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第一部 祝福の儀編
王都付近にて
しおりを挟むオーク達に襲われていた馬車を助けたら知り合いだった。
「ネロなのね?ありがとう。助かったわ」
「いやぁ、護衛の人かと思ったらマリアだったとは‥‥‥。」
槍を持った女性は王都での祝福の儀で仲良くなったマリア•フレイン辺境伯令嬢だった。さらに馬車の中からザ貴族的な装いの女の人が出て来た。マリアに似てる、お姉さんかな?
「お母様、以前お話ししたネロが助けてくれました。ほら、水神の‥‥‥。」
違った、母ちゃんかよ、若っ‼︎
「まぁ、お噂はお伺いしてましたわ、マリアの母エリザベート•フレインですわ。この度はありがとうございました。」
「いえ、礼には及びません。よろしければこちらを護衛の方たちにご使用ください」
ミドルポーションを取り出して渡す。
「まぁまぁ、重ね重ねありがとうございます。マリア、急いで使用して。」
「はい、お母様。」
マリアがミドルポーションを振りかける。護衛の人達が輝きだし回復していく。
「? コレ普通のポーションじゃないの?」
「ミドルポーションだよ」
マリアの疑問に答えると彼女たちは目を見開く。
「ネロ!ダメだよ、こんな貴重な薬使えないわ!」
「いや、別に要らないよ。貴重じゃないし」
マリアが騒ぐのを冷静に嗜める。
少し遅れて兄さんが到着する、状況をみて察してくれて夫人に挨拶をする。
「ゲオルグ•ヴァッサー子爵の長男、ピーター•ヴァッサーでございます。この度はご無事そうで何よりでございます」
「ありがとうございます。なんとお礼をしたらいいか」
「勿体ないお言葉でございます」
おぉ、さすがピーター兄、サマになるな。
辺境伯の馬車は襲撃により動かなくなってしまった為、うちの馬車に相乗りしてもらう事になった。壊れた馬車をアイテムボックスにしまい馬車に乗り込む。
「私ネロの隣ね。」
ニコニコ笑顔のマリアの申し出は断れない。
馬車が動き出す。しばらくして
「この馬車は揺れるのにお尻が痛くなりませんね。」
「あ、それは僕の魔法で‥‥‥」
「素晴らしいですわ!ウチの馬車にもどうにか出来ませんこと?」
思ったよりグイグイ来る夫人。マリアは遺伝か。今は少し難しいと説明したら肩を落としてた。
「マリアも王都学院の受験?」
「そうよ、やっぱり貴方も受けるのね」
程なくして王都の外壁に着く、長い行列を尻目に貴族専用通路を進んでいき門番に止められる。オークの襲撃の件を話し、同乗している旨を伝える。そうしてやっと王都に入れた。
辺境伯の王都の屋敷に着きアイテムボックスから壊れた馬車を出す。
受験日まで屋敷に泊めてくれる事になった。寄り親だからとかなんとか言ってた気もするが詳しくはわからない。
宿が取れるか心配だったので助かった。なのでお礼にオーク肉を差し入れした。喜ばれたがお礼のお礼は変だと言われてしまい、オークステーキとしてみんなで美味しくいただきました。
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