離縁された妻ですが、旦那様は本当の力を知らなかったようですね?

椿蛍

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第4章

22 できそこない? いいえ、魔道具師です!(2)

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「え……? 売れない……?」

 エリサさんはうなずいた。
 先ほどまで驚き、感動していた他の人たちも微妙な顔をしている。
 
「ぼく、こっちがいい!」
「わたしも~!」

 アルトとリリヤは、自分たちが使ってるお気に入りのティーカップを私に見せた。
 アルトのティーカップは勇ましい獅子の絵柄、リリヤのティーカップは花柄で、どちらも子供が好みそうなデザイン。
 私のティーカップは模様がなく、形にもこだわりがない一般的なティーカップだ。

「このティーカップはおかあさまが、ぼくたちにプレゼントしてくれたんだよ! とっても気に入ってるんだ!」
「おかあさまの選んでくれるドレスやアクセサリーはすっごくかわいいの。でも、このティーカップはかわいくないもん」

 ――可愛くない。

 鍋もそうだけど、私は便利ならいいだろうと思っていた。
 そこばかりに気をとられ、先日、ファルクさんからもセンスについてアドバイスされたばかりだ。

「かわいくないと、おともだちにバカにされるからイヤ!」

 リリヤは私にとどめを刺した。

「そ、そうですか……。馬鹿にされますか……」

 せっかく作ったティーカップだけど、売りものにはならないと知って、肩を落とした。

「サーラ様、がっかりなさることはありません。ティーカップ自体はとても便利ですし、使いたいと思うでしょう。ただ売るのであれば、見た目は需要ですわ」
 
 エリサさんはお客様に出した野ばらのティーカップを私に差し出す。
 白い野ばらの模様は繊細で美しい。
 このティーカップでお茶を飲めば、お嬢様のように振る舞える気がする。

「図案家に頼んで、ティーカップに絵柄を加えてはいかがでしょう?」

 ファルクさんと同じことを言われてしまった。
 裏通りでは実用性を重視したものが売れた。
 でも、貴族階級の人々の購買意欲を刺激するには、実用性だけでなく、見た目の美しさや華やかさも重要だ。

「そうですね……。考えてみます」
「ええ。とてもいい商品になると思いますわ」
「皆さんも貴重なご意見をありがとうございました」

 私が頭を下げてお辞儀すると、全員が驚いた。

「べ、別に私たちはなにも……」
「そうよ。ちょっとお茶を飲んだだけですわ」
「でも、このティーカップは使わせていただきます。お客様には出せないけれど、個人的に使うぶんには便利だもの」

 デザインは微妙でも、機能面に問題はなさそうで、ホッとした。
 それに、お土産を使ってもらえるようで嬉しかった。

「ありがとうございます!」

 私がお礼を言うと、アルトとリリヤが戸惑っている様子が目に入った。

「サーラおばさまは働いてるの? アールグレーン公爵家の人間なのに?」
「変なの~。宮廷魔道具師なのに、ティーカップを作るなんて~」

 ――おばさま!? また、おばさまって言った?

 これは厳しく教育する必要があるようだ。
 
「そうですよ。サーラは魔道具を売っています」
「ふーん」
「かわいいものなさそう」

 アルトとリリヤに言われ、むきになって言い返した。

「そんなことないですよ! 一時期、商品の陳列が目新しくてわかりやすいって、王都中の評判になったんですから!」
「かわいいって言われてないし~」
「リリヤ、かわいいものじゃないと、つかいたくなーい!」

 二人は私を馬鹿にして笑っていた。

 ――な、な、なんですか! この子たちは! ユディンにそっくりなんですけど!

「サーラ、落ち着いて。大人げないよ」

 拳をぶるぶる震わせていた私を見て、フランが慌てて止めた。

「わかってます、わかってますけど!」
「王都へ戻ったら、図案家に頼もうよ」
「そうなんですけど、王都の有名な図案家は他の魔道具店と契約しているんですよね……」

 ニルソンさんに依頼する時もそうだった。
 腕のいい職人は魔道具店と契約を結んでいることが多く、簡単には見つからないのだ。
 それと同じで、名の知れた図案家たちは、すでに契約済みである。

 ――私に足りないもの。それはセンス!

