転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー

芍薬甘草湯

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第二部 家庭編

魔術ギルドのクリス

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 魔術ギルドの執務室に入った。
「クリスさんはエルフですよね?クロエさんとはどういった関係ですか?」
「クロエは私の妹だ。元気でやっていたか?」

「元気ですよ。でも姉妹で肌の色が違うんですね?」
「⁉︎ どういう事だ?」

 クロエさんとクリスさんは顔の造りは同じ超絶美人だ。エルフならではなのだろうな。
 しかし肌の色は全然違う。クロエさんは褐色、クリスさんは透き通るような美白だ。

「クロエさんは褐色の肌で‥‥‥」
ドンッ!!!!
「あんのバカがっ!!!!」
机を叩きつける!怖っ!

「あ、すまん。取り乱した。しかしエルフの白い肌を汚すとは‥‥‥」

 エルフにとっては白い肌が至上であるそうだ。つまりクロエさんは、エルフ界に喧嘩上等と吹っかけているようなものらしく、姉であるクリスさんからしてみたら、「何してんだ! あいつは!」となるのはごく自然の事らしい。

 魔術ギルドに着いた。
「さて、改めて話を聞かせてもらおうか?」
「はい。我が妻シャルロットが妊娠後の体調不良に苛ませているのです。そこでそういった症状に効くと聞いた「世界樹の実」を取りにこの国へ来たのです」

「なるほど。そういった理由か。合点はいった。が、その程度の理由で世界樹に案内する訳にはいかないな」

 なんですと? わざわざ来たのに~。

「どうしたらよろしいですか?」
「そうだなぁ。世界樹はエルフが守っている。エルフは世界樹によって生きていける。共生関係なのだよ。そこにヒューマンが易々と入っていけると思うか?」

「確かにそうですねぇ。エルフって基本的には排他的なんですもんね?」
「私たちはヒューマンに溶け込んでいるが、世界樹の周りで生活している者達はその通りだな」

「クリスさんの紹介とかで、集落に入ったらマズイんですか?」
「‥‥‥ダメ元で良ければ、案内しよう」


「クリスさん、その世界樹の集落まではどれくらいかかりますか?」
「馬で二日くらいかな? どうした?」

「もっと早く行きましょう。人気のないところへお願い出来ますか?」

 人目のつかないところで、足元に雲を作り出す。もう慣れたものだ。

「な⁉︎ なんだ、これは⁉︎ 何が起きている?」
クリスさんが目を丸くしている。
「一応、他人を乗せるのは初めてなので、俺に捕まっといて下さい」

 俺とクリスさんを乗せて、雲が宙に浮く。
 クリスさんは不安げで肩を掴む力が強い。痛い‥‥‥
 あとめっちゃ綺麗な顔がめっちゃ近い。いい匂いもする。
 不覚にも男性の生理現象が‥‥‥。
 すまん、嫁達。


 とりあえず安全運転で行こうかな。



「イヤァーーーー!!!!」

 クリスさんの絶叫。
 うん、耳が痛いです。
  



「そこ! そこら辺で降ろしてぇーー!!!!」
「え? もう着きました?」

「急いで!」
「え~? 危ないからゆっくり下りますよ」

「いや、いいから早‥‥‥あっ!」

ショロショロショロ‥‥‥

「‥‥‥!!!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

沈黙が空間を支配する‥‥‥

「だ‥‥‥だから言ったのにぃ~‥‥‥」

「え⁉︎ なんか、すみません‥‥‥」
俺のせい‥‥‥なのか?

 とりあえず濡れた服に水をかけて浄化、乾燥してあげたので、無かった事になった。

「あとは貴方の記憶を消しておきましょう。他の部分も多少消えるけど仕方ないわよね?」
「やめて下さい! 絶対に言いませんから!」

 対処が適切だったお陰で記憶は消されずに済んだが、クリスさんがブツブツなんか言ってる。
 怖ぇよ!!!!
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