アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

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トーナメント地方予選編

決勝戦

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 二人が話した直後、中間地点の空気が弾けた。二人が同時に仕掛け、互いの右拳を撃ち合わせたからだ。

 その後二人の防御無視の撃ち合いが始まる。二人の手元はほとんどの観客には見えていなかった。激しい殴り合いの音だけが響いていた。

「くぅぅ‥‥‥楽しいのう! 堪らんのう! アル殿よ、心より感謝する!!」
 ソフィアは悦に入った目をしている。

『強さ故の孤独』

 本気を出して戦い続けられる相手というのがいるのはとても幸運なことなのだろう。一方が強すぎると勝負にならずにすぐ終わってしまうのだから。

「まもなく時間かの? 最強奥義をやってみるゆえアル殿よ、どうか耐えてくれよ!!」
 ソフィアは翼を広げて空高く上がっていく。上空で静止し全身の魔力を限界まで高めている。

「いざ参るぞ! 【ドラゴンダイブ】!!」
 ソフィア自身の推進力に重力加速度を加えた超音速の落下攻撃。
 しかしアルフレッドもそれを避けようとはせず両腕をクロスして受け止める構えを取った。
「来い! ソフィア!!」

 ガッキーーーーーーーン!!!!

 二人が衝突するとまるで激しく金属を打ち合わせたかのように響き渡った。
 武舞台の床石は全て剥がれて砕け、まるで紙吹雪のように飛び散った。結界内で留まったので観客は無事であったが。結界内は土煙と石畳が舞い、観客からはよく見えなくなった。

 アルフレッドが受け止めた地点はクレーターのように凹んでいた。がアルフレッドは無事だった。

「‥‥‥見事耐えたようじゃの。もう我の負けぞ」
 ソフィアはそう言い残して力尽きて倒れた。
 
「いや、俺もそろそろ‥‥‥、うっ!?」

 ピキッ!!
 竜の秘薬の効果が切れてアルフレッドに副作用が出る。今までの比ではない全身の痛みのあまり気を失った。

 結界内の煙が落ち着いてくると両者が倒れているのが確認できた。審判が結界内に入り両者の確認をする。

「ダ、ダブルノックダウン!! 引き分けとします!!」

 ざわざわ‥‥‥。
 
 二人が心配なルーナ、アリウス、ジャック、ミリアの四人は観客席から飛び降り武舞台へと駆け寄る。

 ほとんど戦闘が見えなかった観客席は状況が飲み込めていなかった。やがてブーイングが起き始めた。

「こんな決勝戦があるかー!」
「ふざけんな、金返せー!!」

 アリウス、ジャックが倒れている二人にポーション、マナポーションをかけた。
 ブーイングの大きさに驚いて少しだけ回復したソフィアが目を覚ます。アルフレッドはまだ気絶している。

「‥‥‥何事じゃ? 何故騒がれておる?」
「決勝戦がよく観られなかったからと文句を言ってるんすね」

「ふん、見せ物の為に戦った訳ではないんじゃがの」

「ソフィアさん! ちょっとお話があります!!」
 ミリアが怒り心頭でソフィアに近寄った。
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