BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

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3章 二人の過去と今と未来へ

22.救出 〜ルカ視点〜

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  ~ルカ視点~
  
「……お兄ちゃん! お兄ちゃん、起きて!」
「怖い人が来る前に起きて!」
「大丈夫かなぁ?」

 何人かの子供の声がする。僕は何をしてたっけ?

「あっ!? 目を覚ましたかな?」
「長い髪の毛で目が見えないけど、起きたみたいだよ」
ゆさゆさと小さな手で、僕の肩を揺らしている。
 揺らしている?

「え……、どこ?」
子供達が僕を、ぐるりと囲んで見下ろしていた。
「皆、捕まっちゃったの。帰れないの」

「あっ!」
そうだ。僕は大きな倉庫から子供達の声が聞こえたと聞いて、倉庫の中に入ったんだ。
 そのあと……?

 布で口と鼻を塞がれて
「気を失っていた?」
何があったのか思い出してきた。腕を動かしてみると少し痺れたような感じだったけど、なんともなさそうだ。
 
 手をついて上半身を起こしてみた。
「いた……」
 体のあちこちが少し痛い。
「あのね。お兄ちゃんね、運んできたおじさんにポイッて床に投げられたの。痛かったでしょ?」
 7才位の女の子が教えてくれて、肩をなでなでしてくれた。
 
「ありがとう。優しいね」
 僕がお礼を言うと真っ赤になって照れていた。

 僕は気を取り直し、顔を上げて今いる所を観察した。
 配達の人に聞いた、地下だと思う。
広い部屋の奥側に小さめのベッドが10台。壁が三方にあって奥側に扉があるけど、トイレへの扉みたいだ。隣に部屋もありそう。

 ここに来るための登り降りする階段があって、僕達と階段の間に、天井から床まで鉄の棒が並んでいた。逃げられないためのおりだ。
 思ったより清潔で、子供達を見ると具合が悪い子供はいない感じだ。食事も与えられているみたいで安心した。
 
「怪我している子はいない? ご飯はもらえている?」
 僕が子供達に聞くと「怪我をした子は、いないよ。ご飯も3回食べてる」と返事をしてくれた。

 壁際に何人か、固まっている子達がいたのでそっちに目を向けた。
 膝を抱えて下を向いていた。
「あの子達、獣人の子だよ」
「ミル君!」
 教えてくれたのは、商店街の皆が探していたミル君だった。

「ルカ兄ちゃん! ぼく……捕まっちゃったの……」
 涙目で僕に言った。
「皆、心配して探していたんだ。他の皆も、騎士団の人達や皆が探して、きっと助けてくれるから大丈夫だ」
 わぁ! と子供達は明るい笑顔になった。

「僕達はきっと助けてもらえない……」
小さな声で、獣人の子がつぶやいたのが聞こえた。
「……人間は僕達獣人を怖がって避ける」
 クスンと泣き出した獣人の子がいる。

「だめだよ! きっと助けてくれるから、泣いちゃだめだよ」
「そうだよ」
「泣かないで」
皆が獣人の子達をなぐさめる。一人の女の子が、獣人の子達に近寄って頭を撫でた。

「そうだよ。皆、泣いちゃ駄目だ。いざ逃げる時、勇気を出して逃げなきゃ。僕が守るから」
「お兄ちゃん!」
「お兄ちゃん……」
 子供達が僕に抱きついてきた。今まで怖かったのだろう。

「皆、今までよく頑張ったね」
 よしよしと順番に頭を撫でた。
「僕達、獣人が怖くないの?」
 恐る恐る獣人の子が聞いてきた。この子はリスの獣人の子だ。しっぽで分かった。

「怖くないよ。ね、みんなもそうだよね?」
僕は他の子供達に聞いた。
「怖くないよ。いきなり叩かないよね?」
 ミル君が獣人の子に話しかけた。人間の子達はジッと獣人の子達の返事を待った。

「ぼくたちはそんなこと、しない。そんなことをするのはわるいひと」
 一番小さな獣人の子が言った。
「だよな――」
「そうよね」
 人間の子達は笑って話した。獣人の子達も安心したのか笑い合っていた。

「ところで、みんなのお世話は誰がしてたの?」
疑問だったことを聞いた。
「女の人。逃がしたり、逃げたりしたら家族がどうなるか知らないぞって言われてた」
 なるほど……脅されていたのか。その人には頼れないな。

 ……魔法を使うか。でも子供達に見られたくない。様子をみて、子供達が安全に逃げられるようにしなければならない。

 アラン様。僕が一人で行動したのが、いけませんでした。迷惑かけてしまったかな……。
「お兄ちゃん?」
 いけない。子供達の前で弱気になっちゃ駄目だ。

「きっと探しにきてくれるからね? まだ大人しくしてようね」
「「「うん!」」」
 みんな良い子だ。

 皆の気をそらす事が出来たら魔法を使おう。騎士団の騎士様達が助けに来てくれる。きっとアラン様も。

「誰だ、貴様は!」
 急に怒鳴り声が聞こえてきた。この倉庫の壁や床は薄くて、声が丸聞こえらしい。争う声が聞こえてくる。
 だから僕と話した配達の人が、子供達の声が聞こえたと言ってたのか!

「何……?」
「怖いよぉ……」
子供達は争う声に怯えてる。
「もしかしたら助けに来てくれたかもしれない」
「え!」
 僕がそう言うと、子供達はみんな階段の方に顔を向けて見ていた。

 今だ! 子供達が一斉に階段を見ている。
ドカ――――ン!

「えっ!? なに!」
「きゃあ!」
 僕は後ろの壁を、魔法で壊した!
壁が壊れて土ごと吹き飛んだ。

 爆風で破片が飛んだが、皆をローブで守った。
 薄い壁で良かった。土煙も凄い。
壊れた壁の向こうに、空が見えた。壁ごと地面をえぐって、地上まで貫通させた。


「みんな! 逃げるよ! 走って!」
僕は子供達に声をかけて、逃げるように促した。
「空が見える! いこう」
 子供達は皆、えぐれた地面を登って地上に出れた。

「よいしょ! がんばれ――!」
ミル君が小さい子を助けて登っていった。
全員、脱出できるように僕は一番最後に残った。
 
 バンッ! バンッ! バンッ!
ついでに魔法でおりの、鉄の棒も壊しておいた。
 
 子供達は頑張って登って逃げた。僕が最後に地下から逃げ出す時に、大勢の人がこちらに向かって呼びかけるのが聞こえた。
 
「いたぞ――!」
「騎士団のお兄ちゃん達だーー!」
騎士団の!? ああ、良かった!

僕も地下から逃げようとした。

 グイッと体が後ろに引かれた。
「よくも……! 金になる子供達を逃がしやがって!」
「ああっ!? ぐっ……!」

 後ろから首を掴まれた。力強く腕で首を締めている。僕は引きずられて部屋に戻されてしまった。
 苦しみながら耳を澄ますと、聞こえてきた。子供達は騎士団の人達に助けられているようだった。良かった……。

 「ぐっ……!」

 後ろ向きにズルズルと体を引きずられて、部屋に戻された。
顔だけを後ろに無理やり動かすと、僕を引きずっていたのは以前騒いだ男達を雇った、貴族風の男だった。 
 
 ギリギリと首が締まっていく。苦しい……。
このままでは、……。男は離そうとはしない。
 
 ……アラン、さま。


「ルカ!」
アラン様の声が聞こえた、気がした。

 

 
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