運命の恋に落ちた最強魔術師、の娘はクズな父親を許さない

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8 騎士一族と黒鉄編

3-6

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 そして、グレイ不在のまま二部の試合が始まる。

 二部の試合は、一部の上位チームと一部が免除になっていた王宮騎士団によるリーグ戦。

「四グループに分かれてのリーグ戦は、どの騎士団とグループになっているかが重要ですが。どことグループになろうとも、ニグラートは死力を尽くしましょう」

 前日の作戦会議、最後に、リザルトがそう発言して締めくくられた。グレイ不在の不安は微塵も感じられない。

 そもそも、毎年、グレイは参戦していないから当然なのだろうけど、私は少しばかり不安にかられている。私にとって、あんなでもグレイは心の支えだったんだと、改めて感じていた。

「グレイ。ニグラートで頑張ってるかなぁ」

 考えていることが、ボソッと口から出ると、それを聞いていたリザルトが冷たく応じる。

「隊長は、お嬢が心配しなくても問題ありませんよ。なにしろ……」

 ふと、突然、言葉が途切れた。

「なにしろ、何?」

「…………あの隊長なんですから元気です、と言おうとして」

「で?」

「余計なことを言ったら、殺されると思って黙りました」

 うん。つじつまはあってる。なのに、なぜか不自然な物を感じる。

 疑わしい物を見るように、リザルトをじーーーっと眺めると、リザルトはさっと話題を変えてきた。

「さあさあ。対戦グループを確認して、さっさと準備に入りましょう!」

 うん、まぁ。グレイのことを気にしてる場合でもないんだよね。

 私は、リザルトが口ごもった件を忘れて、二部の試合に集中することにした。
 おかげですぐに、この件のことを忘れることになるのだけれど。それよりも、二部のグループ分けの方が重要だったのだ。

 二部のグループについては、すぐさま知らせが入って、微妙な雰囲気となる。




 二部のグループ分けが知らされて、そのまま試合が始まった。私たちは最初の試合ではなかったので、控え室に円陣となって待機する。

 円陣の中央には参謀長のリザルト。腕を組んで難しい表情を浮かべている。
 リザルトの周りでは、参謀組と情報収集組が同じように難しい表情を浮かべていた。

 参謀組と情報収集組がそんなものだからか、試合に参加する騎士たちにも軽く緊張が走る。

 しばらくののち、ようやく、リザルトが口を開いた。

「第二騎士団ですか」

 開いたものの、出てきたのはそんな言葉だけ。

「なんか問題でもあるの?」

 第二騎士団といえば、暗黒隊とか筋肉隊とか個性的な隊名が特徴のところだ。

 一般的には、平民出身者で構成されている実力集団という認識だけれど。私にとっては個性的な隊がある騎士団。

 通常なら、第一隊、第二隊と数字で隊が区別されるところ、第二騎士団だけは暗黒隊、筋肉隊となっている。
 他にももっと隊があるようだけれど、私が知っているのはこの二隊だけなので、他の隊の名前は割愛したい。

 そして、通常なら、数字が小さい隊が一番の手練れで優秀な隊になるのに、第二騎士団はすべての隊が手練れで優秀とくる。侮りがたい騎士団だった。闘技会での優勝経験もあるという。

 手練れ騎士団と同じグループになったことで、こちらの雰囲気が一気に緊張したものとなった。

「今までの相手とはまるで違います」

 私の問いかけにも堅い口調で応じてくる。

 でも、物は考えようだと思う。

「グループごとに上位三チームが三部出場なんだから、三位までに入ればいいんじゃないの?」

 それに、同じグループになったのは第二騎士団だけ。優勝候補の第一騎士団や近衛騎士団とは別のグループだ。第二騎士団だけどうにかすれば、三部出場は確実になる。

「三部は今回、リーグ戦ではなくトーナメント戦になるそうなんです」

「総当たり戦じゃなくなったってこと?」

「お披露目会のせいで、いろいろな物の予定がおしてしまったので、期間短縮するみたいですね」

 リザルトはグループのリストを見て唸っているので、リザルトの隣にいた小柄な補佐官の女性が説明してくれた。

 なるほどね。

 お披露目会も、闘技会の前にやるか後にやるかで調整が難航したのもだから、けっきょくそのしわ寄せが、闘技会の日程にきてしまってるということなんだ。

 スッキリしたような、しないような。

 それでも。

 私は頭を軽く振って、ゴチャゴチャやモヤモヤを振り払った。

「まぁ、とにかく勝てばいいんでしょ?」

 私の言葉にフィリアが明るく返事をする。

「ですね、お嬢。隊長が合流するまで、持ちこたえましょう!」

「「オオオオオオ!」」

 緊張が走っていた騎士たちが気合いを入れて声を上げた。俄然、やる気になってくれた模様。

「うん、私も全力で、いろいろ破壊しないように、頑張らないとね!」

「お嬢は頑張るところが、少し違うんですよねぇ」

 リストを見て唸っていたはずのリザルトが余計な事を言い出したので、私は聞こえない振りをするのだった。




 そして。

 試合はどんどん進んで、ついに第二騎士団との対決が始まった。


「ケホッ ケホケホケホ」


 私はひとしきり咳き込んだ後、胸に手を当てて肩で息をする。

 視界が少しぼやけ気味だけれど、ここで倒れるわけにはいかない。なんとしても、持ちこたえないと。

「お嬢、大丈夫ですか?!」

 フィリアとバルトレット卿が、攻撃組の位置から後退してきて、私に駆け寄る。

「私、もうダメかも」

 そばに駆け寄ってきた二人の腕に捕まって、私は苦しげにそう答えた。

 その時、

「オイ!」

 私に向けて、遠くから怒鳴りとばす声が聞こえてきた。
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