俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。

甘酢ニノ

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第2章 ツンデレが本気でムカついてると思ったら、どうやら恋らしい。

19 白川、ついに仕掛ける!?

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翌日。
教室の空気が、なんとなく落ち着かない。
……主に俺のせいで。

原因は、昨日のショッピングモール事件。
尾行、転倒、赤面──全部ひっくるめて、黒瀬の黒歴史更新デー。

「……昨日のこと、言いふらしたら殺すから」
「言いふらすわけないだろ」
「ほんとに? 信用していいの?」
「命を賭けても」
「じゃあ、生きて帰れるかは分からないわね」
「いや脅迫!?」

そのやり取りを聞いて、
近くの席の咲がクスクス笑っていた。

「ねぇ相沢くん、昨日はごめんね。
 あんな形で黒瀬にバレるとは思わなかったから」
「まぁ、あれは……予想外すぎたな」

咲は笑いながらも、どこか申し訳なさそうな目をしていた。
(あの目、ずるいんだよな。罪悪感を残さない笑い方するから)



昼休み。
咲が弁当を持って俺の席にやってきた。
「ねぇ相沢くん、ちょっと恋愛相談してもいい?」
「恋愛!?」
「うん。ちょっとだけ気になる人がいて」

黒瀬が前の席で、ぴくりと反応するのが見えた。

「どんな人?」
「んー……ちょっと鈍くて、でも優しくて、
 たまに見せる真剣な顔がカッコいい人」
「……それ、まさか──」
「んふふ、誰だと思う?」

わざとらしく笑って、咲は俺の目をのぞき込む。
距離が近い。
周りの女子が「え、なにあの二人?」ってざわついてる。

黒瀬はずっと黙っていた。
箸を動かす手が止まり、視線は机の一点に落ちたまま。



放課後。
黒瀬は珍しく先に帰らなかった。
帰り支度をする俺の後ろから、小さな声がした。

「……恋愛相談って、何?」
「え?」
「咲が言ってたじゃない。“気になる人がいる”って」
「いや、詳しくは言ってなかったけど……」
「でも、なんか……嬉しそうだった」

黒瀬はカバンの持ち手をぎゅっと握りしめた。
「……あんたって、そういうの、鈍すぎ」
「え?」
「だからムカつくのよ!」

教室を出ていく背中。
その小さな肩が、少し震えていた。



その日の夜。
スマホに通知。
“咲:今日はありがと! 明日また相談乗ってね♫”

短いメッセージ。
けど、それを見た瞬間、
昼間の黒瀬の表情が頭に浮かんだ。

(……笑ってなかった)

あいつがあんな顔をするなんて、
たぶん、初めて見た。

俺はスマホを伏せ、天井を見上げる。

「なぁ、咲……お前、ほんとは何を狙ってるんだ?」

だけどその“狙い”が、恋か、それとも試しか。
まだ誰も分かっていなかった。
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