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王都学院 編
海へ行こう!
しおりを挟むマイチー州ではのんびり出来たがする事が無さすぎて夏休みの四分の一程過ぎた辺りで王都に戻った。やり忘れていた事を思い出した。
夏休みと言えば海だ。そうだ、海へ行こう。
夏だ、海だ、オキナーだ。オキナーは離島でリゾート地だ。日本で言えば沖縄だ。マイチー州には海が無いからな。
一人で行くのはただの罰ゲームだ。クリフとマリアだな、シャルも行ければ良いけど。
しかしこちらの世界で観光などした事が無いのでどうしたらいいかわからない。誰に聞いたらいいかもわからない。
とりあえずクリフに行けるか聞いてみよう。
「いいね、楽しそう。行こうか?僕行き方とか調べるよ」
マリアも
「行きたい!楽しみ!」
シャルも
「是非行きたいわ。楽しそうじゃない?」
それからはシャルの旅行の許可が下りるまで大変だった。まずララさんに相談したところ反対され一悶着あった後、周りに相談。やはり大反対でさらに一悶着。意見を曲げないシャルは最終的に陛下に直談判した。陛下も難色を示していたがシャルの涙の訴えにより護衛のララさん付きでようやく許可が下りたらしい。
参加メンバーは決まった。予約はクリフがしてくれた。王族や上級貴族だと魔導通信機器を持っているらしい。エステラーゼ伯爵は何度もオキナーに行った事が有るらしくホテルを予約してくれたそうだ。あとでお礼をしよう。
水着も買った。用意はバッチリだ。
海に向かっている。今は魔導飛行艇の中だ。スゴイ、初めて乗った。前世の飛行機程では無いが速い。空にモンスターが居ないのかと言うといるらしい。ただ滅多に出ないのと船体に結界が展開されているためほぼ問題はないらしい。俺とクリフは二等座席、マリアは一等席、シャルは個室だった。乗る時もバラバラなのでちゃんと来ているか不安だった。
3時間程度でオキナー島に着いた。暑いがそれが良い。みんなと合流する。
「やっと一緒に歩けるわね、ネロ?」
「あれ?姉さん?」
「やだ、クリフ。同行者ってアンタもだったの?」
「⁉︎ 姉弟なんですか?」
「そうです」
驚く俺。普段と違う口調のララさん、すぐに戻ったけど。クリフも
「姉さんも一緒かぁ‥‥‥」
テンション下がってるなぁ。
「うわー、キレイ‼︎見て!ネロ!」
「殿下、はしたないですよ」
「ほっといてよ、ねえ、ネロったら?」
「ネロ様、陛下より伝言がございます」
「え?なんですか?」
近づき小声で
「「手を出すなよ」との事です」
「出しませんよ!」
出さないよ。王族においそれと手なんて出せる訳がない。
飛行艇の発着場から馬車でホテルに着く。豪華なホテルだ。前世でも写真で見た事が有るだけだ。貴族御用達というやつだろう。
クリフがチェックインをやってくれた。親父さんが予約してくれたから話が早い。
部屋に案内される。男部屋と女部屋だ。勿論だ。最初シャルの部屋は別にしようとしていたのだがシャルがマリアと一緒がいいと押し通したのだ。
結果シャル、マリア、ララさんと3名で泊まるという事になった。当然女部屋は最上階の特別室で、俺達はツインルーム。
五階建てのホテルで魔導エレベーターで上がっていく。俺達は三階で降りる。
部屋に入るとオーシャンビュー。絶景だ。景色を見ながらお茶請けを食べる。オキナーのクッキーの様なお菓子だ。
「あ、僕の分‥‥‥」
「あ、ごめん。あとで下で買ってくるよ」
いよいよ海へ。女子達とは下で待ち合わせだ。ホテルのプライベートビーチなのでホテルの客以外は居ないので空いている。
「お待たせ~」
「待った~?」
「お待たせ致しました」
‼︎‼︎ 正直ドキッとした。
シャルは黒の、マリアは赤の、ララさんは白のビキニだ、美しい‥‥‥。
「おお、綺麗だ‥‥‥」
「何言ってんの?早く行きましょ」
「うん、早く行こう!」
「あまりジロジロ見ないでください」
シャルは素晴らしいものをお持ちでたゆたゆ揺れている。実に素晴らしい。
マリアは逆に細くてその腕で槍をどう振っているのか疑問に感じるくらいだ。胸部装甲は控えめだがソレはそれで良い。
ララさんはややむっちり気味だけど多分男が一番好きそうなボディなのではなかろうか?海だけどメガネは外さないんだ?ララさんは魔術師だ。だから護衛だけど武器は持ってない。
シャルの剣とマリアの槍もホテルのクロークに預けてある。さすがにホテル内には賊も勿論出ないだろうからいいだろう。
水着の女子達と遊ぶのは大変に素敵な事です。キャッキャウフフがさっきから止まりません。弾ける水滴に太陽光が反射して輝いております。
エウロパ万歳!水神様に深い感謝を‼︎
海に沈む太陽を俺とシャルとマリアで見ていた。クリフはララさんと海で何かしている。
「ネロ、誘ってくれてありがとう。こんなに楽しかったのは初めてだわ」
「そう言ってもらえて嬉しいよ、シャル」
シャルの横顔が夕日に照らされている。またドキドキしてしまった。
「私も楽しかった、これから夕飯よね?その前にシャワー浴びたいわ」
「そうだね、そうしようか、マリア」
マリアも本当に可愛い、ドキドキしっぱなしだ。
部屋に戻りシャワーを浴びて着替えて食堂に集合。ディナーバイキングというやつだ。
シャルは何でも自分でやりたがる。盛り付けも、ララさんがやろうとしていたのを
「アナタじゃワタシの食べたいものがわからないでしょ」と一喝して、自分で盛り付け始めた。さすが王族なので盛り付けも上品だ。
マリアは少食だ、だからそんなに細いんだ。
クリフは魚介系を攻めていた。曰く
「王都では魚はあまり食べられないからね」
と。納得だ。
ララさんはカニばっかり取ってきていたのを見て噴き出してしまった。慌てて目を逸らす。
「何か問題有りますか?」
「無いです」
怖いってば。
でもバイキングって個性出るよね。
その後は広い広いスイートルームで二次会だ。俺達は勿論ノンアルコールだが、ララさんは成人なので呑んでいた。
ララさんは酒に弱いらしい。でも好きなので毎回飲んでしまうらしい。いや、貴女仕事中じゃないんですか?
夏休みで多分一番充実した体験だった。特にシャルとマリアとはより仲良くなれた気がする。
ああ、何故楽しい時間はこんなに早く過ぎ去ってしまうのか。
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(追記.2018.06.24)
物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。
もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。
(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
ちなみに不審者は通り越しました。
(追記2018.07.26)
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