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第2章 ツンデレが本気でムカついてると思ったら、どうやら恋らしい。
15 転校生、白川咲
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月曜の朝。教室の空気が、いつもよりざわついていた。
理由は簡単。新しい転校生が来るらしい。
「なんか、美人らしいぞ」「前の学校は市内の進学校だって」
そんな噂が飛び交う中、担任が連れてきたのは──
「白川咲です。よろしくお願いします」
明るい声と同時に、教室の空気が一瞬止まった。
肩までの栗色の髪、柔らかく笑う口元。
どこか親しみやすく、それでいて目を引く可愛さがあった。
「黒瀬、久しぶり」
その一言で、さらに空気が凍った。
黒瀬葵は、一瞬だけ表情を止めたあと、淡々と返す。
「……白川さん」
“さん”付け。
それが微妙な距離を物語っていた。
「へぇ、知り合い?」と佐伯が俺の耳元で囁く。
「っぽいけど……なんか空気ピリッとしてない?」
「まさかの因縁ライバル展開か? うわ、燃える」
「黙れ」
◇
席は偶然にも、俺の斜め後ろ。
休み時間、白川が椅子をくるりと回して話しかけてきた。
「ねぇ、相沢くんでしょ? 黒瀬の前の席の」
「え、あ、うん。なんで知って──」
「さっき黒瀬に聞いたの。“前の席の男子、いつもなんか変”って」
「おい、それどういう紹介のされ方だよ!」
白川が口を押さえて笑う。
笑い方が柔らかくて、どこか懐かしい雰囲気があった。
「でも、変って言いつつ、あの子ちょっと嬉しそうだったよ」
「……え?」
「気づいてないでしょ。黒瀬って、意外と分かりやすいんだよ」
ドキッとするような言葉を、あっけらかんと言う。
それが彼女の武器なんだと、すぐに分かった。
◇
昼休み。
佐伯が弁当を広げながら、白川に声をかける。
「白川、よかったら一緒に食おうぜ」
「いいの? じゃあ、お邪魔しまーす」
気づけば、俺と黒瀬、佐伯、白川の4人で机を囲んでいた。
「葵、トマト嫌いなの変わってないね」
「……覚えてたんだ」
「うん。中学のとき、毎回残してたもん」
黒瀬は少しだけ目を伏せる。
懐かしさと、どこか居心地の悪さが入り混じった表情。
その間に、白川が俺の弁当を覗き込み、
「それ、卵焼き? 美味しそう。ちょっともらっていい?」
「え、いや、フォーク使う?」
「いいよ、同じ箸で平気」
一瞬、箸が触れ合った。
黒瀬がピクリと眉を動かしたのを、俺は見逃さなかった。
「……おいしい」
白川がにこっと笑う。
「相沢くんって、なんか優しいね」
「え、そう?」
「うん。黒瀬が“変”って言う理由、ちょっと分かったかも」
「ど、どういう意味だよ」
「さあ?」
曖昧に笑って、白川は窓の外を見た。
光に照らされた横顔が、やけに綺麗だった。
◇
放課後、佐伯が肘で俺をつつく。
「なぁ蓮、白川ってお前に興味アリアリじゃね?」
「気のせいだろ」
「いや、目が完全に恋のやつだって」
「そんなすぐわかるかよ」
「分かるね、恋のプロ佐伯には」
「……あの子、ああ見えて結構ストレートだぞ」
「なんだよ、それ」
「黒瀬、焦るかもな」
その言葉に、俺は苦笑いするしかなかった。
──でも、内心は、少しだけざわついていた。
◇
帰り際、下駄箱で。
白川がふと振り返って言った。
「ねぇ、相沢くん」
「ん?」
「明日、駅まで一緒に帰ってもいい?」
「え?」
「だって、黒瀬いつも先に帰るでしょ?」
「まぁ、そうだけど」
「じゃあ決まり」
そう言って笑うその瞳は、真っ直ぐで。
軽いようでいて、どこか本気だった。
