10 / 171
第一部 祝福の儀編
表彰
しおりを挟む翌朝目が覚めた。昨日は色々あったなぁ、大変だったなぁ。と考えていたら。
「おはようございます。ネロ様。本日表彰式がございます。御列席賜りますよう仰せでございます」
とメイドさん。残念ながらベテランのメイドさんだった。
「え?表彰式?」
「昨夜の火事の件でございましょう」
「え?だってちょこっと雨降らせただけだよ?」
「あの建物は食料倉庫でございました。燃えていたら食料危機に陥っていた可能性があります」
うーん、別に練習兼ねて使ってみただけなんだけどな。まぁいいか。
朝食が用意される。日本のホテルの朝食コースのようなメニューが次から次へと出てくる。そんな食えませんって。
朝食後着替えるのだが、まさかの想定外で礼服が一着しかない。どうしようと考えていたら
「お召し替えのお手伝いをさせていただきます」
と礼服一揃えを持ったメイドさん達が入ってきて、あれよあれよと言う間にお着替え完成。どうやって着たのか覚えてないので脱ぐ事も難しいだろう。兎に角至れり尽くせりだ。
また再度謁見の間で例のポーズ。そういえばゲオルグも礼服をレンタル出来たようだ。昨日と違う服だ。
昨日と同じように王様入室。二人とも呼ばれる。
「ゲオルグ•ヴァッサー男爵を子爵に陞爵する!」
俺もだけどそれ以上にゲオルグが固まっていた。
「あ、ありがたき幸せにございます」
なんとか絞り出すように声を出すゲオルグ。
なんでこうなったか後で経緯を説明してくれた。
まず俺の祝福が前例のない才能だった事、その才能を育てる上で男爵の手当では不足である事、そして昨夜の火事の件で早期対応したため食料不足が予防出来た事、この合わせ技で陞爵となったとの事だった。
本来なら俺自身に叙爵されるものだが法律上未成年では叙爵出来ないそうだ。それならばゲオルグを陞爵して遠回しに教育費として国から支給する形を取る事になったのだという。
ゲオルグからしたら俺を王都に連れて来ただけで陞爵という寝耳に水の事だったろう。
帰りの馬車でゲオルグに謝罪する。
「申し訳ありません。父様。」
「どうした?ネロ」
「僕の事でなんか大事になってしまって‥‥‥。」
ゲオルグが笑う。
「ハハハ、何を言うか。前例のない加護を授かりお陰で私まで陞爵されたのだ。礼を言うのはこちらの方だよ。まぁ特に何もしていないのに陞爵された事に思うところが無くはないが。もらったチャンスとして活かしていくさ。」
「そうですか、それなら良かったです。」
良かった、ゲオルグは前向きだ。
「それはそうとお前、シャルロット殿下と随分親しくなったのではないか?」
「ええ、殿下の飾らない人柄なのか話していて楽しいです」
「フレイン辺境伯のマリア嬢も楽しそうだったしなぁ」
「マリア‥様も馬が合うと言うのかわからないけど、話は盛り上がりますね」
「そうか。まぁ王族や寄り親と親しくなれる事は貴族にとって悪い事ではない」
ゲオルグとゆっくり話をしながらマイチー州に向かっていった。
38
あなたにおすすめの小説
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
【第2章完結】王位を捨てた元王子、冒険者として新たな人生を歩む
凪木桜
ファンタジー
かつて王国の次期国王候補と期待されながらも、自ら王位を捨てた元王子レオン。彼は自由を求め、名もなき冒険者として歩み始める。しかし、貴族社会で培った知識と騎士団で鍛えた剣技は、新たな世界で否応なく彼を際立たせる。ギルドでの成長、仲間との出会い、そして迫り来る王国の影——。過去と向き合いながらも、自らの道を切り開くレオンの冒険譚が今、幕を開ける!
転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~
深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。
ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。
それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?!
(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。
お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる