転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯

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冒険者 編

結婚式前夜

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 招待客も揃いつつあり、明日がいよいよ結婚式当日だ。つまり、今日が独身最後の夜になる。

「ネロ、悪いんだけど、今日は屋敷はワタシ達が使うわよ。と言うわけで何処かで独身最後の夜を過ごしてらっしゃい」

 シャルに追い出された。
 何という事だ。
 ナタリーが教えてくれたが、数人奥さんがいる場合は、独身最後の夜に話し合いを設けるらしい。

 よくある一般的な貴族の話だと、奥様方の序列を決めるらしい。もっと下世話な話だと、夜の順番決めをするそうだ。

 もっともうちの場合は女子達で集まっておしゃべりするパジャマパーティーみたいな感じにするそうだが。

 全員集めると言うのでリヴィアと九尾も召喚させられた。こいつらは俺の眷属だから別枠じゃないのか?

「主殿、この度はご結婚おめでとうございます。我は奥方様達を命を賭して御守り致します」
 リヴィアはあまり理解してないな。

「ネロ様、すまなんだ。もうあの亜空間に閉じ込めるのは勘弁してもらえぬか?もう悪い事はせぬ、命を賭けて誓う。どうか‥‥‥」

 九尾は顔を真っ青にして、土下座してきた。それを見てシャルとマリアも溜飲が下がったようだった。
 二人が九尾を起こして連れて行ったから大丈夫かな、と。

 さてと、俺はどうしよう。
 独身最後の夜は男達と居た方がいいのだろうが、クリフ以外あまり友達っぽいのがいない。

 あれ?俺、ボッチ?

 とりあえず晩ごはんを食べないとな。今日は久しぶりに味噌カツ定食にでもしようかな。

 うわー、並んでるわ。じゃあ並ぶか。


「あのー、ネロさんじゃないですか?」

 定食屋に並んでいたらギルドの人に声を掛けられた、見た事も会った事もあるけど名前は知らない。

「ネロさん、明日結婚式ですよね?独身最後の夜はギルドに来いって、ギルマスに言われてなかったですか?」
「あ‥‥‥、そう言えば。忘れてた」


「遅いぞ、ネロ。みんなお前のために、準備万端で待ってんだぞ」
「すみません、ゴタゴタしてて忘れてました」

 ギルマスの後ろはこれから宴会をします的な用意が揃っていた。



「じゃあ、みんな杯を持ったか?明日はSランク冒険者、ネロ・ヴァッサーの結婚式だ。俺たちは参加出来ないが前夜祭なら企画出来る!俺たちにも祝わせてくれ! おめでとう!ネロ! かんぱーい!!!!」
「「「かんぱーい!!!!」」」


 みんな変わる代わる酒を注ぎに来てお祝いの言葉をくれた。

 うん、俺はボッチじゃなかった。
 みんな優しい、みんな温かい。

 あのギルド職員の人に声掛けてもらって良かった。お礼を言いたかったけど見当たらなかった。

 みんなに祝ってもらい、楽しい夜だった。
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