 わかっているけど、こればかりは、努力でどうにかなるものではない。
 ふと、客間の絵画が目に入った。
 そういえば、ここは芸術家を目指す人々が集まるアールグレーン公爵領である。
 アールグレーン公爵領には美術学校もあるというし、誰か紹介してもらうことはできないだろうか。

「あのっ! エリサさん。お願いがあります!」
「お願いですか? なんでしょう?」
「アルトとリリヤが使っているティーカップの図案家を紹介していただけませんか?」

 二人はエリサさんが購入したものだと言っていた。
 つまり、前世の世界でいうところの『セレブ御用達のブランド品』なのかもしれない。
 ブランド品じゃなくても、目の肥えたアルトとリリヤが気に入るくらいなのだ。
 もし、その図案家が他の魔道具店と契約していないなら、依頼したいと思った。
 子供たちが使うティーカップひとつにも、こだわりがあるエリサさん。
 図案家のことについて、なにか知ってそうな気がした。
 
「紹介ですか……。でも、その……」

 急にエリサさんが動揺しだした。
 もしかしたら、聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもしれない。

「購入されたお店だけでも教えていただければ、お店のほうへうかがって、図案家が誰なのか聞いてみます」
「それは困るわ!」
「えっ? 困る?」
「そ、そうではなくて……。サーラ様はお忙しい方ですから、わざわざ足を運ばれるなんて大変でしょうし……」
「大丈夫です。鍋のほうにも絵柄を加えたかったので、図案家を探してました」
 
 私はお気遣いなくというように、エリサさんに微笑んだ。
 エリサさんはうつむいた。
 
「図案家の件は、また後からでもよろしいでしょうか……」
「もちろんです。私の仕事の話ばかりしてしまって、ごめんなさい」
「いいえ。サーラ様たちはお腹が空いていらっしゃるでしょうから、先にお食事をどうぞ」

 私とフランに食事を勧めてくれた。
 おかげで、サンドイッチや焼き菓子をたくさん食べることができた。

「まだお茶が熱いわ」
「サーラ様は魔道具師になられたのですね」
「お仕事をしていると聞いて驚きましたけど、斬新な商品ですわ」
「ええ。他の魔道具店にはありませんもの」

 お土産の効果か、好感度は抜群だ。
 親族の女性たちはティーカップを興味深そうに眺め、『リアムとルーカス様をどうやってろう絡するか』という話をにはならなかった。
 私の魔道具師としての仕事が気になるようだ。

「サーラ様のところでは、獣人が大勢いると聞きましたけど、危険ではありませんの?」
「獣人に店を任せて大丈夫でして?」

 獣人は奴隷身分の者が多く、私が彼らと対等に接することに違和感があるようだ。

「獣人や竜と争っていたのは、大昔のことです。フランは計算も早いし、物覚えもよくて助かっています。とっても頼りになるんですよ!」

 私が誇らしげに言うと、フランは顔を赤くした。

「サ、サーラ! 褒めすぎだってば……!」
「本当のことです。それに、獣人国の刺繍の技術は目を見張るものがあります。刺繍入りの壁掛けもいいですし、クッションカバーにして飾るだけでも、部屋の雰囲気が変わります」

 刺繍の話を持ち出すと、おしゃれに敏感なアールグレーン一族の女性たちは、ぐっと食いついてきた。

「獣人の刺繍の腕が素晴らしいという話は、よく耳にしますわ」
「こちらが希望したオリジナルの刺繍を注文オーダーできますかしら?」
「もちろんです。絵柄なども細かく承っております。世界でひとつだけの刺繍をご注文することができますわ」