──この時点で、もう分かっていた。
白川咲は、ただの“転校生”じゃない。
俺と黒瀬の関係を、確実に変えていく存在になる。
理由は簡単。新しい転校生が来るらしい。
「なんか、美人らしいぞ」「前の学校は市内の進学校だって」
そんな噂が飛び交う中、担任が連れてきたのは──
「白川咲です。よろしくお願いします」
明るい声と同時に、教室の空気が一瞬止まった。
肩までの栗色の髪、柔らかく笑う口元。
どこか親しみやすく、それでいて目を引く可愛さがあった。
「黒瀬、久しぶり」
その一言で、さらに空気が凍った。
黒瀬葵は、一瞬だけ表情を止めたあと、淡々と返す。
「……白川さん」
“さん”付け。
それが微妙な距離を物語っていた。
「へぇ、知り合い?」と佐伯が俺の耳元で囁く。
「っぽいけど……なんか空気ピリッとしてない?」
「まさかの因縁ライバル展開か? うわ、燃える」
「黙れ」
◇
席は偶然にも、俺の斜め後ろ。
休み時間、白川が椅子をくるりと回して話しかけてきた。
「ねぇ、相沢くんでしょ? 黒瀬の前の席の」
「え、あ、うん。なんで知って──」
「さっき黒瀬に聞いたの。“前の席の男子、いつもなんか変”って」
「おい、それどういう紹介のされ方だよ!」
白川が口を押さえて笑う。
笑い方が柔らかくて、どこか懐かしい雰囲気があった。
「でも、変って言いつつ、あの子ちょっと嬉しそうだったよ」
「……え?」
「気づいてないでしょ。黒瀬って、意外と分かりやすいんだよ」
ドキッとするような言葉を、あっけらかんと言う。
それが彼女の武器なんだと、すぐに分かった。
◇
昼休み。
佐伯が弁当を広げながら、白川に声をかける。
「白川、よかったら一緒に食おうぜ」
「いいの? じゃあ、お邪魔しまーす」
気づけば、俺と黒瀬、佐伯、白川の4人で机を囲んでいた。
「葵、トマト嫌いなの変わってないね」
「……覚えてたんだ」
「うん。中学のとき、毎回残してたもん」
黒瀬は少しだけ目を伏せる。
懐かしさと、どこか居心地の悪さが入り混じった表情。
その間に、白川が俺の弁当を覗き込み、
「それ、卵焼き? 美味しそう。ちょっともらっていい?」
「え、いや、フォーク使う?」
「いいよ、同じ箸で平気」
一瞬、箸が触れ合った。
黒瀬がピクリと眉を動かしたのを、俺は見逃さなかった。
「……おいしい」
白川がにこっと笑う。
「相沢くんって、なんか優しいね」
「え、そう?」
「うん。黒瀬が“変”って言う理由、ちょっと分かったかも」
「ど、どういう意味だよ」
「さあ?」
曖昧に笑って、白川は窓の外を見た。
光に照らされた横顔が、やけに綺麗だった。
◇
放課後、佐伯が肘で俺をつつく。
「なぁ蓮、白川ってお前に興味アリアリじゃね?」
「気のせいだろ」
「いや、目が完全に恋のやつだって」
「そんなすぐわかるかよ」
「分かるね、恋のプロ佐伯には」
「……あの子、ああ見えて結構ストレートだぞ」
「なんだよ、それ」
「黒瀬、焦るかもな」
その言葉に、俺は苦笑いするしかなかった。
──でも、内心は、少しだけざわついていた。
◇
帰り際、下駄箱で。
白川がふと振り返って言った。
「ねぇ、相沢くん」
「ん?」
「明日、駅まで一緒に帰ってもいい?」
「え?」
「だって、黒瀬いつも先に帰るでしょ?」
「まぁ、そうだけど」
「じゃあ決まり」
そう言って笑うその瞳は、真っ直ぐで。
軽いようでいて、どこか本気だった。
──この時点で、もう分かっていた。
白川咲は、ただの“転校生”じゃない。
俺と黒瀬の関係を、確実に変えていく存在になる。
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