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第1回『サンドバッグ 高等学校 恥さらし』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第1回『サンドバッグ 高等学校 恥さらし』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間19分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=aNTB_M6mkJI
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「ほー、君が噂の新入生か。」
土屋を見るボクシング部の先輩たちの目は輝いていた。
土屋は小学生のときからボクシングを始め、中学の3年間では全国に名が知られるほどの強さだった。
顔にはまだあどけなさも残る土屋がQQQ高校に入るのは当然の流れだった。
QQQ高校は男子校ゆえにスポーツや格闘技系の部活が強かったのだが、なんといってもボクシング部は別格だった。
過去何人もの選手が全国大会で優勝を手にしてきたし、そのままプロになる人もいた。
土屋もそこに魅力を感じ、数々の高校からの誘いを断ってQQQ高校を選んだ。
そしてそれは正解だった。
現に今土屋の目の前には去年優勝を果たした3年生や春の大会で準優勝を果たしたばかりの2年生がいた。
他の先輩たちも確かに鍛えられていた肉体を持っているのがシャツの上からでも感じられた。
土屋は身が引き締まるような思いだった。
「はい、自分は強くなりたい一心でこの高校へ来ました。よろしくお願いします。」
「ははっ、そう固くなるな。練習は明日だから気楽にやろうぜ。」
先輩たちは笑いながら土屋の肩を組んだ。
今まで自分が経験してきたボクシングの雰囲気とはまるで違うことに土屋は戸惑いを感じた。
これで本当に強豪高校なのか?
それとも部活でのハラスメントが問題視されている昨今ではこれが普通なのだろうか。
果たしてこんなぬるそうな高校に入って自分は本当に強くなれるのだろうかと土屋は不安に思った。
次の日の放課後、土屋は初めてボクシング部の練習に参加した。
制服を脱ぎユニフォームに着替える先輩たちは昨日と同じく穏やかに談笑していた。
土屋に物珍しそうに今までの経歴を聞く先輩たちの口ぶりは同級生の好奇心から来る質問攻撃と変わらない。
土屋も制服を脱ぎ始めた。
するとそこへランニングを終えたWWW先輩が部室に入ってきた。
「お先ー。サンドバッグ使わせてもらうわ。」
次の瞬間練習場に爆音が響いた。
土屋は着替える手を止めて音の出る方を見た。
それはWWWがサンドバッグを叩く音だった。
wwwのパンチが出るたびにサンドバッグが前後に飛んだ。
wwwの形相は鬼のようだった。
サンドバッグを代弁するかのようにWWWからうめき声がもれた。
サンドバッグの音で先輩たちにスイッチが入ったようだ。
みんなの顔色が変わっていた。
昨日のような和気あいあいとした雰囲気はもうなかった。
EEEが歩きだし、wwwに俺に代われと言った。
息があがり返事もできないwwwが下がると、今度はeeeがサンドバッグを激しくたたいた。
wwwに負けない轟音だった。
その音で窓が揺れ、床が揺れた。
その振動は当然土屋の心にも響いていた。
これだ。
自分が求めていたのはこれだったのだ。
土屋のほほは紅潮した。
毎日これだけ激しくサンドバッグを叩いていたから、QQQ高校は強かったのだ。
土屋は拳を握りしめた。
するとその様子を見た先輩が土屋の肩に手を回した。
「新入生。君にはうちの強さの秘密を教えてあげなきゃならんな。」
「秘密も何もこれを見たら一目瞭然っすよ!」
「いーや、お前はまだ何もわかってない。」
先輩はサンドバッグに目を向けた。
他の先輩たちもサンドバッグに熱視線を送っている。
「いいか、あのサンドバッグはただのサンドバッグじゃないんだ。」
「それって特注ってことですか? やっぱここは強いからっ……。」
「ははっ、そんなんじゃないって。ただの古いサンドバッグだ。ただこのサンドバッグにはある言い伝えがあるんだ。」
言い伝えなどという現在の科学的トレーニングとはかけ離れたオカルトめいた言葉に土屋は声をひそめた。
「な、なんですか、それ。」
「普通のサンドバッグは中に何が入っているか知っているか?」
「は、はい。布が詰まっていると聞いてます。」
「そうだ。だがうちのサンドバッグはただの布じゃない。」
「ただの布じゃない?」
「ああ、女の子のパンツが入ってるんだ。」
「女の子の?」
「ああ、それもむっちゃかわいい子のだ。」
練習場にはサンドバッグを叩く音と部員たちの荒い息が渦巻いていた。
「そ、それじゃもしサンドバッグを叩きすぎてあれが破れたら……。」
「女の子のパンツが手に入るんだ!」
ズドーン!
サンドバッグが大きく跳ねた。
本当に女の子のパンツが入っているのかわからない。
ひょっとしたら昔生徒たちに強くなってもらおうと思って顧問の先生がついた嘘なのかもしれない。
そもそもかわいい子のなんてどうやってわかるんだ?
こんな理由で強くなっただなんてボクシング部はわが校の恥さらしだ。
だがもし練習をしすぎてサンドバッグが破れたとき、中から本当に女の子のパンツが出てきたとしたら?
もしその中に土屋の好みのパンツがあったとしたら?
部長が持って帰っていいと言ったとしたら?
土屋は今日もボクサーパンツを濡らしながらサンドバッグを叩いていた。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第1回『サンドバッグ 高等学校 恥さらし』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間19分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=aNTB_M6mkJI
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~・~・~・~・~
「ほー、君が噂の新入生か。」
土屋を見るボクシング部の先輩たちの目は輝いていた。
土屋は小学生のときからボクシングを始め、中学の3年間では全国に名が知られるほどの強さだった。
顔にはまだあどけなさも残る土屋がQQQ高校に入るのは当然の流れだった。
QQQ高校は男子校ゆえにスポーツや格闘技系の部活が強かったのだが、なんといってもボクシング部は別格だった。
過去何人もの選手が全国大会で優勝を手にしてきたし、そのままプロになる人もいた。
土屋もそこに魅力を感じ、数々の高校からの誘いを断ってQQQ高校を選んだ。
そしてそれは正解だった。
現に今土屋の目の前には去年優勝を果たした3年生や春の大会で準優勝を果たしたばかりの2年生がいた。
他の先輩たちも確かに鍛えられていた肉体を持っているのがシャツの上からでも感じられた。
土屋は身が引き締まるような思いだった。
「はい、自分は強くなりたい一心でこの高校へ来ました。よろしくお願いします。」
「ははっ、そう固くなるな。練習は明日だから気楽にやろうぜ。」
先輩たちは笑いながら土屋の肩を組んだ。
今まで自分が経験してきたボクシングの雰囲気とはまるで違うことに土屋は戸惑いを感じた。
これで本当に強豪高校なのか?
それとも部活でのハラスメントが問題視されている昨今ではこれが普通なのだろうか。
果たしてこんなぬるそうな高校に入って自分は本当に強くなれるのだろうかと土屋は不安に思った。
次の日の放課後、土屋は初めてボクシング部の練習に参加した。
制服を脱ぎユニフォームに着替える先輩たちは昨日と同じく穏やかに談笑していた。
土屋に物珍しそうに今までの経歴を聞く先輩たちの口ぶりは同級生の好奇心から来る質問攻撃と変わらない。
土屋も制服を脱ぎ始めた。
するとそこへランニングを終えたWWW先輩が部室に入ってきた。
「お先ー。サンドバッグ使わせてもらうわ。」
次の瞬間練習場に爆音が響いた。
土屋は着替える手を止めて音の出る方を見た。
それはWWWがサンドバッグを叩く音だった。
wwwのパンチが出るたびにサンドバッグが前後に飛んだ。
wwwの形相は鬼のようだった。
サンドバッグを代弁するかのようにWWWからうめき声がもれた。
サンドバッグの音で先輩たちにスイッチが入ったようだ。
みんなの顔色が変わっていた。
昨日のような和気あいあいとした雰囲気はもうなかった。
EEEが歩きだし、wwwに俺に代われと言った。
息があがり返事もできないwwwが下がると、今度はeeeがサンドバッグを激しくたたいた。
wwwに負けない轟音だった。
その音で窓が揺れ、床が揺れた。
その振動は当然土屋の心にも響いていた。
これだ。
自分が求めていたのはこれだったのだ。
土屋のほほは紅潮した。
毎日これだけ激しくサンドバッグを叩いていたから、QQQ高校は強かったのだ。
土屋は拳を握りしめた。
するとその様子を見た先輩が土屋の肩に手を回した。
「新入生。君にはうちの強さの秘密を教えてあげなきゃならんな。」
「秘密も何もこれを見たら一目瞭然っすよ!」
「いーや、お前はまだ何もわかってない。」
先輩はサンドバッグに目を向けた。
他の先輩たちもサンドバッグに熱視線を送っている。
「いいか、あのサンドバッグはただのサンドバッグじゃないんだ。」
「それって特注ってことですか? やっぱここは強いからっ……。」
「ははっ、そんなんじゃないって。ただの古いサンドバッグだ。ただこのサンドバッグにはある言い伝えがあるんだ。」
言い伝えなどという現在の科学的トレーニングとはかけ離れたオカルトめいた言葉に土屋は声をひそめた。
「な、なんですか、それ。」
「普通のサンドバッグは中に何が入っているか知っているか?」
「は、はい。布が詰まっていると聞いてます。」
「そうだ。だがうちのサンドバッグはただの布じゃない。」
「ただの布じゃない?」
「ああ、女の子のパンツが入ってるんだ。」
「女の子の?」
「ああ、それもむっちゃかわいい子のだ。」
練習場にはサンドバッグを叩く音と部員たちの荒い息が渦巻いていた。
「そ、それじゃもしサンドバッグを叩きすぎてあれが破れたら……。」
「女の子のパンツが手に入るんだ!」
ズドーン!
サンドバッグが大きく跳ねた。
本当に女の子のパンツが入っているのかわからない。
ひょっとしたら昔生徒たちに強くなってもらおうと思って顧問の先生がついた嘘なのかもしれない。
そもそもかわいい子のなんてどうやってわかるんだ?
こんな理由で強くなっただなんてボクシング部はわが校の恥さらしだ。
だがもし練習をしすぎてサンドバッグが破れたとき、中から本当に女の子のパンツが出てきたとしたら?
もしその中に土屋の好みのパンツがあったとしたら?
部長が持って帰っていいと言ったとしたら?
土屋は今日もボクサーパンツを濡らしながらサンドバッグを叩いていた。
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