104 / 119
ロキソとの出会い(過去話あり)
しおりを挟む
ある日、ロキソが訪ねて来た。
「勉強しとるところ悪いのう」
「あぁ、いいさ。ちょうど休憩しようとしてたところだから」
「正直ワシゃぁの、坊がいなくなったら困るんじゃよ」
「何故だ? 銃のメンテナンスとか他にも仕事は色々あるだろう? ここにいればもうすぐ念願の火酒も飲めるぞ?」
「ふぅ‥‥‥、確かに火酒に関してはそうなんじゃがの。忘れたか? 王都にいたワシがなんでここに来たのか?」
「気に入らない貴族をぶん殴ったんだろ? それで流刑者として‥‥‥」
「違う! 結果としてはそうじゃがそうではない! 坊がおらんとな、なんかこう物足りないんじゃよ‥‥‥」
あぁ‥‥‥、そういう事だったのか。
俺は昔の事を思い出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺がスキル無し判定を受ける少し前。
王都の一角で殴り合いをしているドワーフがいた。そこを俺たちがたまたま通りかかった。
「テメェ、何してやがる!?」
「ハッ! うるせぇ、黙ってろ!! このポンコツロキソが!!」
ドワーフ同士の小競り合いだろうか? ロキソと呼んだ方のドワーフはナイフを取り出した。
「あ‥‥‥! あ‥‥‥!」
ロキソと呼ばれた方のドワーフは身動きが取れなくなっている。刃物を向けられて、怖気付いているのか?
ドワーフなのに?
都市にいるドワーフなんてほとんどが鍛冶で生計を立てているんじゃないのか?
「‥‥‥ティナ、すまないがアレを止めてくれないか?」
「かしこまりました」
ティナが双方の間に入り、両人の腕を掴んで持ち上げ、力ずくで喧嘩を止めた。
「なんじゃ、お前は!?」
「な!? なんだ、この女は!? う、腕が動かん!!」
「双方、静まりなさい。エドガー様の御前です」
うーん、そのセリフはもっと偉い人がいる場合のやつだからな。貴族の息子程度じゃ「ははー」ってならんだろ。
「あー、すまない。一応貴族なのでそういう喧嘩は見過ごせないんだ。俺はエドガー・ストライク。あんたらは?」
「ディックだ」
「ロキソじゃ」
話を聞くとディックが何かやらかした事をロキソが嗜めたところ言い合いになり殴り合いに発展し、ディックが刃物を取り出した‥‥‥と。
ディックはそこまでするつもりはなかったが、つい‥‥‥との事でちゃんと謝罪する様に申し渡して解放した。
ロキソは悔しいのか泣いていた。
「こんな坊主に止められなかったら死んでいたかもしれん‥‥‥。もうワシは‥‥‥」
「ロキソと言ったな? 刃物が苦手なのか?」
「そうじゃ!! 『金属加工』のスキルを持ち、腕力だって誰にも負けん。だが刃物が苦手なんじゃ!! 剣もナイフも作れない鍛冶師なんておるか!? ワシは! このポンコツロキソはこの世に必要ないんじゃ!!」
「刃物以外は作れるのか?」
「‥‥‥あぁ。金属加工する技術は誰にも負けんよ。ただ剣が打てなくちゃ鍛冶師とは呼べんじゃろ?」
「じゃあ刃物じゃない武器を作ってくれないか? 設計はしてるんだけど作るのは難しくてさ。相談に乗ってくれないかな?」
「は? 何を言っておるんじゃ?」
「これを見てくれ!」
エドガーは設計図を拡げる。
「こんな感じで魔石を使って弾を飛ばす武器なんだ。わかる?」
「どれどれ‥‥‥ほう」
どうだろう、感触は?
