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第60回『減らす 損なう アイスコーヒー』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第60回『減らす 損なう アイスコーヒー』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=21tuZCoE71M
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
彼氏はハンカチで顔の汗をぬぐいながらアイスコーヒーを注文した。
確かにウインドウ一枚を隔てた外の世界は初夏に入り、街路樹の新緑はぎらぎらと午後の太陽の光を反射している。
しかし喫茶店の中はしっかりと冷房が効いているから、汗もすぐにひくはずだ。
そして何よりここは店長が自ら現地に行き選んだ豆を自家焙煎するコーヒーが魅力のお店だ。
私が大のコーヒー好きであることも彼氏は承知のはずだ。
「普通こういう店でアイスコーヒー頼むかな~。」
彼氏と一緒に極上のコーヒーを楽しみたかった私は溜め息をついた。
「そうなの? コーヒーなら一緒じゃない? それにメニューにだってあるんだし。」
「全然違うわよ。ホットの方が断然香りが引き立つの。」
「へー、そういうもんか。」
そう言いながら彼氏はちらと天井のシーリングファンに目を向けたのに私は気付いた。
コーヒーの香りには感心を示さないのに、動く物には本能的に目がいってしまう彼氏の感性に私はこいつは動物かと思ってしまった。
いや、動物ならむしろ匂いに敏感であるべきだろう。
「ちなみに気付いてた? 私が家であなたの分のコーヒー入れるときだけ、もったいないから豆の量を減らしてたの。」
「あ、そうだったんだ。」
彼氏はただ笑ってた。
「嘘よ。」
彼氏には私と同じくコーヒーを好きになってもらいたいので、そんなことを私がするはずはなかった。
ただ味の違いについて話すわけでもなく、減らしていたことを怒る風でもない彼氏にはまだまだ先が長そうだなと私は覚悟した。
そんなやり取りをしている間に私のホットコーヒーと彼氏のアイスコーヒーが出てきた。
カップの小さな口から漂うコーヒーの香りは、いらいらしていた私の心を一気に洗い流した。
「わー、いい香り。やっぱりここのマスターは豆を挽くのが上手よね。」
カップから彼氏に目を向けると、彼氏はのどを鳴らしてアイスコーヒーを飲んでいた。
「へー、良かったじゃん。」
冷たいコップをテーブルに置いた彼氏は動物から小学生のように変わっていた。
「うーん、雰囲気損なうなー。せっかくこんなにおしゃれなお店に来たんだからもっとコーヒーの味を楽しもうよ。」
「でもこれデートじゃん。」
「デートだよ?」
デートだからいい喫茶店でおいしいコーヒーを二人で飲みたいのだ。
「俺はコーヒーよりもお前との時間を楽しみたいんだよ。」
「少しくらい付き合ってくれたっていいじゃない。私がコーヒー好きなんだから。」
「だから喫茶店はいつもお前の行きたいところにしてあげてるでしょ。」
「うっ。」
それを言われると私は弱かった。
私だって薄々とは気付いていた。
彼氏がコーヒーに興味がないことの良さは、私がコーヒーに関してなんでも好きに決めることができることなのだ。.
