アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

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トーナメント地方予選編

宿に戻ると

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「おう、おかえり! どうだった?」
 宿に戻るとエントランスでルーナが出迎えてくれた。

「‥‥‥‥‥‥」
 俺とソフィアは悲壮な顔で下を向く。

「え? ま、まさか‥‥‥!?」
 ルーナが不安な表情になる。

「「イェーイ!!」」
 俺とソフィアが同時に笑顔を上げてVサイン。こうすると宿に入る前から決めていたのだ。

「て、てめーら!! 驚かせやがったな!?」
 ルーナが真っ赤な顔で怒り出す。

「言っとくけどコレの発案者はソフィアだからな?」
「普通に報告しても面白くないじゃろ? アル殿もノリノリだったじゃろが」

 本当にこのドラゴニュートは人間臭さがハンパないな。こういうことをどこで覚えてきたのか?

「くっそぉぉ、お前ら。アタイのこと揶揄《からか》いやがって‥‥‥。アイツらに染まってきやがったな?」

「まぁ、それはさておき夕餉はなんじゃ? ルーナの薦める店とかはないのかの?」
 
「張本人のオメーがさておくんじゃねーよ、まったく。今日の晩飯は領都名物の『ペリロギ』の店に行くぜ」
「ペリロギ? とはなんじゃ?」

 聞いたことあるな、たしか‥‥‥
「小麦粉の生地で具を包んで焼いたり茹でたりした料理だよな?」
「おっ! 正解だ、アル。知ってたのか?」

「名前だけな、食べたことはないよ」
「よーし! アタイが領都で一番の店に連れてってやる、エールにも合うぜ!!」

「おぉ! 楽しみじゃな、早う行こうぞ」

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「エールとペリロギ盛り合わせ、お待たせしましたー♪」
 平民向けの大衆酒場のような店に入って注文したらすぐに出てきた。

 今日はルーナがホスト役らしい。
「二人の勝利に‥‥‥」
「「「カンパーイ!!」」」

 三人で杯を合わせ、それぞれが一気に呷る。
 くぅぅぅぅ‥‥‥!!!! たまらないっ!

「さぁ、冷めないうちに食えよ」
「いただきまーす!」
 
 一つを丸ごと口の中に入れる俺とソフィア。
!!!!?

「あっふ!? うっま、あっふい!!!」
「これはええの!!!! なるほど、エールに合うぞ!」

 ドヤ顔のルーナ。
「だろう? それぞれ中身が違うからいろんな味が楽しめるんだ。どうだ、美味いだろ?」
「うむ、我は気に入ったぞ!! そこのお嬢、エールの代わりを三つじゃ!」

 ソフィアが通りかかった店員さんに三人分エールのおかわりを頼んだ。気が利いてるけどさ、
「俺の分はまだあるぞ?」

「何を言うとる、我の分じゃ」
 お前の分かよ!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「ふー! 満腹じゃ!」
 たらふく食べたソフィアが大きくなった腹を抱えて歩いている。そりゃそうなるよ、すごい食べてたもの。

 宿に着いた。
「お客さん、すまないが三人とも連れなんだろ? 相部屋お願い出来ないかな? 料金は安くするんで」
 急にお偉いさん(多分貴族)の従者さんの宿泊先を確保しないといけなくなったらしい。

「構わぬぞ」
「おいっ! 勝手に決めんな」
「アタイもいいぜ」
「ルーナまで‥‥‥」

「困ったときは助け合わぬとな」
「そりゃそうなんだけどさ‥‥‥」
 さすがに女性二人と同じ部屋ってのはまずいだろうよ。

 結果的に俺の意見は却下された。今は三人で部屋にいる。
 更に問題が‥‥‥、ベッドが二つしかない。

「仕方ない、俺が床で寝るよ。女性を床になんて寝かせられない」
「我はベッド無しで寝る事の方が多いから構わぬ。我が床で寝よう」
「お前ら二人は明日も試合なんだからちゃんと寝ないとダメだ。二人がベッドを使え」

 三者三様の理由でみんな譲らない。長らく揉めた結果ベッド二つをくっつけて三人で寝るという結論に。

「‥‥‥それでなんでこの配置なんだよ?」
 俺が真ん中で左にソフィア、右にルーナが寝ることに。

「我は尻尾の関係で端でないと邪魔じゃろ?」
「アタイも端がいい」
「‥‥‥はぁぁ、わかったよ」

 程よく酔っていたのもあって二人はあっという間に寝息を立て始めた。一方の俺は目が冴えてしまって‥‥‥。

「‥‥‥ちゃんと眠れるかなぁ」
 
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