58 / 90
第3章
24 本当に怖いのは
しおりを挟む
――これはいったい、なんの握手ですか?
私と握手をしながら、ヘレーナは清々しい顔をしている。
リアムがいったいなにをしたのか、フォルシアン公爵も低姿勢だし、覇気がない。
――この勢いなら言える!
そう確信した。
「フォルシアン公爵。お願いがあります!」
「な、なんだ?」
なぜか私に怯えている。
リアムならわかるけど、私にそんなビクつかないで欲しいと思った。
「狼獣人の奴隷を解放していただきたいのです」
「奴隷を? それはできん。こちらは高額で優秀な奴隷を手に入れている」
公爵の獣人への態度は変わりなかった。
心配そうな顔をしたフランに気づき、ここは絶対負けられないと思った。
「では、そちらの条件を教えてください」
「ふむ。この件で処罰されても生活していけるよう金になるものがいいか……」
かなり高額な金額になる――そう思った瞬間、シエルさんの咆哮が轟いた。
『なにをモタモタしているのだ! からあげを作るというから、背中に乗せてやったのだぞ!』
待ちきれないシエルさんから、からあげの催促がきた。
この中で、竜語がわかるリアムだけが、シエルさんを『子供か……』というように、呆れた顔で眺めている。
「な、なぜ、竜は怒っているんだ?」
竜語がわからないフォルシアン公爵は怯えていた。
「竜はこう告げています。卵を盗んだ代償を身をもって払えと!」
「まさか、人間の生け贄を求めているのか?」
「代償は必要です……」
私が深刻な表情で言った。
そんな私をリアムがなにか言いたそうな顔で見ている。
でも、嘘は言っていない。
代償として、からあげを求めているのだから、これは真実である。
――必要なのは人ではなく、鶏の身ですけどね。
「娘を差し出すしかないのか」
「あ、あたし? お父様、娘を犠牲にするつもりなのっ!?」」
私がまだ出発しないため、シエルさんが焦れったそうにしている。
フォルシアン公爵の決断を促すため、あえて、私は厳かな態度で尋ねた。
「フォルシアン公爵。私なら竜と交渉できます。どうされますか?」
「わかった! 獣人二人は諦めよう。そのかわり、竜をなだめてもらいたい」
「承知しました」
私はシエルさんに向き直り、話しかける。
「すみません。お待たせてしてしまって。ようやく話が終わりました」
『なにかモメていたようだが?』
「気にしないでください。えーと、からあげの肉は、リアムにロックバードの肉を解凍してもらおうと思っているのですが、いかがでしょう?」
ロックバードときいて、シエルさんはつばをのみこんだ。
――あ、食べたことあるんですね。
すでにシエルさんはロックバードの肉の美味しさを知っているようだ。
お腹を鳴らし、つばをのみこむシエルさんを見て、フォルシアン公爵家の面々はびくびく怯えていた。
「お、おい。人間を食べようとしてないか?」
「きっと怒りがおさまらないのだろう」
そんな声が聞こえてくる。
竜語がわかるリアムの視線が痛い。
『ロックバードの肉か。想像しただけでうまい。悪くない取引だ。それで、どれくらいかかる?』
「そうですね。ここから王都に戻り、肉を解凍して漬け込む作業があるので、四日ほどいただけたら、作れると思います」
『ふむ』
「もうすぐ市場も再開しますし、からあげがたくさん食べられますよ」
シエルさんがその情報に食いついてきた。
『なんだと! それを早く言え! そうなると、鶏も食えるし、ロックバードも食べられるということか。夢のようだな……』
鶏もいいけれど、ロックバードの肉は格別である。
やわらかくジューシーで、からあげにはもってこいの肉だ。
『よかろう。四日、待ってやる』
「ありがとうございます」
交渉が成立した。
シエルさんとの交渉が終わり、フォルシアン公爵に向き直る。
「私は竜の怒りをおさめるため、急ぎ王都へ戻り、作業しなくてはなりません」
「わかった。特別な儀式をするのか?」
「儀式……? えーと、はい、そうです」
肉を調味液に浸ける儀式だから間違ってはいない。
真面目な顔でうなずいた。