 獣人国の女性は、今まで刺繍した小物を行商人に売って、家計の足しにしてきた。
 私の店でも並べていたけれど、買っていくのは裏通りの人々だけであることに気づいた。
 なぜなら、貴族たちはアクセサリーや小物は魔道具店で注文する。
 そのため、身を飾るものや鞄などの売れ行きはいまいち。
 でも、壁掛けやクッションカバーならどうだろう。
 そう思い、店に並べたところ売れ行きは好調。
 こっそり貴族が買っていくのを見た。
 それ以来、オリジナル刺繍の注文も引き受けている。
 なぜなら、特注品であれば、普通に刺繍したよりもずっと高く売ることができるからだ。

「サーラ。ちゃっかり営業してるんだけど……」
「いいじゃないですか。皆さん、興味津々ですよ!」

 私とフランは声を潜めて話す。
 獣人たちの収入が増えれば、生活がますます豊かになって安定する。
 今年の冬の穀類は、すでに購入できている。
 だから、奴隷商人に売られずに済む。
 でも、小さい子がいたり、お年寄りは王都へ出稼ぎに来ることができない。
 そんな獣人のために、なにかできたらと思って始めたのが、刺繍の注文だ。
 マルメルさん一家が、フランを捜し、店にやってきた時、見事な刺繍が施された民族衣装を見た。
 それで、刺繍の技術を生かせないか考えていたのである。

「アールグレーン公爵領と獣人国はお隣に同士。いずれ、獣人国にアールグレーン商会の支店を作って、刺繍や織物を中心に、もっと稼げないか考えているところです」
「サーラ……。おれたちのことを考えてくれてるんだね。ありがとう……」
「私と獣人たちは運命共同体。仲間ですから!」

 私たちは共にアールグレーン商会を経営する仲間同士。
 最初はフランだけだったのが、今では獣人たちが大勢加わって大所帯だ。 
 未来のヴィフレア王国では、きっと私の店だけでなく、他の店や工房でも彼らが雇われ、それが普通になっていくはず――私はそんな夢を描いていた。
 
「そうなったら、夢のもふもふパラダイスが実現されます……」

 うっかり私の野望が、ぽろりと口からこぼれ、フランから距離をとられてしまった。

 ――また変態扱いですか?

 私のイメージダウンもいいところだ。

「ティーカップとかティーポットのどこがすごいのかわからないや」
「リリヤも」

 どうやら、私の魔道具は子供には不評のようだ。
 見た目もだけど、派手さに欠ける私の魔道具。
 子供の心をつかむのは、大人たちと同じ魔道具では難しい。

「アルト、リリヤ。 サーラ様に失礼なことを言ってはいけません」

 エリサに叱られたアルトとリリヤは、ムッとしていた。

「だって、おかあさま! もっと面白い魔道具がいいよ!」
「王都のお土産で、おとうさまが買ってきてくれたネックレスはキラキラしてて、きれいだったもん!」

 アルトとリリヤにとって、魔道具はキラキラして綺麗なもの。
 名匠と呼ばれる細工師が作ったアクセサリーに、魔石がつけられた美しい魔道具。
 ファルクさんの店で見たような商品を言っているのだと思う。

「そうですね。私の魔道具は、子供向きではないと思ってました。だから、二人には別のお土産を用意してあるんですよ」
  
 私が言うと、アルトとリリヤは目を瞬かせた。
 
「ほんとう? お皿とかじゃないよね?」
「ぜったい変な魔道具だもん」
「今日はもう日が暮れて、外が暗いですから、また明日にしましょう。太陽が出ていないと、使えませんから」

 二人は『期待できない』という顔をしていた。
 エリサさんは暗くなった外に気づき、お客様たちに顔を向けた。

「すっかり話し込んでしまいましたね。そろそろお開きにしましょう」

 エリサさんの言葉に、他の人たちもうなずいた。

「明日はユディン様が公爵となられる日。夜にはお祝いのパーティーもありますもの。今日は早々に帰りますわ」
「エリサさん。公爵夫人となったら、今まで以上に頑張っていただかなくてはなりませんわよ」
「このアールグレーン公爵家の女主人となるのですからね!」

 エリサさんは落ち着いた声音で返事をし、微笑んだ。

「ご教授いただきありがとうございます。明日、また皆様に会えるのを楽しみにしておりますわ」

 穏やかで落ち着いていて、控えめなエリサさん。
 でも、私の目から見て、エリサさんの言葉や表情は心からのものではなく、作り物のように思えた。
 エリサさんはどこか無理をしてる気がする。

