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39 レンとルビー、アッシュに魔法を習う
しおりを挟む『私、魔法が使えるピ』
スラリと立っているルビーが俺達に言った。
「え、ルビー。本当なのか?」
『うん』
「……ちなみに、何系の魔法を使えるのかな?」
アッシュは優しくルビーに聞いた。魔法……。そういえば俺、まだ魔法を見てないかも? ルビーの使う魔法に興味がある。
『今、まだ小鳥だから火の魔法しか使えない……』
ルビーはシュンとしてしまった。
「すごいじゃないか! ルビー! 魔法を見せて! 見たい!」
俺はルビーに魔法を見せてと、ねだった。
『わかった……』
ルビーが頷くと呪文を唱えた。
『火の精霊。……ルビーが、解放する。いでよ! 炎!』
バッ! と、ルビーが手を前に出すと、真っ直ぐに大きな炎が飛び出していった!
ゴオオオオオオオオ!
「きゃあ!」
『キュ――――!』
「うわ!」
「ちょ! ストップ――――!」
俺とレミさん、アッシュと橙の精霊たちの間を、大きな炎が轟音を立ててかすっていった。最後には壁にぶつかって消えた。
『キュキュ、キュ……』
「あ――っ!? 橙の精霊たちの毛が少し焦げている!」
一部の橙の精霊の、モフモフの先の毛がルビーの炎の魔法で焦げてしまった。
『ご、ごめんなさい――!』
ルビーはスカートをぎゅっと握って謝った。
「ちょっと危なかった……」
アッシュはとっさに避けたけど、直撃コースだった。
「こ、小鳥だし! びっくりしたけど!」
まだ心臓がどきどきしているけど! レミさんが尻もちをついたので、手を取って起こしてあげた。
「加減はできる? 練習しようか」
ルビーにアッシュが優しく聞いた。
『うん』
それからルビーは、アッシュに魔法を習おうとした。いいな、俺も習いたい。
「アッシュ、俺も魔法を使えるかな?」
ダメでもやってみたかった。素質がなければあきらめられるし。
「ん――、どうかな? 一緒にやってみる?」
お――! やっぱりアッシュは優しい! 俺は腕まくりしてルビーの横へ並んだ。
「じゃあ、簡単に始めるよ。魔法は、魔力がなければ魔法を出せない。魔力と、あと精霊たちの力を借りなければならない」
「あれ、ルビーは……」
精霊、だよね? ちらっとルビーを見た。ルビーは俺の視線に気が付いた。
『まだ小鳥だから、おかあさんの力を借りないといけないの……』
「そうか! でもすごいよ! ルビーは!」
俺達が丸焦げになりそうな強力な魔法だったし!
『すごい?』
首をかしげて言った。可愛いな――。
「うんうん! だけど、コントロールできるようになろうな!」
『がんばる……ありがと、レン!』
んんっ! 可愛い!
「ルビー様、呪文のお声を小さくしてみてはいかがでしょう?」
レミさんがしゃがんで顔を近づけてそっとルビーに話した。
「あ、それいいですね! 声を小さくして呪文を唱えてみて下さい」
アッシュはレミさんのアドバイスに頷いた。
『炎よ、いでよ』
人差し指だけ立てて、ルビーは呪文を唱えた。すると指先に小さな炎が出た。
「やったね! ルビー!」
ルビーは、魔法をコントロールできた。
『うん』
照れくさそうに体をモジモジさせた。
「その調子で、コントロールできるね。次はレン!」
アッシュは穏やかに微笑んでいたけれど、俺の番になったら厳しい顔へとなった。
「はい! お願いします!」
俺は魔法を使えるかな……? ちょっと緊張する。
「念のため、窓に向かって魔法を出してくれる?」
アッシュはフロアにある窓を指さした。ルビーも思いかけないほどの威力だったし、警戒するし念のためだよね。俺は初めて魔法を出そうとした時、全く魔法を出せなかったから大丈夫じゃないかな!
「大丈夫だよ! 窓まで距離があって届くわけ……」
ズウウウウウウウン!
俺が窓を指さしたら、大量の草花が指先から飛び出した! ツルが束になって窓から飛び出てしまった。
「これ、なに!?」
炎でもない、水でもない、魔法? だった。
大きな神社のしめ縄くらいの太さと長さの草花のツルや枝の束。所々には花や何かの実がある。それがドスン! と床へ落ちた。
「これは……」
レミさんの顔に汗が浮かんでいた。アッシュもしきりに首をかしげている。
「なんだろう?」
二人とも俺の出した魔法が、何かわからないようだった。
「これって……魔法なの?」
床に落ちた草木の束を見て俺は、これがなにかわからず不安になった。
「たぶん……魔法だと思うけど、特殊だね。見たことがない」
ええええ……。それじゃ、攻撃できないかも。アッシュの足手まといになる?
「アッシュ、ごめん! 俺、魔法じゃなくて後方でサポートするよ!」
「謝らなくていいよ、レン!」
俺が下を向いているとアッシュが近寄って頭をポンポン! と軽く叩いてなぐさめてくれた。
「攻撃的な魔法が使えなくても、レンはレンだ。力になってくれているよ」
「アッシュ、……ありがとう!」
さすがアッシュ。いつも優しい。俺もアッシュみたいに強くなりたい!
「そろそろボスのいる三階へ行こうか!」
「うん!」
俺はアッシュの後ろについていった。
「行きましょう」
『ぴ! ……じゃなくて、はい』
三階へ続く階段を、俺達はアッシュの仲間になって進んでいった。
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