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1.婚約破棄
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こんなに大規模な術式を、たった一人で構築して維持し続けるなんて、無茶だと思う。
いくら護国の聖女という名誉職で呼ばれたとしても、いくらそれがこの国を守る結界の維持なんだとしても、自分の生きる力と引き換えとか、どうしても喜べない。
少しだけ術式を書き換えるだけで、数人で協力して維持することが出来るようになるから、祈りの力を持つ者を集めるように訴えても、昔からこのようにしているからと、伝統を守らないのかと全く相手にしてもらえないどころか、王家に反逆心があるのかと問い詰められた。
たくさん力を使うと、他のこと考えるのが難しくなってくるから、それ以上議論することもなく、ズルズルと何年も結界を維持し続けている。
そのような任を与えられていても、貴族社会の必須のパーティーやら儀式やらに参加させられたり、式典では護国の聖女としての役割が与えられたりもする。
あまり例のない平民の聖女であっても、そういった義務があるのだそうだ。
今の王様が、先代の聖女だった今の王妃様と早く結婚したくて、急いで次代の聖女探しをして、見つけ出したのが、当時5歳の私。
潜在魔力がとても膨大だったことが決め手で、本来なら代々貴族子女が受け継いできた聖女という職を、たまたま同じ歳の妾腹の第一王子を婚約者にすることにして、強引に儀式を行い、護国の神にも認められたので聖女になった。
それから10年、1日も休むことなく大結界に力を注ぎ、この国を護っている。
幼い頃から聖女の仕事をしているせいか、身体があまり成長しなくて、15歳といえばもう成人なのに、せいぜい10歳くらいにしか見えないらしい。
そんな巨大な結界を維持しつつ、平民だけど、一応名誉ある聖女なのだから王立学園に通い、今日はその学園の卒業式で、今は卒業記念パーティー。
聖女の仕事や王妃教育で、ほとんど学園には通えなかったから、なんの思い出もない。
煌びやかなドレスを身に纏い、軽やかに踊る学園を卒業したての淑女たち。それをエスコートするのも次の世代の貴族家を担う者たち。
私は聖女なので、ドレスではなく教会から支給されているいつもよりは少し仕立ての良い礼服を着ている。
贅沢をしたいとまでは言わないけれど、今日くらい可愛いドレス着てみたかった。
そう、目の前の私の婚約者様がエスコートしてるこのフワフワで可愛い女性のように。
私は平民だけど、聖女であり、この第一王子の婚約者ということで、それなりの教育を受けている。
なので、婚約者がこのような行動をとることが、いかに失礼で王族とも思えないような品のないことだって知っている。
そもそもこの婚約者殿は、大変多情で、思春期を迎えた頃にはら複数の令嬢たちと関係を持っていた。
婚約した5才の頃は、この見てくれだけは良い王子様と将来結婚するんだーとキラキラしてた頃もあったけれど、いつまでも平民だからと見下す態度を改めず、常に攻撃性を含んだ言葉で貶めてくる婚約者と愛情など育めるはずもない。
自分に関わる全てのことに選択肢を持たせてもらえない私の心の平穏のためには、無視することしか出来なかった。
目の前の女性が、いまの王子のお気に入りなんだろう。
何か話しかけられているようだけれど、今ちょっと結界に大型の魔獣か何かがぶつかってきていてそれどころじゃないの。
ごめんなさいね。
ああ、これはオークの群れじゃないかしら。
それもオークの上位種のオークジェネラルやオークキングが率いているような。
あらまあ、オーガも。…違うわ、これはオーガロード。
少しだけ綻びた結界を直ちに修復する。