「あの……エリサさん……」
「サーラ様をお部屋に案内しますので、これで失礼します」

 私がなにか言う前にエリサさんは、言葉を遮った。

「こちらへどうぞ。お部屋へご案内しますわ」

 私とフランは、エリサさんに促されるまま、客間を出た。
 客間から出た廊下には、高級な火の魔石が使われた壁掛けランプがずらりと並び、床を明るく照らしていた。
 等間隔に火の魔石が使用されている。
  
「サーラ、すごいね」
「贅沢ですね……」

 フランと私が話しているのが聞こえたのか、エリサさんは少しだけ私のほうをちらりと見た。

「サーラ様は望めば、贅沢な暮らしができるはずです。ヴィフレア王家はアールグレーン公爵家よりも裕福ですもの」
「私は今が幸せなんです」
 
 隣を歩くフランに、『そうですよね?』と同意を求めるように微笑んだ。
 フランも笑ってうなずいた。

「私は氷の中から助け出されてから、大勢の人に出会いました。みんな、私にとって大切な人たちです。私は魔道具師になって本当によかったと思ってます」
「……言わなくとも、サーラ様が幸せなのがわかりますわ」

 前を歩くエリサさんの顔は見えなかった。
 でも、エリサさんだって幸せだと思う。
 ユディンから『ハニー』と呼ばれるくらい愛されている。
 しかも、子供のアルトとリリヤだって、エリサさんを尊敬しているし、慕われている。

「サーラ様はルーカス様の妃にならないと、自分で選んで、魔道具師になったのですか?」
「そうです。私はルーカス様の妃になるつもりはありません」

 誤解が生まれないように、しっかり否定した。

「迷いがなくて、うらやましいですわ。私はいまだに、こんな地味な女が、ユディン様の妻になってよかったのかと思うことがありますもの」
「そんなことありません! エリサさんと出会った時、むしろ私は感動しました。ようやく私と同じ普通の人間に出会えたって!」
「サーラ。普通の意味、わかってる?」

 フランが横からツッコミを入れてきたけど、これでも私は普通のつもりである。
 
「サーラ様と私は同じではありませんわ。私は退屈でつまらない女です」
「つまらないなんて、そんなことっ……」 
「申し訳ありません。こんな話をするつもりはなかったのですけど」

 私が滞在する部屋らしく、エリサさんは扉の前で足を止めた。
 それは重そうなしっかりした扉だった。
 きっとすごく豪華な部屋に違いない。

「こちらの部屋をお使いください。フランさんの部屋はお隣です。荷物は運ばせてありますわ」
「ありがとうございます。えっと、じゃあ、サーラ。隣らしいから、なにかあったら呼んで」
 
 フランはエリサさんから鍵をもらうと、軽く会釈をして、先に隣の部屋へ入っていった。
 エリサさんは私に微笑み、どうぞと扉を開けてくれた。
 エリサさんのことが気になっていたけど、旅の疲れもあって、促されるままに部屋へ入った。

 ――今の話はどういう意味だったの? エリサさんは自分が嫌いってこと?
 
 私が気になって振り返ると、エリサさんが扉を閉めたところだった。
 重い扉が目の前で閉じた。
 
「あ、鍵をもらってない……」

 フランは鍵をもらっていたのに、私は受け取っていないことに気づいた。
 扉の取っ手に触れ、開けようとしたけど、少しも動かない。
 ガチャガチャする音すら鳴らない。

「え? まさか閉じ込められた……?」

 大きな扉はびくともせず、扉というよりは壁である。
 もしかしたら、魔術か魔道具の一種かもしれない。
 体当たりしてみようと思った瞬間、扉が開いた。

「ぎゃっ!」

 扉の前で転びかけ、誰かにぶつかった。
 黒髪に青い目、全身黒づくめの服装で、いつもと違うのは、微かに煙草の香りがしたことだ。

「サーラ?」

 ――リアムがなぜ私の部屋に? 
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