「それでは、竜の怒りを鎮める儀式のため、狼獣人の二人を連れて帰ってもよろしいですか?」
「もちろんだ!」
「では、こちらにサインを」
しっかり二人の自由証明書にサインをもらう。
いそいそとウエストポーチにしまった私をリアムが呆れていた。
「なにが儀式だ」
「嘘は言ってませんよ? リアムにも協力してもらいますからね?」
「肉の解凍だろ」
「そうです」
リアムは私とシエルさんの話をしっかり聞いていたようだ。
シエルさんは竜の巣に戻るらしく、両翼を広げた。
『では一度、竜の巣に戻る。美味いからあげを期待しているぞ!』
「はい!」
シエルさんは去り際、なにか忘れていたのか、地面を蹴ろうとした足を戻した。
「シエルさん?」
『お前とヴィフレアの死神は親しいようだが、あやつだけはやめておけ』
シエルさんはリアムをちらりと見た。
『忌まわしい呪われた魔術師だ。ともにいても先がない』
「呪われた?」
私が聞き返そうとした時、土を踏む音がしてリアムが近づいてきた。
「おしゃべりな竜だ」
リアムが目を細め、シエルさんに近づく。
シエルさんは詳しく教えてくれず、途中で話をやめた。
『忠告はした』
リアムから逃げるように、シエルさんは翼を広げる。
『他の人間はともかく、我はお前を気に入った。また会いにいく』
「はいっ! ぜひ、またご来店ください!」
『そういう意味ではないのだがな』
シエルさんは苦笑して飛び立つ。
空を見上げ、竜たちが巣へ向かって去っていく姿を見送った。
その私の横で、リアムがため息をつく。
「お前は厄介な奴ばかりに好かれる」
「それって、リアムのことですか?」
「お前の口にからあげを詰めるぞ」
「からあげを!? 世界の平和を守ったのに扱いが雑じゃないですか?」
ヴィフレア王国の危機が去り、宮廷魔術師たちからも緊張感が消えた。
「サーラ様はとんでもない方だ」
「竜族やリアムさまと対等に話をされている」
宮廷魔術師であっても竜はやはり驚異であるらしい。
それと同等の扱いを受けるリアムに、複雑な思いを抱いたけれど、その言葉はソッと胸の奥にしまった。
宮廷魔術師たちの中に、青色の髪が見えた。
――青の髪と瞳。宮廷魔道具師長のセアン様ですね。
わかりやすい特徴のため、すぐに誰なのかわかった。
「フランの家族は森にいるんだったな?」
「あっ! はい」
「森に寄ろう」
お父さんとお兄さんと一緒に帰れるとわかって、フランは笑顔になった。
「サーラ。リアム様。本当にありがとう!」
「フラン。お礼はいりません。私たちは仲間なんですから」
仲間と言われて、リアムが嫌がるかもと思ったけど、まんざらでもない顔をしていた。
「帰るぞ」
リアムが先に歩いていく。
フランが嬉しそうに、その後ろを追いかけ、私も続こうとした。
けれど、私を呼び止めた人がいた。
「アールグレーン公爵令嬢」
それは魔道具師長セアン様だった。
穏やかな笑みと柔らかい空気を漂わせて、リアムとはまったく違う雰囲気だ。
「セアン様ですよね。挨拶が遅れてしまって……」
図書館ではルーカス様から助けてもらった。
まずは挨拶をし、握手しようと手を差し出すと、さっきまでの穏やかな表情が一変し、冷たい青の瞳が私の手を見下ろした。
――あ、あれ? なんだか雰囲気が違う?
「竜の卵を守る獣人に殺されてくれたらいいと思って、案内したんだけど、残念な結果に終わっちゃったな」
小声で言われた言葉は、私以外の誰にも聞こえなかった。
リアムも背中を向けていたし、フランも遠くにいる。
セアン様は穏やかな笑みを浮かべていたから、私もなにを言われたのか瞬時に理解できなかった。
表情とセリフが一致してなかったため、言われた私も理解が追いつかない。
「え? 殺されなくて残念……?」
セアン様は笑い、私が差し出した手を無視して、その横を通りすぎていった。
――今のは冗談?
それとも本気だったのだろうか。
握手するために差し出した手をすぐに引っ込めるわけにはいかず、自分の手をしばらく見つめていた。
私と握手をしながら、ヘレーナは清々しい顔をしている。
リアムがいったいなにをしたのか、フォルシアン公爵も低姿勢だし、覇気がない。
――この勢いなら言える!
