アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

文字の大きさ
10 / 98
追放編

ようやく帰還

しおりを挟む
「‥‥‥ようやく‥‥‥着いたぁ」

 全身の激痛と激臭に耐えつつヨロヨロとなんとか歩いて冒険者ギルドに辿り着いた。門からここまでみんなに二度見されたよ。

「おかえり、アルくん。って、どうしたのっ!? すごく臭うわよ?」

「あ、すみません。ちょっとドラゴンの糞が‥‥‥」
「先にこっちでシャワー浴びてちょうだい。他の方にも迷惑になるから」
「ごめんなさい」

 アンナさんがシャワー室に案内してくれた。ヨロヨロと歩く。

「このズボンはもう捨てるわね。えーっと、ちょっと待ってて」

 アンナさんが一度シャワー室から出て行った。少しして戻ってきた。

「このお古で悪いけど、コレ履きなさい」
「ふぁい」

 アンナさんって優しいよなぁ。ホントに好きになっちゃうよ。
 アンナさんの用意してくれたズボンに履き替える。サイズは少し緩かった。ベルトで締めれば問題ないけど。それとなんか見覚えがあったけど思い出せない。
 まぁいいか。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「で、随分と遅い帰りだったわね。いったい何があったの?」
「いやぁ、なんと言えばいいのか? あ、そうだ。コレって引き取り出来ますか?」

ドンっ!!

 受付カウンターにオーク肉の塊を置いた。
 ふう、重かった。

「えぇ!? なにこれ!? オーク肉じゃないの!! どうしたのよ、コレェ!?」
 叫ぶアンナさん、声が大きいよ。
 注目を集めてしまった。

「おいおい、アルよ。人のドロップ品を盗むのは犯罪だぞ?」
 ギルマスのブライアンさんまでやって来た。

「え? 盗んでませんよ。自分で倒しましたから」
「嘘ついてもすぐにバレるからな、【鑑定】‥‥‥? !? え? なんだコレ? アル、ホントにコレお前が倒したのか?」
 ブライアンさんの鑑定はドロップ品の権利者、つまりモンスターの討伐者までわかるらしい。

「さっきからそう言ってるじゃないですか」
「‥‥‥すまなかった。この通りだ」
 ギルマスが頭を下げて謝罪してきたせいで周りがざわざわと騒がしくなってしまった。

「も、もういいですから」
「ありがとう、アル。お詫びと言ってはなんだが、なんでも相談に乗るから言ってくれ」
「わかりました。じゃあ、後でお願いします」

「アルくん、オーク肉の報酬がコレね。討伐依頼も出てたから受注した事にして依頼達成にしといたわ」
 ドン、と置かれる。やはり討伐依頼の方が儲かるんだなぁ。
「あ、残りはとりあえず口座に‥‥‥」
 端数の中身の軽いやつだけもらった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「‥‥‥おい!」

 たくさんお金が入ってしまった。どうしよう、何に使おうかなぁ?

「おい、そこの! そんなとこでボーッと突っ立ってんじゃねーよ、邪魔だよ!!」

 受付近くで考え事してたから他の冒険者に注意されてしまった。
「あ、すみません」
「フン! さっさと退けってんだ」
 振り返ると女の人と二人の男性がいた。どうやらさっきの声は女の人のだろう。

 女の人は肌の露出の多い鎧に身を包んでいる。いわゆるビキニアーマーってやつかな。赤い髪は肩くらい。装備からすると『剣士』っぽい。
 男の一人は動き易そうな服装でゴーグルを頭にかけていた。『探索者《シーカー》』っぽいな。
 もう一人は多分『魔法使い』だな、それらしい服装で杖を持っていた。

 俺は謝罪をしてギルドの受付から離れた。

 あー、怖かった‥‥‥!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス 優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました お父さんは村の村長みたいな立場みたい お母さんは病弱で家から出れないほど 二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます ーーーーー この作品は大変楽しく書けていましたが 49話で終わりとすることにいたしました 完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい そんな欲求に屈してしまいましたすみません

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

元商社マンの俺、異世界と日本を行き来できるチートをゲットしたので、のんびり貿易商でも始めます~現代の便利グッズは異世界では最強でした~

黒崎隼人
ファンタジー
「もう限界だ……」 過労で商社を辞めた俺、白石悠斗(28)が次に目覚めた場所は、魔物が闊歩する異世界だった!? 絶体絶命のピンチに発現したのは、現代日本と異世界を自由に行き来できる【往還の門】と、なんでも収納できる【次元倉庫】というとんでもないチートスキル! 「これ、最強すぎないか?」 試しにコンビニのレトルトカレーを村人に振る舞えば「神の食べ物!」と崇められ、百均のカッターナイフが高級品として売れる始末。 元商社マンの知識と現代日本の物資を武器に、俺は異世界で商売を始めることを決意する。 食文化、技術、物流――全てが未発達なこの世界で、現代知識は無双の力を発揮する! 辺境の村から成り上がり、やがては世界経済を、そして二つの世界の運命をも動かしていく。 元サラリーマンの、異世界成り上がり交易ファンタジー、ここに開店!

処理中です...