だから今までのデートは私がコーヒー飲みたさにいろいろな喫茶店を連れまわしてきたし、コーヒーミルやコーヒー豆もみんな私の好きなものを買ってきた。
しかし私としてはこれで彼氏に強く出られるのはしゃくだったので、なんとかして立場を五分五分にする必要があった。
「じゃああなたは何が好きなの? 私だって存分につきあってあげるわよ。」
私の方が年下だが、年上のお姉さんのような余裕を見せてやった。
やったつもりだった。
「お前。お前が好き。」
「んが。」
私は固まってしまった。
コーヒーから立ち上がる香りはもう私には届いていなかった。
「ちょ、ちょっと人のいる前であんまりそういうこと言わないでよ。」
「存分に付き合ってもらうからな。」
いたずらっぽく笑った彼氏はやはり小学生のようだった。
私の彼氏はコーヒーのように苦いし甘い。
~・~・~・~・~
~感想~
減らすと損なうが似たような言葉なので少し困ったので、雰囲気を損なう、体脂肪を減らす、など具体的な言い回しをまず考えてそこから話を考えました。
オチはもっと漫画みたいなものを考えていたのですが、そのようなコミカルなものを受容するような素地が前半になかったなと思えたので変更しました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第60回『減らす 損なう アイスコーヒー』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=21tuZCoE71M
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
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~・~・~・~・~
彼氏はハンカチで顔の汗をぬぐいながらアイスコーヒーを注文した。
確かにウインドウ一枚を隔てた外の世界は初夏に入り、街路樹の新緑はぎらぎらと午後の太陽の光を反射している。
しかし喫茶店の中はしっかりと冷房が効いているから、汗もすぐにひくはずだ。
そして何よりここは店長が自ら現地に行き選んだ豆を自家焙煎するコーヒーが魅力のお店だ。
私が大のコーヒー好きであることも彼氏は承知のはずだ。
「普通こういう店でアイスコーヒー頼むかな~。」
彼氏と一緒に極上のコーヒーを楽しみたかった私は溜め息をついた。
「そうなの? コーヒーなら一緒じゃない? それにメニューにだってあるんだし。」
「全然違うわよ。ホットの方が断然香りが引き立つの。」
「へー、そういうもんか。」
そう言いながら彼氏はちらと天井のシーリングファンに目を向けたのに私は気付いた。
コーヒーの香りには感心を示さないのに、動く物には本能的に目がいってしまう彼氏の感性に私はこいつは動物かと思ってしまった。
いや、動物ならむしろ匂いに敏感であるべきだろう。
「ちなみに気付いてた? 私が家であなたの分のコーヒー入れるときだけ、もったいないから豆の量を減らしてたの。」
「あ、そうだったんだ。」
彼氏はただ笑ってた。
「嘘よ。」
彼氏には私と同じくコーヒーを好きになってもらいたいので、そんなことを私がするはずはなかった。
ただ味の違いについて話すわけでもなく、減らしていたことを怒る風でもない彼氏にはまだまだ先が長そうだなと私は覚悟した。
そんなやり取りをしている間に私のホットコーヒーと彼氏のアイスコーヒーが出てきた。
カップの小さな口から漂うコーヒーの香りは、いらいらしていた私の心を一気に洗い流した。
「わー、いい香り。やっぱりここのマスターは豆を挽くのが上手よね。」
カップから彼氏に目を向けると、彼氏はのどを鳴らしてアイスコーヒーを飲んでいた。
「へー、良かったじゃん。」
冷たいコップをテーブルに置いた彼氏は動物から小学生のように変わっていた。
「うーん、雰囲気損なうなー。せっかくこんなにおしゃれなお店に来たんだからもっとコーヒーの味を楽しもうよ。」
「でもこれデートじゃん。」
「デートだよ?」
デートだからいい喫茶店でおいしいコーヒーを二人で飲みたいのだ。
「俺はコーヒーよりもお前との時間を楽しみたいんだよ。」
「少しくらい付き合ってくれたっていいじゃない。私がコーヒー好きなんだから。」
「だから喫茶店はいつもお前の行きたいところにしてあげてるでしょ。」
「うっ。」
それを言われると私は弱かった。
私だって薄々とは気付いていた。
彼氏がコーヒーに興味がないことの良さは、私がコーヒーに関してなんでも好きに決めることができることなのだ。.
だから今までのデートは私がコーヒー飲みたさにいろいろな喫茶店を連れまわしてきたし、コーヒーミルやコーヒー豆もみんな私の好きなものを買ってきた。
しかし私としてはこれで彼氏に強く出られるのはしゃくだったので、なんとかして立場を五分五分にする必要があった。
「じゃああなたは何が好きなの? 私だって存分につきあってあげるわよ。」
私の方が年下だが、年上のお姉さんのような余裕を見せてやった。
やったつもりだった。
「お前。お前が好き。」
「んが。」
私は固まってしまった。
コーヒーから立ち上がる香りはもう私には届いていなかった。
「ちょ、ちょっと人のいる前であんまりそういうこと言わないでよ。」
「存分に付き合ってもらうからな。」
いたずらっぽく笑った彼氏はやはり小学生のようだった。
私の彼氏はコーヒーのように苦いし甘い。
~・~・~・~・~
~感想~
減らすと損なうが似たような言葉なので少し困ったので、雰囲気を損なう、体脂肪を減らす、など具体的な言い回しをまず考えてそこから話を考えました。
オチはもっと漫画みたいなものを考えていたのですが、そのようなコミカルなものを受容するような素地が前半になかったなと思えたので変更しました。
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