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第2章
26 困った二人
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「メリア。約束通り、お茶会に来たぞ」
イーザック様はメリアを見ていた。
二人は愛し合っているから当たり前とはいえ、私と令嬢たちの間に気まずい空気が流れた。
私の前を通り過ぎ、イーザック様は愛しいメリアの前に立つ。
メリアはイーザック様にわざとらしく寄り添い、横目で私を見てくすりと笑った。
イーザック様はそんなメリアの表情に気づいていない。
――大丈夫。こうなることはわかっていたから。
「お前が招待に応じるとは思わなかった」
イーザック様はにこりともしないで、私に冷たい言葉をかけた。
令嬢たちがメリアの味方であるのもわかっている。
侍女のジェレンが、王宮前で待たされ、入れてもらえなかった時点で、覚悟していた。
――これは罠で、私は一人。
でも、なんとかしなくてはならない。
まだ私は【契約】を無効にする方法を手に入れておらず、メリアに正妃の地位を奪われたら、命を落とす――そんな状況だ。
深呼吸し、私は微笑んだ。
「お茶会に招かれるのは、初めてですから、嬉しく思いましたわ」
「ふん。嘘をつけ。俺の顔を見るのも嫌だろう」
「まあっ。それは、わたくしを見るのも嫌ってことですの?」
「そんなつもりで言ったのではありません!」
――なぜ、そうなるの?
私は感謝の意を伝えただけで、悪意は少しもない。
「それに今日、私が王宮へまいりましたのは、イーザック様にお礼を申し上げるためです」
「お礼? 俺になんの感謝がある?」
「私のシャルク・ホジャへの引っ越しを許可してくださいまして、ありがとうございます」
イーザック様は渋い表情を浮かべた。
まるで、その引っ越しが、イーザック様にとって不本意だとでもいうように。
「イーザック様、許可とはなんのことですの? なぜ、レフィカ様はシャルク・ホジャへ引っ越しを?」
メリアは私が引っ越したことを知らず、動揺していた。
「わたくしに秘密になさっていたの?」
「そんなつもりはない!」
メリアはイーザック様の腕をつかみ、問い詰めた。
「私が引っ越したのは、ジグルズ様の元で、町の管理を手伝うためです」
「ジグルズ様ですって!?」
「今、ジグルズ様って言わなかった?」
ジグルズ様の名に、令嬢たちは驚き、ざわついた。
「どんな才色兼備な令嬢であっても難攻不落の第一王子……」
「ほとんど領地から出てこられず、社交界にも顔を出さず。お近づきになるのも難しい方なのに……」
ジグルズ様はとても人気があるようで、令嬢たちは私が働くことより、恋の話のほうが気になるようだ。
でも、私にとって浮気は死。
そんな疑惑を向けられたら、命に関わる大ピンチ!
「ベルクヴァイン公爵領は人手不足で、大変な状況です。王宮を出て時間をもて余すくらいなら、お手伝いできたらと思いました」
事実、その通りなのだから、私は堂々とした態度で言えた。
令嬢たちはお互いの顔を見ながら、うなずいた。
「お屋敷に閉じ籠っているよりはよろしいかもしれませんわね」
「なんてご立派なの。ショックでしょうに、それでも責務をお忘れにならないなんて!」
メリアのほうを見ると、わなわなと手を震わせていた。
「レフィカ様は妃でしょう? 妃という立場でありながら、下々に混じり、公爵領で働くなんて恥ずかしくございませんの?」
「誰の領地であっても、同じグランツエルデ王国。豊かになるのは悪いことではありませんわ」
意外なことに、メリアよりもイーザック様のほうが、私の話を黙って聞いていた。
そして、なにを言うのかと思ったら――
「兄上は一緒に来なかったのか。てっきり、兄上はお前を……」
「違います。ジグルズ様は分別ある方ですわ」
「まるで、俺が分別ない男だと言っているみたいだが。兄上にやましい気持ちが少しもないと言いきれん」
そういえば、イーザック様はジグルズ様が私を気に入って、屋敷に連れ去ったと勘違いし、突撃してきたのを思い出した。
なかなか思い込みが激しいようだ。
「もしかして、レフィカ様はイーザック様に嫉妬させて気を引こうとしていらっしゃるの?」
――なぜ、そうなるの?