前の聖女様は、現地でしか修復出来なかったらしいけれど、聖女10年目の私は、遠く離れた場所でも結界に干渉できる。誰も褒めてくれないけれど。
むしろ動かないのでサボってるって思われてることに最近気づいたのだけれど。理不尽ね。
「…ジルヴァラ!貴様…聞いているのかっ!ふざけるなっ!」
「アレフさまっ!私のために怒らないで下さいっ」
「ミリアリア、なんて健気な…こんな可憐なミリアリアに嫌がらせをするとは、なんと心の腐った奴なんだっ!」
「アレフさま!」
それにしても、最近、隣国からの魔獣の群れが多い。それもけっこう強いタイプの。
やはり、魔獣討伐にまで手が回らなかった隣国が、北の帝国に敗戦した影響なのかな。
とても強いらしい北の帝国の兵士たちが、隣国周辺の魔獣狩りをしているって噂も聞くし。
それで隣国周辺を追い出された魔獣たちが、我が国に押し寄せてるってところかしらね。
「…ジルヴァラ!貴様はこの可憐なミリアリアの教科書を破ったり、仲間外れにしたり、噴水に突き落としたり、ドレスにワインをかけたり。あげくの果てには階段から突き落としたというではないか…!!!」
「…アレフさま!すごく怖かったし痛かったし、でもでもっ、ジルヴァラはアレフさまを私にとられて嫉妬してたんだと思うんです!」
「ミリアリア!なんて思いやり深い!」
「この優しいミリアリアを泣かせるなど許しがたい行為っ!」
「アレフさまっ!私はジルヴァラが謝ってくれて、目の前から消えてくれて、どこかで野たれ死んでくれたらそれでいいんですっ!」
「ミリアリア!なんて優しい!」
陛下に報告を上げるべきだとは思うんだけど、聞いて下さらないかもしれないわね。
…最近の王家は、下々の訴えなど聞く耳すら持ってくださらないもの。
大丈夫かしらね、この国。
「ジルヴァラ!このニセ聖女め!貴様はこの私に相応しくないっ!よって婚約破棄の上、国外追放とするっ!…そして私、ローランド王国第一王子、アレフ・ローランドは、真の聖女であるこのミリアリア・リットル伯爵令嬢と婚約するっ!
衛兵!この逆賊を捕らえよ!」
突然、ガチャリと音がしたと思うと、鎧を着こんだ衛兵が、私を乱暴に拘束した。
「…へ?何するんですか?」
いくら護国の聖女という名誉職で呼ばれたとしても、いくらそれがこの国を守る結界の維持なんだとしても、自分の生きる力と引き換えとか、どうしても喜べない。
少しだけ術式を書き換えるだけで、数人で協力して維持することが出来るようになるから、祈りの力を持つ者を集めるように訴えても、昔からこのようにしているからと、伝統を守らないのかと全く相手にしてもらえないどころか、王家に反逆心があるのかと問い詰められた。
たくさん力を使うと、他のこと考えるのが難しくなってくるから、それ以上議論することもなく、ズルズルと何年も結界を維持し続けている。
そのような任を与えられていても、貴族社会の必須のパーティーやら儀式やらに参加させられたり、式典では護国の聖女としての役割が与えられたりもする。
あまり例のない平民の聖女であっても、そういった義務があるのだそうだ。
今の王様が、先代の聖女だった今の王妃様と早く結婚したくて、急いで次代の聖女探しをして、見つけ出したのが、当時5歳の私。
潜在魔力がとても膨大だったことが決め手で、本来なら代々貴族子女が受け継いできた聖女という職を、たまたま同じ歳の妾腹の第一王子を婚約者にすることにして、強引に儀式を行い、護国の神にも認められたので聖女になった。
それから10年、1日も休むことなく大結界に力を注ぎ、この国を護っている。
幼い頃から聖女の仕事をしているせいか、身体があまり成長しなくて、15歳といえばもう成人なのに、せいぜい10歳くらいにしか見えないらしい。
そんな巨大な結界を維持しつつ、平民だけど、一応名誉ある聖女なのだから王立学園に通い、今日はその学園の卒業式で、今は卒業記念パーティー。
聖女の仕事や王妃教育で、ほとんど学園には通えなかったから、なんの思い出もない。
煌びやかなドレスを身に纏い、軽やかに踊る学園を卒業したての淑女たち。それをエスコートするのも次の世代の貴族家を担う者たち。
私は聖女なので、ドレスではなく教会から支給されているいつもよりは少し仕立ての良い礼服を着ている。
贅沢をしたいとまでは言わないけれど、今日くらい可愛いドレス着てみたかった。
そう、目の前の私の婚約者様がエスコートしてるこのフワフワで可愛い女性のように。
私は平民だけど、聖女であり、この第一王子の婚約者ということで、それなりの教育を受けている。
なので、婚約者がこのような行動をとることが、いかに失礼で王族とも思えないような品のないことだって知っている。
そもそもこの婚約者殿は、大変多情で、思春期を迎えた頃にはら複数の令嬢たちと関係を持っていた。
婚約した5才の頃は、この見てくれだけは良い王子様と将来結婚するんだーとキラキラしてた頃もあったけれど、いつまでも平民だからと見下す態度を改めず、常に攻撃性を含んだ言葉で貶めてくる婚約者と愛情など育めるはずもない。
自分に関わる全てのことに選択肢を持たせてもらえない私の心の平穏のためには、無視することしか出来なかった。
目の前の女性が、いまの王子のお気に入りなんだろう。
何か話しかけられているようだけれど、今ちょっと結界に大型の魔獣か何かがぶつかってきていてそれどころじゃないの。
ごめんなさいね。
ああ、これはオークの群れじゃないかしら。
それもオークの上位種のオークジェネラルやオークキングが率いているような。
あらまあ、オーガも。…違うわ、これはオーガロード。
少しだけ綻びた結界を直ちに修復する。
前の聖女様は、現地でしか修復出来なかったらしいけれど、聖女10年目の私は、遠く離れた場所でも結界に干渉できる。誰も褒めてくれないけれど。
むしろ動かないのでサボってるって思われてることに最近気づいたのだけれど。理不尽ね。
「…ジルヴァラ!貴様…聞いているのかっ!ふざけるなっ!」
「アレフさまっ!私のために怒らないで下さいっ」
「ミリアリア、なんて健気な…こんな可憐なミリアリアに嫌がらせをするとは、なんと心の腐った奴なんだっ!」
「アレフさま!」
それにしても、最近、隣国からの魔獣の群れが多い。それもけっこう強いタイプの。
やはり、魔獣討伐にまで手が回らなかった隣国が、北の帝国に敗戦した影響なのかな。
とても強いらしい北の帝国の兵士たちが、隣国周辺の魔獣狩りをしているって噂も聞くし。
それで隣国周辺を追い出された魔獣たちが、我が国に押し寄せてるってところかしらね。
「…ジルヴァラ!貴様はこの可憐なミリアリアの教科書を破ったり、仲間外れにしたり、噴水に突き落としたり、ドレスにワインをかけたり。あげくの果てには階段から突き落としたというではないか…!!!」
「…アレフさま!すごく怖かったし痛かったし、でもでもっ、ジルヴァラはアレフさまを私にとられて嫉妬してたんだと思うんです!」
「ミリアリア!なんて思いやり深い!」
「この優しいミリアリアを泣かせるなど許しがたい行為っ!」
「アレフさまっ!私はジルヴァラが謝ってくれて、目の前から消えてくれて、どこかで野たれ死んでくれたらそれでいいんですっ!」
「ミリアリア!なんて優しい!」
陛下に報告を上げるべきだとは思うんだけど、聞いて下さらないかもしれないわね。
…最近の王家は、下々の訴えなど聞く耳すら持ってくださらないもの。
大丈夫かしらね、この国。
「ジルヴァラ!このニセ聖女め!貴様はこの私に相応しくないっ!よって婚約破棄の上、国外追放とするっ!…そして私、ローランド王国第一王子、アレフ・ローランドは、真の聖女であるこのミリアリア・リットル伯爵令嬢と婚約するっ!
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