そう確信した。
「フォルシアン公爵。お願いがあります!」
「な、なんだ?」
なぜか私に怯えている。
リアムならわかるけど、私にそんなビクつかないで欲しいと思った。
「狼獣人の奴隷を解放していただきたいのです」
「奴隷を? それはできん。こちらは高額で優秀な奴隷を手に入れている」
公爵の獣人への態度は変わりなかった。
心配そうな顔をしたフランに気づき、ここは絶対負けられないと思った。
「では、そちらの条件を教えてください」
「ふむ。この件で処罰されても生活していけるよう金になるものがいいか……」
かなり高額な金額になる――そう思った瞬間、シエルさんの咆哮が轟いた。
『なにをモタモタしているのだ! からあげを作るというから、背中に乗せてやったのだぞ!』
待ちきれないシエルさんから、からあげの催促がきた。
この中で、竜語がわかるリアムだけが、シエルさんを『子供か……』というように、呆れた顔で眺めている。
「な、なぜ、竜は怒っているんだ?」
竜語がわからないフォルシアン公爵は怯えていた。
「竜はこう告げています。卵を盗んだ代償を身をもって払えと!」
「まさか、人間の生け贄を求めているのか?」
「代償は必要です……」
私が深刻な表情で言った。
そんな私をリアムがなにか言いたそうな顔で見ている。
でも、嘘は言っていない。
代償として、からあげを求めているのだから、これは真実である。
――必要なのは人ではなく、鶏の身ですけどね。
「娘を差し出すしかないのか」
「あ、あたし? お父様、娘を犠牲にするつもりなのっ!?」」
私がまだ出発しないため、シエルさんが焦れったそうにしている。
フォルシアン公爵の決断を促すため、あえて、私は厳かな態度で尋ねた。
「フォルシアン公爵。私なら竜と交渉できます。どうされますか?」
「わかった! 獣人二人は諦めよう。そのかわり、竜をなだめてもらいたい」
「承知しました」
私はシエルさんに向き直り、話しかける。
「すみません。お待たせてしてしまって。ようやく話が終わりました」
『なにかモメていたようだが?』
「気にしないでください。えーと、からあげの肉は、リアムにロックバードの肉を解凍してもらおうと思っているのですが、いかがでしょう?」
ロックバードときいて、シエルさんはつばをのみこんだ。
――あ、食べたことあるんですね。
すでにシエルさんはロックバードの肉の美味しさを知っているようだ。
お腹を鳴らし、つばをのみこむシエルさんを見て、フォルシアン公爵家の面々はびくびく怯えていた。
「お、おい。人間を食べようとしてないか?」
「きっと怒りがおさまらないのだろう」
そんな声が聞こえてくる。
竜語がわかるリアムの視線が痛い。
『ロックバードの肉か。想像しただけでうまい。悪くない取引だ。それで、どれくらいかかる?』
「そうですね。ここから王都に戻り、肉を解凍して漬け込む作業があるので、四日ほどいただけたら、作れると思います」
『ふむ』
「もうすぐ市場も再開しますし、からあげがたくさん食べられますよ」
シエルさんがその情報に食いついてきた。
『なんだと! それを早く言え! そうなると、鶏も食えるし、ロックバードも食べられるということか。夢のようだな……』
鶏もいいけれど、ロックバードの肉は格別である。
やわらかくジューシーで、からあげにはもってこいの肉だ。
『よかろう。四日、待ってやる』
「ありがとうございます」
交渉が成立した。
シエルさんとの交渉が終わり、フォルシアン公爵に向き直る。
「私は竜の怒りをおさめるため、急ぎ王都へ戻り、作業しなくてはなりません」
「わかった。特別な儀式をするのか?」
「儀式……? えーと、はい、そうです」
肉を調味液に浸ける儀式だから間違ってはいない。
真面目な顔でうなずいた。
「それでは、竜の怒りを鎮める儀式のため、狼獣人の二人を連れて帰ってもよろしいですか?」
「もちろんだ!」
「では、こちらにサインを」
しっかり二人の自由証明書にサインをもらう。
いそいそとウエストポーチにしまった私をリアムが呆れていた。
「なにが儀式だ」
「嘘は言ってませんよ? リアムにも協力してもらいますからね?」
「肉の解凍だろ」
「そうです」
リアムは私とシエルさんの話をしっかり聞いていたようだ。
シエルさんは竜の巣に戻るらしく、両翼を広げた。
『では一度、竜の巣に戻る。美味いからあげを期待しているぞ!』
「はい!」
シエルさんは去り際、なにか忘れていたのか、地面を蹴ろうとした足を戻した。
「シエルさん?」
『お前とヴィフレアの死神は親しいようだが、あやつだけはやめておけ』
シエルさんはリアムをちらりと見た。
『忌まわしい呪われた魔術師だ。ともにいても先がない』
「呪われた?」
私が聞き返そうとした時、土を踏む音がしてリアムが近づいてきた。
「おしゃべりな竜だ」
リアムが目を細め、シエルさんに近づく。
シエルさんは詳しく教えてくれず、途中で話をやめた。
『忠告はした』
リアムから逃げるように、シエルさんは翼を広げる。
『他の人間はともかく、我はお前を気に入った。また会いにいく』
「はいっ! ぜひ、またご来店ください!」
『そういう意味ではないのだがな』
シエルさんは苦笑して飛び立つ。
空を見上げ、竜たちが巣へ向かって去っていく姿を見送った。
その私の横で、リアムがため息をつく。
「お前は厄介な奴ばかりに好かれる」
「それって、リアムのことですか?」
「お前の口にからあげを詰めるぞ」
「からあげを!? 世界の平和を守ったのに扱いが雑じゃないですか?」
ヴィフレア王国の危機が去り、宮廷魔術師たちからも緊張感が消えた。
「サーラ様はとんでもない方だ」
「竜族やリアムさまと対等に話をされている」
宮廷魔術師であっても竜はやはり驚異であるらしい。
それと同等の扱いを受けるリアムに、複雑な思いを抱いたけれど、その言葉はソッと胸の奥にしまった。
宮廷魔術師たちの中に、青色の髪が見えた。
――青の髪と瞳。宮廷魔道具師長のセアン様ですね。
わかりやすい特徴のため、すぐに誰なのかわかった。
「フランの家族は森にいるんだったな?」
「あっ! はい」
「森に寄ろう」
お父さんとお兄さんと一緒に帰れるとわかって、フランは笑顔になった。
「サーラ。リアム様。本当にありがとう!」
「フラン。お礼はいりません。私たちは仲間なんですから」
仲間と言われて、リアムが嫌がるかもと思ったけど、まんざらでもない顔をしていた。
「帰るぞ」
リアムが先に歩いていく。
フランが嬉しそうに、その後ろを追いかけ、私も続こうとした。
けれど、私を呼び止めた人がいた。
「アールグレーン公爵令嬢」
それは魔道具師長セアン様だった。
穏やかな笑みと柔らかい空気を漂わせて、リアムとはまったく違う雰囲気だ。
「セアン様ですよね。挨拶が遅れてしまって……」