メリアはメリアで、私とイーザック様の仲を疑い、私に厳しい目を向けてきた。
「レフィカ様は恐ろしい方ですわ。イーザック様を奪おうと、あれこれ策を巡らせていたのですね」
策を巡らせたのはメリアのほうだ。
けれど、本来なら、メリアの味方であるはずの令嬢たちは無言だった。
それもそのはず、私を傷つけ、孤立させようとたくらんでいたのは、明らかにメリアだけだからだ。
びゅうっと冷たい風が吹き抜けていった。
花がなくなった庭園は寒ざむしい。
メリアの嫌がらせだろうけど、花を切り落とした庭は枯れて、ひどい有り様だ。
令嬢たちは怯えたかもしれない。
だけど、私は違う。
この程度の嫌がらせで、怯えると思ったら大間違い。
後宮生まれの後宮育ち。
妃同士の嫉妬で、これくらいの嫌がらせは当たり前。
歩いているだけで泥水を頭からかけられたり、部屋にごみを投げ込まれたりすることもある。
――花を切り落としたくらいで、精神的なダメージはありませんよ。
むしろ、枯れた花は、大地のいいコヤシになってくれるだろう。
「メリア様。私はイーザック様の気を引こうだなんて、少しも考えておりません。お二人に幸せになっていただきたいと考えております」
私は心からの言葉で言った。
それなのに、イーザック様はムッとし、メリアはにらんできた。
「では、わたくしが正妃になりたい言ったら、あっさり譲られるのかしら?」
「正妃は譲れません……」
「ほら、やっぱり嘘だわ! イーザック様をわたくしから奪おうとしているのよ!」
「レフィカが? そうなのか?」
イーザック様はメリアに言われて、そんな気がしてきたのか、私のほうをちらっと見る。
「違います!」
「レフィカ様。正直になったほうがよろしいですわ。イーザック様を愛していらっしゃいますのね」
――違う、違うのに!
どう頑張ってもナナメ上へ向かう二人。
せめて、正妃をメリアに譲りますと言えたら、違っていたのだろうけど、そんなわけにはいかない。
そもそも、イーザック様は【契約】の中身を知っていて、私がメリアに譲れないとわかっているはずなのだ。
――それなのに、なぜ、私があなたを好きだと勘違いを!?
この勘違いをなんとかしなくてはと思うけど、私の話を二人はまともに聞く気があるのかどうか謎である。
そう思っていると、怯えていた令嬢たちが突然、黄色い声を上げた。
「あれはゼリヤ様!?」
「どうして、ゼリヤ様がこちらへ!」
「なんて麗しいお姿……!」
現れたのは、男物の宮廷服を着たゼリヤだった。
女性のはずが、その姿はとてつもない美男子ぶり。
しかも、令嬢たちは乙女なポーズをしている。
彼女たちは貴族令嬢だというのに、『ゼリヤ様』呼びなのも気になった。
「ゼリヤ、どうしてここへ?」
私が驚いていると、ゼリヤは私の手を取り、にっこり微笑んだ。
令嬢たちが『ずるーい!』『わたくしにもご挨拶を~!』『こちらを向いて笑って!』なんて騒いでいる。
「ジグルズ様に命じられ、レフィカ様をお迎えに上がりました」
そう言ってから、ゼリヤはイーザック様にお辞儀をした。
「陛下、申し訳ございません。レフィカ様は公爵補佐官としての仕事がありますので、これで失礼いたします」
ゼリヤは有無を言わせない空気を放ち、イーザック様を圧倒する。
「公爵補佐官だと?」
「はい。役職をいただいております」
「お前は俺の妃だろう? 役職につくとはどういう……」
イーザック様は最後まで言えなかった。
メリアが泣き出したからだ。
「さきほどから、イーザック様はわたくしを無視して、レフィカ様ばかり気にしていらっしゃいますわ!」
大声で泣き出したメリアに、イーザック様は動揺した。
「無視などしていない!」
ゼリヤは胸元のハンカチをメリアに差し出した。
「メリア様はご気分が悪いのではないのでしょうか。お部屋へ戻られたほうがよろしいのではありませんか?」
「そのようだな……」
イーザック様はまだ私に、なにか言いたそうな顔をしていたけれど、情緒不安定なメリアをこのままにはしておけない。
令嬢たちもまた、お茶会を楽しむどころか、早く帰りたいという雰囲気を漂わせている。
