかって話しで揉めているのだと思う。
ちょっと貴族権限を使ってみるか。準だけどな。
「あー、テオドール行政官のエドガーであります。フィルさんは何も問題ありません。何か問題があればこの私、エドガーの一存だと言ってください。通ってもよろしいですか?」
「! ははっ!! お通ししろ!!」
誰も不急の事態とはいえ責任取りたくはないもんな。大丈夫だ、俺だってもっと上に押し付けるさ。
「すみません、エドガー様」
「気にしないでください」
一応俺の責任って事でスムーズに領都に入れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そのまま街を巡ってみた。以前来た時よりもずっと活気がなくなり街を歩いている人もまばらだ。
「不要不急の外出の禁止令を出しましたのでそのせいですね」
そりゃ歩行者も減るだろうな。
「経済的にも大きな影響を‥‥‥。どうしましょうか?」
ふむ‥‥‥、これはなかなか深刻な問題だな。
ただこの領都メッサーラは人口が多いので問題、今回の場合は感染症対策をどうにかさえすれば反動で大きく回復するはずだ。
考えながら進んでいたら見覚えのある店が。
えーっと確か布製品とかを扱っている店だったような‥‥‥。
馬車を止めてもらって降りてみてみるとなんとなく思い出せそうな感じが。
「ん? エドガー様?」
背後から声がした、その声は‥‥‥?
「マッシュ!? お前マッシュか?」
「はい、マッシュです。以前はお世話になりまして‥‥‥」
熊のように大きい身体の男はマッシュだった。
見違えたように大人しくシャンとした姿になっていたが。
「お陰様で今はこちらの店で裁縫師として務めております」
「なんだかまるで別人だな」
マッシュ‥‥‥裁縫‥‥‥マスク‥‥‥。
!!!!
「マッシュ! この覆い布に刺繍は出来るか?」
「え、ええ。もちろん‥‥‥」
俺の唐突な質問に反応しきれてない感じのマッシュ。
俺は紙に簡単に魔法陣を書き殴った。
「これだ!! マッシュ、こんな感じの刺繍なら一日でどれくらい出来る? 同じ裁縫師仲間も掻き集めてだ」
「魔法陣なんですか? こんなの見た事ないですね、これくらいならまぁ一人一日で10枚ってところでしょうか?」
「つまり10人なら100枚、100人なら1000枚だな」
「ま、まぁその仕事だけするならばですけど」
「わかった! また来る!! ありがとう」
「はぁ‥‥‥、お気をつけて」
俺は馬車に飛び乗って指示を出す。
「ゲオルグ様の屋敷へ! 急ぎましょう」
49
あなたにおすすめの小説
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
【第2章完結】王位を捨てた元王子、冒険者として新たな人生を歩む
凪木桜
ファンタジー
かつて王国の次期国王候補と期待されながらも、自ら王位を捨てた元王子レオン。彼は自由を求め、名もなき冒険者として歩み始める。しかし、貴族社会で培った知識と騎士団で鍛えた剣技は、新たな世界で否応なく彼を際立たせる。ギルドでの成長、仲間との出会い、そして迫り来る王国の影——。過去と向き合いながらも、自らの道を切り開くレオンの冒険譚が今、幕を開ける!
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる