ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった

文字の大きさ
39 / 60

39 レンとルビー、アッシュに魔法を習う

しおりを挟む

 
 
 『私、魔法が使えるピ』
 スラリと立っているルビーが俺達に言った。

 「え、ルビー。本当なのか?」
『うん』

 「……ちなみに、何系の魔法を使えるのかな?」
 アッシュは優しくルビーに聞いた。魔法……。そういえば俺、まだ魔法を見てないかも? ルビーの使う魔法に興味がある。

『今、まだ小鳥だから火の魔法しか使えない……』
 ルビーはシュンとしてしまった。
 「すごいじゃないか! ルビー! 魔法を見せて! 見たい!」
 俺はルビーに魔法を見せてと、ねだった。

『わかった……』
 ルビーが頷くと呪文を唱えた。
 『火の精霊。……ルビーが、解放する。いでよ! 炎!』
 バッ! と、ルビーが手を前に出すと、真っ直ぐに大きな炎が飛び出していった!
 
 ゴオオオオオオオオ!
 
 「きゃあ!」
『キュ――――!』
 「うわ!」
 「ちょ! ストップ――――!」

 俺とレミさん、アッシュと橙の精霊たちの間を、大きな炎が轟音を立ててかすっていった。最後には壁にぶつかって消えた。
『キュキュ、キュ……』
 「あ――っ!? 橙の精霊たちの毛が少し焦げている!」
 一部の橙の精霊の、モフモフの先の毛がルビーの炎の魔法で焦げてしまった。

『ご、ごめんなさい――!』
 ルビーはスカートをぎゅっと握って謝った。
 「ちょっと危なかった……」
 アッシュはとっさに避けたけど、直撃コースだった。

 「こ、小鳥だし! びっくりしたけど!」
 まだ心臓がどきどきしているけど! レミさんが尻もちをついたので、手を取って起こしてあげた。

 「加減はできる? 練習しようか」
 ルビーにアッシュが優しく聞いた。
『うん』

  それからルビーは、アッシュに魔法を習おうとした。いいな、俺も習いたい。
 「アッシュ、俺も魔法を使えるかな?」
 ダメでもやってみたかった。素質がなければあきらめられるし。
 「ん――、どうかな? 一緒にやってみる?」
 お――! やっぱりアッシュは優しい! 俺は腕まくりしてルビーの横へ並んだ。

  「じゃあ、簡単に始めるよ。魔法は、魔力がなければ魔法を出せない。魔力と、あと精霊たちの力を借りなければならない」
 
 「あれ、ルビーは……」
 精霊、だよね? ちらっとルビーを見た。ルビーは俺の視線に気が付いた。
『まだ小鳥だから、おかあさんの力を借りないといけないの……』
 「そうか! でもすごいよ! ルビーは!」
 俺達が丸焦げになりそうな強力な魔法だったし!

『すごい?』
 首をかしげて言った。可愛いな――。
 「うんうん! だけど、コントロールできるようになろうな!」
『がんばる……ありがと、レン!』
 んんっ! 可愛い!

 「ルビー様、呪文のお声を小さくしてみてはいかがでしょう?」
 レミさんがしゃがんで顔を近づけてそっとルビーに話した。
 「あ、それいいですね! 声を小さくして呪文を唱えてみて下さい」
  アッシュはレミさんのアドバイスに頷いた。

  『炎よ、いでよ』
 人差し指だけ立てて、ルビーは呪文を唱えた。すると指先に小さな炎が出た。

 「やったね! ルビー!」
 ルビーは、魔法をコントロールできた。
『うん』
 照れくさそうに体をモジモジさせた。

 「その調子で、コントロールできるね。次はレン!」
 アッシュは穏やかに微笑んでいたけれど、俺の番になったら厳しい顔へとなった。
 「はい! お願いします!」

 俺は魔法を使えるかな……? ちょっと緊張する。

  「念のため、窓に向かって魔法を出してくれる?」
 アッシュはフロアにある窓を指さした。ルビーも思いかけないほどの威力だったし、警戒するし念のためだよね。俺は初めて魔法を出そうとした時、全く魔法を出せなかったから大丈夫じゃないかな!
 
 「大丈夫だよ! 窓まで距離があって届くわけ……」
 
 ズウウウウウウウン!
 
俺が窓を指さしたら、大量の草花が指先から飛び出した! ツルが束になって窓から飛び出てしまった。
 「これ、なに!?」
 炎でもない、水でもない、魔法? だった。

 大きな神社のしめ縄くらいの太さと長さの草花のツルや枝の束。所々には花や何かの実がある。それがドスン! と床へ落ちた。
 「これは……」
 レミさんの顔に汗が浮かんでいた。アッシュもしきりに首をかしげている。
 「なんだろう?」
 二人とも俺の出した魔法が、何かわからないようだった。

 「これって……魔法なの?」
 床に落ちた草木の束を見て俺は、これがなにかわからず不安になった。
 「たぶん……魔法だと思うけど、特殊だね。見たことがない」

 ええええ……。それじゃ、攻撃できないかも。アッシュの足手まといになる?
 「アッシュ、ごめん! 俺、魔法じゃなくて後方でサポートするよ!」
 「謝らなくていいよ、レン!」
 俺が下を向いているとアッシュが近寄って頭をポンポン! と軽く叩いてなぐさめてくれた。
 「攻撃的な魔法が使えなくても、レンはレンだ。力になってくれているよ」

 「アッシュ、……ありがとう!」
 さすがアッシュ。いつも優しい。俺もアッシュみたいに強くなりたい!

 「そろそろボスのいる三階へ行こうか!」
 「うん!」
 俺はアッシュの後ろについていった。
 「行きましょう」
 『ぴ! ……じゃなくて、はい』

 三階へ続く階段を、俺達はアッシュの仲間になって進んでいった。

 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

透明色の魔物使い~色がないので冒険者になれませんでした!?~

壬黎ハルキ
ファンタジー
少年マキトは、目が覚めたら異世界に飛ばされていた。 野生の魔物とすぐさま仲良くなり、魔物使いとしての才能を見せる。 しかし職業鑑定の結果は――【色無し】であった。 適性が【色】で判断されるこの世界で、【色無し】は才能なしと見なされる。 冒険者になれないと言われ、周囲から嘲笑されるマキト。 しかし本人を含めて誰も知らなかった。 マキトの中に秘める、類稀なる【色】の正体を――! ※以下、この作品における注意事項。 この作品は、2017年に連載していた「たった一人の魔物使い」のリメイク版です。 キャラや世界観などの各種設定やストーリー構成は、一部を除いて大幅に異なっています。 (旧作に出ていたいくつかの設定、及びキャラの何人かはカットします) 再構成というよりは、全く別物の新しい作品として見ていただければと思います。 全252話、2021年3月9日に完結しました。 またこの作品は、小説家になろうとカクヨムにも同時投稿しています。

神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。 異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。 前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。 神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。 朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。 そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。 究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

処理中です...