BLR15【完結】ある日指輪を拾ったら、国を救った英雄の強面騎士団長と一緒に暮らすことになりました

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3章 二人の過去と今と未来へ

31.お屋敷での目覚め 〜ルカ視点〜

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 朝、目が覚めると見慣れぬ部屋の中だった。
「そうだ……。アラン様のお屋敷に、お世話になっているんだった」
 質素な自分の寝室と、あまりにも違うので戸惑う。

 僕が危ない目にあっていたところ、アラン様に助けられてこうしてお世話になっているけどいいのかな。

 気持ちの良い布団から体を起こして、ベッドに座っていたときにドアがノックされた。ネネさんが起こしにきてくれたようだ。

「ルカ様、お早う御座います。良く眠れましたか?」
部屋のカーテンを開けて、にっこり微笑んで挨拶してくれた。
「お早う御座います。良く眠れました。アラン様は……」
 アラン様は何となく、毎日早起きしているイメージがあるので聞いてみた。

 あらあら! ふふ……とネネさんは嬉しそうだ。 
 「坊ちゃま……いえ、アラン様はお仕事に出かけましたが、お昼前にニール様と戻って来られる予定になっております」
「そうですか……」
 
 もうお仕事に行ってしまったのか……。朝のご挨拶したかったな……。僕は寂しくなった。
 事情聴取があるとアラン様が話していたので、お昼前にいらっしゃるのか。

 「アラン様は早朝に鍛錬してからお食事し、お仕事に向かわれましたが、ルカさまのことを気にされてましたよ」
「え?」
 ふふ……とまた嬉しそうに笑い、僕に教えてくれた。

「ゆっくり寝かしてやれとか、食事は胃に優しいものをとか……もう、それはルカ様の心配ばかりお話して、お仕事に行かれました」
 お話しながらネネさんはテキパキと、僕の支度を手伝ってくれた。

 着心地の良いシャツに、ズボン。
「お借りしますね」
 僕がそう言うとネネさんは、
「まあ! ルカ様は大事な大事な、大切なお客様なので遠慮なさらないで下さいませ!」と言ってくれた。
 僕はネネさんに優しくされて、母と子供の頃に世話をしてくれた人を思い出した。

 ネネさんに鏡台の前に座るように言われたので、座った。
「髪の毛に良い、オイルがあるので使いますね」
今日はローブを洗ってもらっているので、羽織ってない。
 
「あ! 自分でやります」
 耳があるのを知られたくない。一応、しまってはいるけど念のために。
「では、毛先だけやらせて下さいませ」
 鏡越しにネネさんが、「ね?」と言って両手を合わせて、微笑んでいたのが見えたので断れなかった。

「お、お願いします……」
僕がペコリと頭を下げると、ネネさんは見て分かるような良い笑顔になった。
「失礼しますね」
そっと僕の後ろの髪の毛を一房、手に取ってオイルを塗っていった。

 フワリといい香りが僕の周りに広がった。
「いい香りですね」
優しい花の香り。ボサボサの僕の髪の毛に丁寧につけてくれている。

「お気に召しましたか? アラン様がお選びになった物なのですよ。ルカ様に、って」
 アラン様が? 嬉しい。
「お手入れをしていけば、髪も艶々になりますよ」
「ありがとう御座います」
どうしても自分の手入れは後回しにしてしまうから、髪の毛は傷んでしまっていた。

「さあ、お食事にいたしましょう」
 そのあとは他のメイドさん達が来て、朝食を食べた。僕が食べられそうな量だったので良かった。
 
「アラン様とニール様がいらっしゃるまで、お時間がありますからお庭を散策などなさいますか?」
美味しい朝食を食べ終わり、紅茶を頂いていたときにネネさんが誘ってくれた。

 お庭はたくさんの花が咲いていた。
石畳があって進んで行くとガゼボを見つけた。ベンチや椅子の上に屋根がついたものだけど、日除けになって壁がないので風通しが良くて好き。
 僕はそこにお邪魔して椅子に座った。

 ふう……と軽く深呼吸すると、外の新鮮な空気が気持ちが良い。天気もいいので、咲いている花々の色が鮮やかに見えて綺麗だ。

 お屋敷の皆さんに優しくされて、美味しい食事に肌触りの良い衣服。良いのかな……。
 与えられてばかり申し訳ないので、僕ができる事は……。

 キョロキョロと周りを見る。今はネネさんとメイドさんはお茶の用意のために、ここにいない。
 ガゼボから出て、数歩。歩いて立ち止まる。影になっているので見えないだろう。
 両の手のひらを、肩あたりまで上げて呪文を唱える。

「ルカリオンの名において。このアラン様の屋敷を優しく守り、外からの悪しき侵入を許すことのないように」
 スッ……と両手を頭上にかざすと、キラキラと光るベールがお屋敷とお庭全体をおおった。

「これで結界は、ヨシッと……」
気が付かれないけれど、これでアラン様とお屋敷の皆さんが守れるならいい。

 久々に大きな結界を張ったので、魔力が減ってスッキリした。使わないと溢れて、大変なことになるから良かった。

 上気分で、振り返ってガゼボに戻ろうとした。
 
「ルカ……?」
そこにはアラン様とニールさんと、治療をしてくれた医師兼魔法使いの人が、ガゼボの向こう側に立っていた。
 
「アラン……様」
僕はまさかアラン様が、こんなに早くお屋敷に戻ってくるとは思わなかったので、驚いて立ちすくんだ。
でも。
 
をしてたのですか? お元気そうで良かったです。ルカ君」
 ニールさんが、何も疑いなく話しかけてきたのでホッとした。

「……はい。気持ちが良いお庭だったので、体を伸ばしていました」
 嘘をついているようで嫌だったけれど、魔法を使えることを知られたくないので、とっさに返事ができた。

「こちらのお庭。このガゼボでお話しましょうか? 事件のことは簡単にして、楽しみましょう」
 ニールさんがそう言い、ガゼボに入ってきた。あとに続いてアラン様と医師の人が入って座った。

「よろしくお願いします」
ニールさんと医師の人は真向かいに、アラン様は僕の隣に座ってくれた。

  
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