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3 王子殿下の魔剣編
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あれは学院に入る直前のこと。
学院に入ってから困らないようにするためにと、いろいろと準備をしていた時だ。
準備は多岐に渡る。
一つ、ルベラスという家門名を得る。
一つ、後援家門をつける。
一つ、一通りの一般知識を叩き込む。
一つ、最低限の礼儀作法を身に付ける。
一つ、ある程度の体力をつける。
一つ、護身術を覚える。
ざっと簡単にあげていっても、このくらいの事柄が頭に思い浮かんだ。
そして、これ以外にも、保護者から直接いろいろな話を聞いたものだ。
その中に豆知識的な物もいくつか混じっていて、その一つがあれだった。
「いいか、シア。何事も最初が肝心だ」
「セラフィアスと同じこと言うね」
「俺たちみたいな人間は、選択肢が二つしかないからな」
そうだろうか? そうでもないような気がするけど。
一瞬、首を傾げかかって思いとどまる。
私より先にあれこれ経験している人が言うんだから、経験した上での話なんだろう。
私はそう考えることにした。そして保護者の話に注意深く耳を傾ける。
「一つは自分の力を悟られないように、じっと息を潜めて隠れていること」
これは、クズに捨てられる前も、捨てられて魔塔で過ごしている間も、ずっとやっていた。
目立って目を付けられても、力を利用されるだけ。
目立たないよう、他の子と同じくらいに見えるように力をコントロールし、静かに過ごす。慣れた手段だった。
私が黙って頷くのを確認して、保護者は話を進めた。
「もう一つは最初にガツンと相手に力を知らしめること」
そう言って、にやりと笑う。
保護者はすぐさま笑みを引っ込め、いつもの厳つい表情に戻った。
「ただし、見せすぎるな。相手が百の力を持っているとしたら、百一の力を使って、余裕そうに相手を打ち破れ」
「うん、分かった」
力強い言葉に対して、私も力強く返事をした。
私の様子を見て満足げに頷くと、保護者はさらに細かい内容を話し始めたのだった。
そして学院へ来た私は、保護者の教えを忠実に守ったのだ。
《まぁ、あいつの言うことも、間違ってはないな》
「グレイも苦労してるからね」
セラフィアスに説明をする。
《それで、もう一つをやれって言われたのか、主》
「学院では、見る人が見れば、私の力がバレるから。隠すより知らしめる方がいいって」
《まぁ、あいつの言うことも、間違ってはないな》
どことなく呆れたようなセラフィアスの声が、私の耳にだけ届いた。
《それで、あいつに、この場でやれって言われたんだな、主?》
「そうだけど? 一番、効率がいいって言ってたし」
《まぁ、あいつの言うことも間違ってはないな。だが……………………》
セラフィアスの言葉が途切れる。
何か問題でもあっただろうか。
言わば私の師匠であり人生の先輩でもある保護者。彼の言うとおりのことが出来たというのに。
時間にして数分ほどの沈黙が流れた後、セラフィアスはノロノロと言葉を再開させた。
《かなり、ビビってるぞ》
「え? なんで? 言われたとおり、百の力のものを百一の力を使って、余裕もってぶち壊しただけだよ?」
またセラフィアスが黙り込んだ。
今度の沈黙は数秒。セラフィアスが一気に言葉をまくしてる。
《あのな、主。百の力に百一の力をぶつけられるのはな、相手が百だと評価出来て、自分が百一よりはるかに強い力を持っていて、さらに力を一単位でコントロール出来るヤツだけだぞ?》
「だろうね」
私はうんうんと頷いた。
力のコントロールは、セラフィアスからみっちり叩き込まれている。そして保護者からも容赦なく扱かれた。
まったくもって問題はない。
《それを主は、入学直後の『レベル分け試験』でやったわけだな》
「上層部や指導教官、同じ代の魔術師コース全員が一同に会する場なんだって」
学院側にも同期にも一度で力を見せつけられる。大勢の目の前なので変な小細工も出来ない。まさしく公明正大にガツンと出来る場。
あらかじめ教えておいてもらって良かったと、改めて思った。私の保護者は目の付け所が違う。
セラフィアスの方は、やりきった感満載の私とはまた違った感想を持ったようだ。またもや一気に言葉をまくしたてる。
《しかも、やったのが魔力防御壁の破壊。学院の魔術師が数十人集まって作り上げてる魔力防御壁を、プラス一の力で破壊するってヤツ!》
「見せられる魔法なら、なんでも良いって言ってたし。あれを壊すなとは言われてないし」
私が指を差したのは、今、目の前でキラキラと煌めきを放っている光の粒。
正確には、魔力防御壁の魔法陣だったものに亀裂が入り、粉々になって、魔力の残渣を解き放ちながら消えていく。
光の粒はこのときに消えていく魔力残渣だった。幻想的な光景に思わず、魅入られそうになる。
あまりの綺麗な様に感動している私とは逆に、セラフィアスは落ち着いたものだった。
続く言葉でまくしたてることなく、あっさりと私の知らない事実を指摘した。
《あれは壊れないからな、主》
「グレイもやったってよ?」
少なくとも私はそう聞いている。
それに、壊れないはずはない。
目の前の光の粒はすっかり消え失せて、蒼白な顔をした大勢の学院関係者がぼーーーっと立っているだけだし。
そんな中。
《あいつか。悪いのはぜんぶ、あいつか》
セラフィアスは何かに思い至った様子で、仕切りとブツブツつぶやいていた。
「て、ことをやりました」
セラフィアスの『あの時』という言葉を受けて思い当たることを喋ると、執務室は『あの時』の学院関係者と同じ顔色になった。
身じろぎ一つしないパシアヌス様、ヒソヒソと何か話しているクストス隊長とクラウド、説明が終わって静かにしている私、私の隣でなぜか一番偉そうにするセラフィアス。
ヴァンフェルム団長はみんなの様子を見ることもなく、一人つぶやく。
「なるほど、なるほどねぇ」
何が「なるほど」なのかは分からないけど、見学会の案内係は不適格だと思ってもらいたかった。
祈るような気持ちで次の言葉を待つ。
「ルベラス君の代じゃなくて、ルベラス君自身が危険物扱いされてたわけだねぇ」
もはや危険人物ではなく危険物扱い。
でも、ここでも、ぐっと我慢した。
「だって、言われたことを言われたとおりにやっただけだし」
「まぁ、あいつも規格外だからねぇ」
それには同意する。
私の保護者は私より普通に強い。
最強の魔導師と謳われるセラより強いってありなの?