メリアが開いた王宮主催のお茶会はうまくいかなかったようだ。
悔しそうに唇をかんでうつむくメリアとイーザック様の苦々しい表情が、それを物語っていた。
イーザック様はメリアを見ていた。
二人は愛し合っているから当たり前とはいえ、私と令嬢たちの間に気まずい空気が流れた。
私の前を通り過ぎ、イーザック様は愛しいメリアの前に立つ。
メリアはイーザック様にわざとらしく寄り添い、横目で私を見てくすりと笑った。
イーザック様はそんなメリアの表情に気づいていない。
――大丈夫。こうなることはわかっていたから。
「お前が招待に応じるとは思わなかった」
イーザック様はにこりともしないで、私に冷たい言葉をかけた。
令嬢たちがメリアの味方であるのもわかっている。
侍女のジェレンが、王宮前で待たされ、入れてもらえなかった時点で、覚悟していた。
――これは罠で、私は一人。
でも、なんとかしなくてはならない。
まだ私は【契約】を無効にする方法を手に入れておらず、メリアに正妃の地位を奪われたら、命を落とす――そんな状況だ。
深呼吸し、私は微笑んだ。
「お茶会に招かれるのは、初めてですから、嬉しく思いましたわ」
「ふん。嘘をつけ。俺の顔を見るのも嫌だろう」
「まあっ。それは、わたくしを見るのも嫌ってことですの?」
「そんなつもりで言ったのではありません!」
――なぜ、そうなるの?
私は感謝の意を伝えただけで、悪意は少しもない。
「それに今日、私が王宮へまいりましたのは、イーザック様にお礼を申し上げるためです」
「お礼? 俺になんの感謝がある?」
「私のシャルク・ホジャへの引っ越しを許可してくださいまして、ありがとうございます」
イーザック様は渋い表情を浮かべた。
まるで、その引っ越しが、イーザック様にとって不本意だとでもいうように。
「イーザック様、許可とはなんのことですの? なぜ、レフィカ様はシャルク・ホジャへ引っ越しを?」
メリアは私が引っ越したことを知らず、動揺していた。
「わたくしに秘密になさっていたの?」
「そんなつもりはない!」
メリアはイーザック様の腕をつかみ、問い詰めた。
「私が引っ越したのは、ジグルズ様の元で、町の管理を手伝うためです」
「ジグルズ様ですって!?」
「今、ジグルズ様って言わなかった?」
ジグルズ様の名に、令嬢たちは驚き、ざわついた。
「どんな才色兼備な令嬢であっても難攻不落の第一王子……」
「ほとんど領地から出てこられず、社交界にも顔を出さず。お近づきになるのも難しい方なのに……」
ジグルズ様はとても人気があるようで、令嬢たちは私が働くことより、恋の話のほうが気になるようだ。
でも、私にとって浮気は死。
そんな疑惑を向けられたら、命に関わる大ピンチ!
「ベルクヴァイン公爵領は人手不足で、大変な状況です。王宮を出て時間をもて余すくらいなら、お手伝いできたらと思いました」
事実、その通りなのだから、私は堂々とした態度で言えた。
令嬢たちはお互いの顔を見ながら、うなずいた。
「お屋敷に閉じ籠っているよりはよろしいかもしれませんわね」
「なんてご立派なの。ショックでしょうに、それでも責務をお忘れにならないなんて!」
メリアのほうを見ると、わなわなと手を震わせていた。
「レフィカ様は妃でしょう? 妃という立場でありながら、下々に混じり、公爵領で働くなんて恥ずかしくございませんの?」
「誰の領地であっても、同じグランツエルデ王国。豊かになるのは悪いことではありませんわ」
意外なことに、メリアよりもイーザック様のほうが、私の話を黙って聞いていた。
そして、なにを言うのかと思ったら――
「兄上は一緒に来なかったのか。てっきり、兄上はお前を……」
「違います。ジグルズ様は分別ある方ですわ」
「まるで、俺が分別ない男だと言っているみたいだが。兄上にやましい気持ちが少しもないと言いきれん」
そういえば、イーザック様はジグルズ様が私を気に入って、屋敷に連れ去ったと勘違いし、突撃してきたのを思い出した。
なかなか思い込みが激しいようだ。
「もしかして、レフィカ様はイーザック様に嫉妬させて気を引こうとしていらっしゃるの?」
――なぜ、そうなるの?
