ゲームの世界(異世界)へ、モブ(子供キャラ)として転移してしまった

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45 【魔道具士《まどうぐし》】の技

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「レン君。私の魔道具士まどうぐしの技を、見ていて下さい」
 振り返って俺に話しかけた。ロイさんの魔道具士まどうぐしの技、じっくり見てみよう。


  「わ……」
 空中へ浮いていた道具が、手を触れてないのに【魔道具】の箱へ向かっていった。カキン! ゴンゴン! という音とともに、透明な水晶の箱と台の接している部分を剥がし始めた。
 ロイさんの手や腕は、まるでオーケストラの指揮者のような優雅が動きをしていた。

  ガタッ……。どうやら箱と台が離れたみたいだ。でもカギがかかっていて持ち上げられないみたい。
  
 次に隠された三つのカギを開ける番。ロイさんは胸ポケットから、ダイヤ・ハート・スペードの形のキーヘッドの三つのカギを取り出した。
 「一つ目のカギのカギ穴は、ここ」
 ロイさんは俺にカギ穴の場所を教えた。真正面の箱と台の接している部分にカギ穴があるらしい。そこへダイヤのキーヘッドのついたカギをカギ穴に差し込んで回した。
 カチャ……。
「開いた」

 「次はこっち」
 「えっ!?」
 ロイさんが台の右側へ移動した。「ここ」と言ってカギをさして回した。カチャ!
 「ここも開いた」
 どう見ても関係ない場所にカギ穴があって、しかも見えない。泥棒が入って本を盗もうとしても無理な仕掛けだった。

 「さて。最後のカギだけど、レン君。どこにあるか探してみて? わかるかな……?」
 ロイさんは俺に挑発するかのような笑みをした。
 「難しそうですね……」
 俺は離れた場所から、ステータス画面で読み込んだ。

【魔道具】
 カギ穴のありか。
 1,箱の真正面 真ん中。箱と台の結合部付近。ダイヤのキーヘッド。
 2, 台の右側 くぼんでいる場所。ハートのキーヘッド。
 3, 魔道具の後ろの壁のスペードの模様部分。スペードのキーヘッド。

 これ、ネタバレじゃん! いいのかな……。黙っていた方がいいのか。う――ん。

 「どう? あまり時間がないけど。早めにギブアップでいいよ!」
 ロイさんは、ふふん! とちょっと演技がかかった動作をした。
 「俺、わかりますよ」
 何だかムカついて、つい言ってしまった。

 「へえ……?」
 ロイさんは腕を組んで俺の行動を見ていた。
 「あそこです」
 そう言って俺は壁側に移動した。そして、スペードの模様部分を示した。

 「えっ……? あんな壁にカギ穴が?」
 レミさんは半信半疑で言った。俺はかまわず「ここがカギ穴のある場所です」とロイさんに話しかけた。


 ロイさんは黙って、壁にスペードの模様のカギ穴にカギをさしこんだ。
 カチャ……ン!
 「開きましたよ」
 ニッと笑ってロイさんは、水晶の箱を持ち上げた。水晶なのに意外と軽いみたいで、どんな加工をしたのか聞いてみたい。
「さすがだな」
 参った、というようなしぐさをした。
 
 「レン様、その本を開いてもらってもいいでしょうか?」
 レミさんが俺にお願いするように話しかけてきた。でも、これって……。
 「この本。こんなに厳重に保管されていたってことは、貴重な本でしょう? 俺が触っていいものなの?」
 赤い表紙に銀彩が施されている、厚い本。……以前、川で見つけたアイテムボックスに入った【魔道具の書・基本編】のように、美しかった。
読んでもらいたいのです」
 
  意味深だなと思ったけれど、俺は本の近くに寄って指で表紙に触れた……。
 「あっ!?」
 また勝手にページが開かれた。
 「どうしました!? 大丈夫でしょうか!」
 レミさんが心配して俺に駆け寄った。
 「ごめん、大丈夫」
 振り返って、驚かせてしまったレミさんに謝った。
 
  最初のページあたりは、こちらの文字で長たらしいこの国の成り立ちがつらつらと書かれていた。少し飛ばしながらざっと読んでいくと不思議な模様のページがあった。
 「これは……」
 一ページを枠のようにぐるりと囲んだ、装飾のように書かれていた。そして真ん中には、漢字でタイトルが書かれている。

 枠を囲んだように書いている字を右上から下へ、頭の中で読んでみると……。
 『この日本語が読めた者は転移者か転生者。この異世界を勇者と共に救ってください。あなたにはその力があるはずです。この世界にあなたの……』
 続きはインクがかすれていて読めなかった。一番大事な所のような気がする。

 タイトルは……、『「」物語ストーリー』と書いてあった。「」かっこの所は空白だった。

 「レン様、何か書かれていましたか?」
 待っているレミさんが声をかけてきた。
 「いや……、もうちょっと待って」
 不思議な、一ページだったけれど次をめくった。

  ――『魔石病』について。
 
 あっ!? これ! お姫様の症状ってこれだよね? このページも日本語で書かれていた。俺は説明を読みながらページをめくっていった。
 
 症状、原因、症状の変化、有効な薬まで書かれていた。
 「あっ」
 有効な薬の作り方が載っていて、俺は食い入るようにその部分を読んでいった。

 「どうした? 何か書いてあったか?」
 ロイさんが俺の後ろから覗いてきた。
 「ちょっと待ってください。今、読んでいます」
 「ああ。すまん」

  何ページか渡ってその薬の作り方が書いてあった。だいぶ昔に書かれた本だけど、今なら作れそうだった。
 「姫様の『魔石病』を治す、薬の作り方が書いてありましたよ!」
 俺は後ろで待っていた二人に話しかけた。

 「ええっ!? 本当ですか!?」
 レミさんは俺の言葉を聞いて、驚いていた。
 
 

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