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41 『勇者の鎧』
しおりを挟む鋭い爪が光って、アッシュめがけて振り落とされる。
アッシュは動けず、そのまま黒獅子の攻撃の餌食に……。
「アッシュ様!」
レミさんはアッシュに襲いかかる黒獅子を見て、叫んだ。
「アッシュ――――!」
駄目だ! 勇者がここで、やられるなんて!
俺は強く念じた!
ズサッ――――!!
俺の腕から草のツルが早い速度で伸びて、黒獅子に向かっていった。そのツルは黒獅子の腕に絡みついて動きを止め、体全体に絡みついた!
「レン!?」
「今だ! アッシュ、とどめを刺して!」
驚いているアッシュに向かって、俺は叫んだ!
ツルに絡まって動けない黒獅子の魔物を、アッシュは剣に渾身の力を込めてとどめを刺したのが見えた。
カッ!
「うあ!?」
フロア全体がまぶしい光に包まれて、とっさに目をつぶった。
「お、終わった?」
シュウウウウウウ……という音が聞こえてきて、まぶたを開けた。そこには黒獅子が横たわっていて、アッシュが剣を抜いている所だった。
俺から飛び出したツルは消えて、なにも残ってなかった。
「みんな、ありがとう。レン、助かったよ」
アッシュがこちらを向いて、俺達三人へお礼を言ってくれた。黒獅子の魔物は黒い煙になって、消えていった……。
「終わった……?」
俺は急いでアッシュに駆け寄った。アッシュは両手を広げてくれたので、思いっきり胸に飛び込んだ!
「終わったよ。皆のおかげだ」
アッシュはそう言って、俺をぎゅっと抱きしめてくれた。レミさんとルビーも駆け寄ってきてくれた。
「良かったですわ、黒獅子の魔物を倒せて……」
少し髪の乱れたレミさんが、ホッとしたように俺達に言った。俺はアッシュから離れた。
「レミさん、ありがとう。心強かったです」
アッシュは、レミさんの手を取って力強く握った。
『これでお友達のサンたちが、平和に暮らせる……。よかったピ!』
「ルビーさんもありがとう。魔法、すごかった」
ルビーの頭をアッシュが撫でた。ルビーはちょっと照れていた。
「そして、レン。危ない所だった。あらためてありがとう!」
今度はアッシュから抱擁をされた。美形は良い香りがするなあ……。
ゴトン!
「え、なに?」
床に何かが落ちる音がしたので振り返った。皆が音の聞こえた方へ視線が集まった。
俺は無意識にそちらへ歩いていった。
『おめでとうございます! 勇者アッシュは、この塔のボスを見事倒した!』
スッ……と、落ちていた何かわからない素材の塊を拾い上げた。
『勇者の証、サンゴールドの宝石が埋め込まれた盾を授けましょう! この宝石が、勇者アッシュを危険から身を守るでしょう!』
持って見ると重い盾を、アッシュへ手渡した。
「ありがとう御座います」
アッシュは俺から盾を受け取った! 何かの音楽が鳴り響いていた。きっとまたアッシュのアップ画面が流れているのだろう。
『勇者の剣と、勇者の盾をアッシュは手に入れた! おめでとう!』
俺はまた自動的に、拍手をしていた。アッシュの周りは、光り輝いているようだった。
「……」
二の塔のイベントが終わったようだ。これからどうするのかな。
『キュ、キュ!』
サンが俺のとこまで転がってきて、ぴょんと手のひらに乗った。何かを伝えたいようだった。
「サン、どうした――?
ピョンピョン! と跳ねている。
『サンがお礼をしたいって言っている……』
ルビーが、通訳? をしてくれた。お礼?
『ボスを倒してくれた、お礼だって』
ルビーはサンを撫でた。
『キュ!』
コロン、コロコロ……。手の中に何か落ちてきた。サンの体のどこからか、転がり落ちてきている。
「まあ! サンゴールドの宝石がたくさん!」
レミさんが、俺の手に転がり落ちてきた宝石を見て言った。サンゴールドの宝石ってこれなのか。橙色の宝石だ……。
「皆で分けようか。たくさん、サンがお礼にくれたし!」
俺は皆にサンゴールドの宝石を分けて渡した。
「ありがとうございます」
レミさんは大事そうに袋へしまった。
そういえば一の塔で、宝石は【姫様のお病気のお薬になる】と言っていたな。
「レミさん。姫様の病気・呪いは、宝石が必要と言っていたよね」
俺はレミさんの話を思い出して聞いてみた。
「はい。そうです。姫様は呪いでご病気になられてしまったのです。進行を遅らせるための薬が必要と、お城の宝物庫にあった古書に書いてありました」
袋をギュッと握りしめてレミさんは教えてくれた。きっと姫様は、レミさんにとって大事な人なのだと思った。
「ぼく、一度お城に行かないといけない。一緒に来る?」
アッシュが俺達の話を聞いていて、言った。
「「えっ?」」
お城! あるのか! 王様もいるのかな!? 姫様にも会えるか?
「ぜひ、ご一緒させてくださいませんか?」
レミさんがアッシュにお願いをしている。俺も一度、お城に行きたい。
『ルビーも行きたい……』
『キュキュ!』
皆、行く気だ。
「じゃあ、ぼくに掴まってくれる?」
皆、アッシュの周りに近寄って服に掴まった。アッシュは【水晶転送装置】を取り出して上へ掲げた。
「行くよ! しっかり掴まって!」
アッシュへ掴まっている手に力がこもった。浮き上がるような感覚がして、周りの風景が歪んだ。
「……っ!」
俺達は、二の塔から【水晶転送装置】でお城へ移動した。
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