メリアはメリアで、私とイーザック様の仲を疑い、私に厳しい目を向けてきた。
「レフィカ様は恐ろしい方ですわ。イーザック様を奪おうと、あれこれ策を巡らせていたのですね」
策を巡らせたのはメリアのほうだ。
けれど、本来なら、メリアの味方であるはずの令嬢たちは無言だった。
それもそのはず、私を傷つけ、孤立させようとたくらんでいたのは、明らかにメリアだけだからだ。
びゅうっと冷たい風が吹き抜けていった。
花がなくなった庭園は寒ざむしい。
メリアの嫌がらせだろうけど、花を切り落とした庭は枯れて、ひどい有り様だ。
令嬢たちは怯えたかもしれない。
だけど、私は違う。
この程度の嫌がらせで、怯えると思ったら大間違い。
後宮生まれの後宮育ち。
妃同士の嫉妬で、これくらいの嫌がらせは当たり前。
歩いているだけで泥水を頭からかけられたり、部屋にごみを投げ込まれたりすることもある。
――花を切り落としたくらいで、精神的なダメージはありませんよ。
むしろ、枯れた花は、大地のいいコヤシになってくれるだろう。
「メリア様。私はイーザック様の気を引こうだなんて、少しも考えておりません。お二人に幸せになっていただきたいと考えております」
私は心からの言葉で言った。
それなのに、イーザック様はムッとし、メリアはにらんできた。
「では、わたくしが正妃になりたい言ったら、あっさり譲られるのかしら?」
「正妃は譲れません……」
「ほら、やっぱり嘘だわ! イーザック様をわたくしから奪おうとしているのよ!」
「レフィカが? そうなのか?」
イーザック様はメリアに言われて、そんな気がしてきたのか、私のほうをちらっと見る。
「違います!」
「レフィカ様。正直になったほうがよろしいですわ。イーザック様を愛していらっしゃいますのね」
――違う、違うのに!
どう頑張ってもナナメ上へ向かう二人。
せめて、正妃をメリアに譲りますと言えたら、違っていたのだろうけど、そんなわけにはいかない。
そもそも、イーザック様は【契約】の中身を知っていて、私がメリアに譲れないとわかっているはずなのだ。
――それなのに、なぜ、私があなたを好きだと勘違いを!?
この勘違いをなんとかしなくてはと思うけど、私の話を二人はまともに聞く気があるのかどうか謎である。
そう思っていると、怯えていた令嬢たちが突然、黄色い声を上げた。
「あれはゼリヤ様!?」
「どうして、ゼリヤ様がこちらへ!」
「なんて麗しいお姿……!」
現れたのは、男物の宮廷服を着たゼリヤだった。
女性のはずが、その姿はとてつもない美男子ぶり。
しかも、令嬢たちは乙女なポーズをしている。
彼女たちは貴族令嬢だというのに、『ゼリヤ様』呼びなのも気になった。
「ゼリヤ、どうしてここへ?」
私が驚いていると、ゼリヤは私の手を取り、にっこり微笑んだ。
令嬢たちが『ずるーい!』『わたくしにもご挨拶を~!』『こちらを向いて笑って!』なんて騒いでいる。
「ジグルズ様に命じられ、レフィカ様をお迎えに上がりました」
そう言ってから、ゼリヤはイーザック様にお辞儀をした。
「陛下、申し訳ございません。レフィカ様は公爵補佐官としての仕事がありますので、これで失礼いたします」
ゼリヤは有無を言わせない空気を放ち、イーザック様を圧倒する。
「公爵補佐官だと?」
「はい。役職をいただいております」
「お前は俺の妃だろう? 役職につくとはどういう……」
イーザック様は最後まで言えなかった。
メリアが泣き出したからだ。
「さきほどから、イーザック様はわたくしを無視して、レフィカ様ばかり気にしていらっしゃいますわ!」
大声で泣き出したメリアに、イーザック様は動揺した。
「無視などしていない!」
ゼリヤは胸元のハンカチをメリアに差し出した。
「メリア様はご気分が悪いのではないのでしょうか。お部屋へ戻られたほうがよろしいのではありませんか?」
「そのようだな……」
イーザック様はまだ私に、なにか言いたそうな顔をしていたけれど、情緒不安定なメリアをこのままにはしておけない。
令嬢たちもまた、お茶会を楽しむどころか、早く帰りたいという雰囲気を漂わせている。
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