「さっぱりわからん!! なんじゃ、これは?」
「‥‥‥そうか。仕方ないな」
「いや、だが面白そうじゃな。これは預かるぞい」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それからというもの俺はロキソの工房に入り浸り、あーじゃないこーじゃないと毎日のように議論を重ねた。
「二人ともよくやるねぇ‥‥‥、はいお茶でも飲みな」
「おう」
「ありがと、イブ」
「ティナも付き添い大変だねぇ」
「エドガー様が生き生きとしてるので! それを見れるのが嬉しいです」
イブはロキソの妹でザルトという弟もいた。
ザルトはずっとうんうん唸ってるだけでこっちには一切絡んでこない。
「うーん、だいぶまとまったかな?」
「今度はいつ来るんじゃ?」
いつも聞かれる『次はいつ来る』質問。
「来週にスキルを授与される『祝福の儀』があるからそれ以降だな。今日のやつをまとめておくよ」
「おう! 楽しみじゃな」
だがその後『その次』は急遽なくなってしまった。俺がスキルを与えられず追放処分となってしまったからだった。
「勉強しとるところ悪いのう」
「あぁ、いいさ。ちょうど休憩しようとしてたところだから」
「正直ワシゃぁの、坊がいなくなったら困るんじゃよ」
「何故だ? 銃のメンテナンスとか他にも仕事は色々あるだろう? ここにいればもうすぐ念願の火酒も飲めるぞ?」
「ふぅ‥‥‥、確かに火酒に関してはそうなんじゃがの。忘れたか? 王都にいたワシがなんでここに来たのか?」
「気に入らない貴族をぶん殴ったんだろ? それで流刑者として‥‥‥」
「違う! 結果としてはそうじゃがそうではない! 坊がおらんとな、なんかこう物足りないんじゃよ‥‥‥」
あぁ‥‥‥、そういう事だったのか。
俺は昔の事を思い出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺がスキル無し判定を受ける少し前。
王都の一角で殴り合いをしているドワーフがいた。そこを俺たちがたまたま通りかかった。
「テメェ、何してやがる!?」
「ハッ! うるせぇ、黙ってろ!! このポンコツロキソが!!」
ドワーフ同士の小競り合いだろうか? ロキソと呼んだ方のドワーフはナイフを取り出した。
「あ‥‥‥! あ‥‥‥!」
ロキソと呼ばれた方のドワーフは身動きが取れなくなっている。刃物を向けられて、怖気付いているのか?
ドワーフなのに?
都市にいるドワーフなんてほとんどが鍛冶で生計を立てているんじゃないのか?
「‥‥‥ティナ、すまないがアレを止めてくれないか?」
「かしこまりました」
ティナが双方の間に入り、両人の腕を掴んで持ち上げ、力ずくで喧嘩を止めた。
「なんじゃ、お前は!?」
「な!? なんだ、この女は!? う、腕が動かん!!」
「双方、静まりなさい。エドガー様の御前です」
うーん、そのセリフはもっと偉い人がいる場合のやつだからな。貴族の息子程度じゃ「ははー」ってならんだろ。
「あー、すまない。一応貴族なのでそういう喧嘩は見過ごせないんだ。俺はエドガー・ストライク。あんたらは?」
「ディックだ」
「ロキソじゃ」
話を聞くとディックが何かやらかした事をロキソが嗜めたところ言い合いになり殴り合いに発展し、ディックが刃物を取り出した‥‥‥と。
ディックはそこまでするつもりはなかったが、つい‥‥‥との事でちゃんと謝罪する様に申し渡して解放した。
ロキソは悔しいのか泣いていた。
「こんな坊主に止められなかったら死んでいたかもしれん‥‥‥。もうワシは‥‥‥」
「ロキソと言ったな? 刃物が苦手なのか?」
「そうじゃ!! 『金属加工』のスキルを持ち、腕力だって誰にも負けん。だが刃物が苦手なんじゃ!! 剣もナイフも作れない鍛冶師なんておるか!? ワシは! このポンコツロキソはこの世に必要ないんじゃ!!」
「刃物以外は作れるのか?」
「‥‥‥あぁ。金属加工する技術は誰にも負けんよ。ただ剣が打てなくちゃ鍛冶師とは呼べんじゃろ?」
「じゃあ刃物じゃない武器を作ってくれないか? 設計はしてるんだけど作るのは難しくてさ。相談に乗ってくれないかな?」
「は? 何を言っておるんじゃ?」
「これを見てくれ!」
エドガーは設計図を拡げる。
「こんな感じで魔石を使って弾を飛ばす武器なんだ。わかる?」
「どれどれ‥‥‥ほう」
どうだろう、感触は?
「さっぱりわからん!! なんじゃ、これは?」
「‥‥‥そうか。仕方ないな」
「いや、だが面白そうじゃな。これは預かるぞい」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
それからというもの俺はロキソの工房に入り浸り、あーじゃないこーじゃないと毎日のように議論を重ねた。
「二人ともよくやるねぇ‥‥‥、はいお茶でも飲みな」
「おう」
「ありがと、イブ」
「ティナも付き添い大変だねぇ」
「エドガー様が生き生きとしてるので! それを見れるのが嬉しいです」
イブはロキソの妹でザルトという弟もいた。
ザルトはずっとうんうん唸ってるだけでこっちには一切絡んでこない。
「うーん、だいぶまとまったかな?」
「今度はいつ来るんじゃ?」
いつも聞かれる『次はいつ来る』質問。
「来週にスキルを授与される『祝福の儀』があるからそれ以降だな。今日のやつをまとめておくよ」
「おう! 楽しみじゃな」
だがその後『その次』は急遽なくなってしまった。俺がスキルを与えられず追放処分となってしまったからだった。
50
あなたにおすすめの小説
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる