嫌われものと爽やか君

黒猫鈴

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学園中が新しい生徒会役員の高宮優雅と嫌われ者槻嶋夏と噂で一杯だった。
すれ違う人達はみんな僕の悪口を言っては笑う。
僕は居たたまれなくて下を向いて足早にその場を去った。



噂の一人。
嫌われ者槻嶋夏とは僕のことだ。
僕は生徒会長の深文静雄様の親衛隊長をしていた。
僕は深文様が大好きで…故に何でもしていた。
深文様に近付く者を苛めて退学させたこともあった…
だからか深文様は親衛隊を嫌っていた。
僕は別によかった…
近付く者がいなければそれで…



「っ痛」

突然腕を強く掴まれ声を上げた
見れば下品な笑いを浮かべている男が3人

「お前が槻嶋だよな」
「可愛い顔しやがって、楽しみだ」
「可愛がってやるよ」

僕より体格の良い、それに人数も違っていて…

「…」

僕は抵抗する気になれず大人しく彼らに付いていった



突然現れたのがもう一つの噂の人物高宮優雅。
突然ダサい格好で転入して来て有名な方々を次々と落としていった
それが気に食わなくて僕は高宮優雅をいじめた。

しかし高宮優雅には有名な方々がついていて、いじめは悉く消えていった

そして親衛隊員は僕を捨てた。
深文様に嫌われるのが嫌だと全てを僕の所為にして…追放した

それから高宮優雅が綺麗な顔をしていると分かり、高宮優雅は生徒会役員になったのが先日

そして僕は高宮優雅をいじめた奴だと生徒会役員、いやみんなから嫌われている…。



「っ」

連れてこられた体育館裏であの3人と性行為をした。
連続でやられ体が悲鳴を上げていて僕はスッキリしたらしい去る3人の笑い声を聞きながら、壁におっかかりながら体を地につけた。
動いたことによって、行為中に中出しされた精液がドロリと後ろから出て来て気持ち悪くては吐き気がした。

「…っ」

悔しい…悔しいっ!
零れそうになった涙を歯を食いしばり、我慢する。

…大丈夫、

そう思って、気持ちを落ち着かせた。

大丈夫、慣れている…

「…っ…」

僕は…親衛隊長をしていた。
隊を纏める為に不良も必要で体を売っていた時期もあって…そう慣れている。

悔しくない。
慣れている。

「…」

ふぅと息を吐き出して、空を見上げた時不意に上の窓が開いた
窓から顔を出したのは、高宮優雅の取り巻きの一人…爽やか人気系、菅原道万で。

僕が下にいることを知ってかすぐ真下の僕を見て鼻で笑った。

「ざまぁ、みろ。優雅をいじめるからそうなるんだよ」
「…」
僕はニッコリ笑った「道万くんに会えるなんて僕嬉しいなぁ」
「っ」

道万は僕を睨んだ
道万は自分の名前が嫌いで呼ばれることを嫌がる、そして親衛隊が大嫌い
つまり嫌がらせ…だ

笑いながらいた僕に

「…また穴売ってんのかキモい」

そう言ったのは、彼ではなく何時の間にか体育館裏に面した特別校舎から顔を出している深文様。
綺麗で格好いい…僕の、憧れの…深文様。

「死ね、売男」

売男、か…
ああ、どうしよう悲しい…大好きな深文様からの罵倒には流石に耐えられない。

「っ」
下を向いて、無言を通せば鼻を鳴らした深文様が去っていく。
よかった…
これ以上なにか言われていたら…我慢できなかったかもしれない。

真上を見ればまだ菅原道万が見ていて…早くどっか行けと思いつつ、おちゃらけて

「道万くんはどう?道万くんとなら僕出来そうかなぁ?」
「…」

あ、すごい嫌そうに顔歪めた…
素直な反応にふふと笑ってしまう。

「…何てね、嘘だよ嘘」
「…」
「…ねぇ何のようなの?僕に構うと愛しの高宮優雅に何か言われるんじゃないの?」
「…」
「それとも僕を慰めてくれるの?」
「誰が」

即答した彼は窓を閉めた

途端独りになった空間に安心した。
独りって、いい。

ふぅと息を吐いて、目を閉じた

途端に感じる穴の違和感と、ちょっとした痛み。
眉を寄せて耐える

「…気持ち悪い」

呟いた声と共に

「っ」

またガラリと開いた窓。
菅原道万がまた顔を出して、真下…僕に何か落としてきた。

「痛っ」

頭に当たって落ちたそれは軟膏だった。

「なにこれ」

思わず言えば、菅原道万はなにも言わず窓を閉めた

「…」

右手にある軟膏。

なに心配してるわけ?

別に初めてじゃないからそんなに痛いわけじゃないのに…

「っ馬鹿じゃないの」

優しさなんて、いらない。
必要ない。

「…っ」

やめて。
そんなことされると優しさを求めてしまう、期待してしまう。
もう構わないで

軟膏を握りしめた

こんなの塗ったって、変わりはしないのに。
…放っておいてよ


僕は体育座りして顔を足の間に埋めた
少し、膝が濡れた気がした
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