と、思うかもしれない。
確かに、魔力量や魔力強度は私の方がわずかに勝っている。魔力コントロールも私の方が上かな。
ところが、範囲魔法や全体魔法が得意な私に対して、保護者は攻撃力がバカ高くなる一点集中魔法を得意とする。
うん、一点集中されたら普通に負ける。
それに、フィジカル、メンタルともに、私より頑強。
うん、殴られたら普通に負ける。
だから、ヴァンフェルム団長の『規格外』発言は納得しかない。
納得いかないのは『あいつも』と言ってるところ。
そこは『あいつも』じゃなくて『あいつは』と言わないと。あんなムチャクチャな人間は、他にいないでしょうから。
私は話をしれっとそらした。
「それに、魔力防御壁ってそれほど頑丈ではなかったし」
「だから、主。あれは壊れないからな」
「え? 壊れたよ?」
「だから、学院側全員がどん引きしてただろ」
そうだったっけ? あぁ、顔色が青白くはなってたな。
考え込む私に代わって、セラフィアスがヴァンフェルム団長に仕事についての進言をし始めた。
「というわけで、僕の主は無自覚なんだ。その辺を加味して仕事は割り当てて欲しい」
「いや、その辺をどう加味しろと?」
結果、何も加味されることはなく、私が案内係を担当することだけがあっさり決まったそうだ。
頑張っていろいろと我慢もしたのに。
次からは我慢しないで言い返すことを心に誓った私だった。
そして、研修生を見学者とした『三聖の展示室』の見学会の当日を迎えたのだ。
学院に入ってから困らないようにするためにと、いろいろと準備をしていた時だ。
準備は多岐に渡る。
一つ、ルベラスという家門名を得る。
一つ、後援家門をつける。
一つ、一通りの一般知識を叩き込む。
一つ、最低限の礼儀作法を身に付ける。
一つ、ある程度の体力をつける。
一つ、護身術を覚える。
ざっと簡単にあげていっても、このくらいの事柄が頭に思い浮かんだ。
そして、これ以外にも、保護者から直接いろいろな話を聞いたものだ。
その中に豆知識的な物もいくつか混じっていて、その一つがあれだった。
「いいか、シア。何事も最初が肝心だ」
「セラフィアスと同じこと言うね」
「俺たちみたいな人間は、選択肢が二つしかないからな」
そうだろうか? そうでもないような気がするけど。
一瞬、首を傾げかかって思いとどまる。
私より先にあれこれ経験している人が言うんだから、経験した上での話なんだろう。
私はそう考えることにした。そして保護者の話に注意深く耳を傾ける。
「一つは自分の力を悟られないように、じっと息を潜めて隠れていること」
これは、クズに捨てられる前も、捨てられて魔塔で過ごしている間も、ずっとやっていた。
目立って目を付けられても、力を利用されるだけ。
目立たないよう、他の子と同じくらいに見えるように力をコントロールし、静かに過ごす。慣れた手段だった。
私が黙って頷くのを確認して、保護者は話を進めた。
「もう一つは最初にガツンと相手に力を知らしめること」
そう言って、にやりと笑う。
保護者はすぐさま笑みを引っ込め、いつもの厳つい表情に戻った。
「ただし、見せすぎるな。相手が百の力を持っているとしたら、百一の力を使って、余裕そうに相手を打ち破れ」
「うん、分かった」
力強い言葉に対して、私も力強く返事をした。
私の様子を見て満足げに頷くと、保護者はさらに細かい内容を話し始めたのだった。
そして学院へ来た私は、保護者の教えを忠実に守ったのだ。
《まぁ、あいつの言うことも、間違ってはないな》
「グレイも苦労してるからね」
セラフィアスに説明をする。
《それで、もう一つをやれって言われたのか、主》
「学院では、見る人が見れば、私の力がバレるから。隠すより知らしめる方がいいって」
《まぁ、あいつの言うことも、間違ってはないな》
どことなく呆れたようなセラフィアスの声が、私の耳にだけ届いた。
《それで、あいつに、この場でやれって言われたんだな、主?》
「そうだけど? 一番、効率がいいって言ってたし」
《まぁ、あいつの言うことも間違ってはないな。だが……………………》
セラフィアスの言葉が途切れる。
何か問題でもあっただろうか。