図書館ではルーカス様から助けてもらった。
まずは挨拶をし、握手しようと手を差し出すと、さっきまでの穏やかな表情が一変し、冷たい青の瞳が私の手を見下ろした。
――あ、あれ? なんだか雰囲気が違う?
「竜の卵を守る獣人に殺されてくれたらいいと思って、案内したんだけど、残念な結果に終わっちゃったな」
小声で言われた言葉は、私以外の誰にも聞こえなかった。
リアムも背中を向けていたし、フランも遠くにいる。
セアン様は穏やかな笑みを浮かべていたから、私もなにを言われたのか瞬時に理解できなかった。
表情とセリフが一致してなかったため、言われた私も理解が追いつかない。
「え? 殺されなくて残念……?」
セアン様は笑い、私が差し出した手を無視して、その横を通りすぎていった。
――今のは冗談?
それとも本気だったのだろうか。
握手するために差し出した手をすぐに引っ込めるわけにはいかず、自分の手をしばらく見つめていた。
376
あなたにおすすめの小説
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です
ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」
「では、契約結婚といたしましょう」
そうして今の夫と結婚したシドローネ。
夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。
彼には愛するひとがいる。
それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?
死んだ王妃は二度目の人生を楽しみます お飾りの王妃は必要ないのでしょう?
なか
恋愛
「お飾りの王妃らしく、邪魔にならぬようにしておけ」
かつて、愛を誓い合ったこの国の王。アドルフ・グラナートから言われた言葉。
『お飾りの王妃』
彼に振り向いてもらうため、
政務の全てうけおっていた私––カーティアに付けられた烙印だ。
アドルフは側妃を寵愛しており、最早見向きもされなくなった私は使用人達にさえ冷遇された扱いを受けた。
そして二十五の歳。
病気を患ったが、医者にも診てもらえず看病もない。
苦しむ死の間際、私の死をアドルフが望んでいる事を知り、人生に絶望して孤独な死を迎えた。
しかし、私は二十二の歳に記憶を保ったまま戻った。
何故か手に入れた二度目の人生、もはやアドルフに尽くすつもりなどあるはずもない。
だから私は、後悔ない程に自由に生きていく。
もう二度と、誰かのために捧げる人生も……利用される人生もごめんだ。
自由に、好き勝手に……私は生きていきます。
戻ってこいと何度も言ってきますけど、戻る気はありませんから。
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?
水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」
「はぁ?」
静かな食堂の間。
主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。
同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。
いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。
「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」
「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」
父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。
「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」
アリスは家から一度出る決心をする。
それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。
アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。
彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。
「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」
アリスはため息をつく。
「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」
後悔したところでもう遅い。
貴方達から離れたら思った以上に幸せです!
なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」
信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。
私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。
「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」
「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」
「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」
妹と両親が、好き勝手に私を責める。
昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。
まるで、妹の召使のような半生だった。
ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。
彼を愛して、支え続けてきたのに……
「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」
夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。
もう、いいです。
「それなら、私が出て行きます」
……
「「「……え?」」」
予想をしていなかったのか、皆が固まっている。
でも、もう私の考えは変わらない。
撤回はしない、決意は固めた。
私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。
だから皆さん、もう関わらないでくださいね。
◇◇◇◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。