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その痛みを無視して、なんてことない顔で改札を抜け電車に乗り込めば、既に冷えている腹を更に冷やす空調設備。それでも外とは違いまとわりつくような熱気が無い分、車内の方が幾分かマシな気がする。
涼しくて気持ちいい1割、会社嫌すぎ9割って感じだな
吊革に掴まりふぅ、と短く息を吐く。それから数分もしない内に電車が動き出した。こうなればもう出社などすぐだ。最寄りから会社近くの駅まで3駅ほどしかないし、その会社は電車を降りて3分。1駅4分程だから15分後には会社の中である。
紫ヶ崎はこの15分、只管心を無にしようと奮闘する。
ああどうせ同期の顔良し、実家良し、性格ゴミ野郎が俺の事庇う振りしてグサグサと滅多刺しにするんだろうな。
ああどうせ脂のったジジイが汗撒き散らしながら大量の仕事押し付けてくるんだろうな。
ああどうせ、どうせ────、
目を閉じると同時に他の何かしらも一緒に閉ざしてしまおう。
車内アナウンスが聞こえてきて、目を開ける頃にはもう、紫ヶ崎という名の抜け殻が服を着て歩いているだけだった。
こそこそ。くすくす。音が聞こえる。
社内へ一歩踏み込めば、まるで待っていたかのようにどこからとも無く聞こえてくる嘲笑。
最初の頃は泣いてたっけ。
誰のものかも知らない嘲りを一身に浴び向かった自分のデスクには、一体いつから置かれていたのか大量の書類。そして周りの奴らのデスク上はピッカピカ。軽く目眩がしたがこれもいつも通りじゃないか、と己に言い聞かせる。
程なくして朝礼が。それもあっという間に終わり、ここからが地獄の始まりだった。
「おい!!昨日の書類はどうなってるんだ!!」
「ぁ…今、」
「もういい!!ここに置いてあるもの全て!終わるまで帰るなよ!!」
「課長…!そんな、可哀想ですよ…いくらなんでも彼には重すぎます。…ね、手伝わせて、紫ヶ崎サン?」
その辺にいた女性陣から黄色い声が聞こえてくる。でも、この、有無を言わせないニコニコが何を意味してるのか。僕だけが知っている。
減ったと思ったらまた増やされる、必死に減らして、また増やされる。その繰り返し。そんな中、午前11時くらいだろうか。人気者の彼が、声をかけてきた。
「ちょっとこの書類、確認したいところがあって…保管庫の方に一緒に来てくれるかな」
かな、というより、よね、だろう。とは言わない。言えない。
誰も止めないし寧ろなんでお前なんかがこの人と、みたいな顔で睨まれている。
こくり、と頷き、僕を待たずに歩き出した彼を追う。
涼しくて気持ちいい1割、会社嫌すぎ9割って感じだな
吊革に掴まりふぅ、と短く息を吐く。それから数分もしない内に電車が動き出した。こうなればもう出社などすぐだ。最寄りから会社近くの駅まで3駅ほどしかないし、その会社は電車を降りて3分。1駅4分程だから15分後には会社の中である。
紫ヶ崎はこの15分、只管心を無にしようと奮闘する。
ああどうせ同期の顔良し、実家良し、性格ゴミ野郎が俺の事庇う振りしてグサグサと滅多刺しにするんだろうな。
ああどうせ脂のったジジイが汗撒き散らしながら大量の仕事押し付けてくるんだろうな。
ああどうせ、どうせ────、
目を閉じると同時に他の何かしらも一緒に閉ざしてしまおう。
車内アナウンスが聞こえてきて、目を開ける頃にはもう、紫ヶ崎という名の抜け殻が服を着て歩いているだけだった。
こそこそ。くすくす。音が聞こえる。
社内へ一歩踏み込めば、まるで待っていたかのようにどこからとも無く聞こえてくる嘲笑。
最初の頃は泣いてたっけ。
誰のものかも知らない嘲りを一身に浴び向かった自分のデスクには、一体いつから置かれていたのか大量の書類。そして周りの奴らのデスク上はピッカピカ。軽く目眩がしたがこれもいつも通りじゃないか、と己に言い聞かせる。
程なくして朝礼が。それもあっという間に終わり、ここからが地獄の始まりだった。
「おい!!昨日の書類はどうなってるんだ!!」
「ぁ…今、」
「もういい!!ここに置いてあるもの全て!終わるまで帰るなよ!!」
「課長…!そんな、可哀想ですよ…いくらなんでも彼には重すぎます。…ね、手伝わせて、紫ヶ崎サン?」
その辺にいた女性陣から黄色い声が聞こえてくる。でも、この、有無を言わせないニコニコが何を意味してるのか。僕だけが知っている。
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「ちょっとこの書類、確認したいところがあって…保管庫の方に一緒に来てくれるかな」
かな、というより、よね、だろう。とは言わない。言えない。
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こくり、と頷き、僕を待たずに歩き出した彼を追う。
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