言わば私の師匠であり人生の先輩でもある保護者。彼の言うとおりのことが出来たというのに。
時間にして数分ほどの沈黙が流れた後、セラフィアスはノロノロと言葉を再開させた。
《かなり、ビビってるぞ》
「え? なんで? 言われたとおり、百の力のものを百一の力を使って、余裕もってぶち壊しただけだよ?」
またセラフィアスが黙り込んだ。
今度の沈黙は数秒。セラフィアスが一気に言葉をまくしてる。
《あのな、主。百の力に百一の力をぶつけられるのはな、相手が百だと評価出来て、自分が百一よりはるかに強い力を持っていて、さらに力を一単位でコントロール出来るヤツだけだぞ?》
「だろうね」
私はうんうんと頷いた。
力のコントロールは、セラフィアスからみっちり叩き込まれている。そして保護者からも容赦なく扱かれた。
まったくもって問題はない。
《それを主は、入学直後の『レベル分け試験』でやったわけだな》
「上層部や指導教官、同じ代の魔術師コース全員が一同に会する場なんだって」
学院側にも同期にも一度で力を見せつけられる。大勢の目の前なので変な小細工も出来ない。まさしく公明正大にガツンと出来る場。
あらかじめ教えておいてもらって良かったと、改めて思った。私の保護者は目の付け所が違う。
セラフィアスの方は、やりきった感満載の私とはまた違った感想を持ったようだ。またもや一気に言葉をまくしたてる。
《しかも、やったのが魔力防御壁の破壊。学院の魔術師が数十人集まって作り上げてる魔力防御壁を、プラス一の力で破壊するってヤツ!》
「見せられる魔法なら、なんでも良いって言ってたし。あれを壊すなとは言われてないし」
私が指を差したのは、今、目の前でキラキラと煌めきを放っている光の粒。
正確には、魔力防御壁の魔法陣だったものに亀裂が入り、粉々になって、魔力の残渣を解き放ちながら消えていく。
光の粒はこのときに消えていく魔力残渣だった。幻想的な光景に思わず、魅入られそうになる。
あまりの綺麗な様に感動している私とは逆に、セラフィアスは落ち着いたものだった。
続く言葉でまくしたてることなく、あっさりと私の知らない事実を指摘した。
《あれは壊れないからな、主》
「グレイもやったってよ?」
少なくとも私はそう聞いている。
それに、壊れないはずはない。
目の前の光の粒はすっかり消え失せて、蒼白な顔をした大勢の学院関係者がぼーーーっと立っているだけだし。
そんな中。
《あいつか。悪いのはぜんぶ、あいつか》
セラフィアスは何かに思い至った様子で、仕切りとブツブツつぶやいていた。
「て、ことをやりました」
セラフィアスの『あの時』という言葉を受けて思い当たることを喋ると、執務室は『あの時』の学院関係者と同じ顔色になった。
身じろぎ一つしないパシアヌス様、ヒソヒソと何か話しているクストス隊長とクラウド、説明が終わって静かにしている私、私の隣でなぜか一番偉そうにするセラフィアス。
ヴァンフェルム団長はみんなの様子を見ることもなく、一人つぶやく。
「なるほど、なるほどねぇ」
何が「なるほど」なのかは分からないけど、見学会の案内係は不適格だと思ってもらいたかった。
祈るような気持ちで次の言葉を待つ。
「ルベラス君の代じゃなくて、ルベラス君自身が危険物扱いされてたわけだねぇ」
もはや危険人物ではなく危険物扱い。
でも、ここでも、ぐっと我慢した。
「だって、言われたことを言われたとおりにやっただけだし」
「まぁ、あいつも規格外だからねぇ」
それには同意する。
私の保護者は私より普通に強い。
最強の魔導師と謳われるセラより強いってありなの?
と、思うかもしれない。
確かに、魔力量や魔力強度は私の方がわずかに勝っている。魔力コントロールも私の方が上かな。
ところが、範囲魔法や全体魔法が得意な私に対して、保護者は攻撃力がバカ高くなる一点集中魔法を得意とする。
うん、一点集中されたら普通に負ける。
それに、フィジカル、メンタルともに、私より頑強。
うん、殴られたら普通に負ける。
だから、ヴァンフェルム団長の『規格外』発言は納得しかない。
納得いかないのは『あいつも』と言ってるところ。
そこは『あいつも』じゃなくて『あいつは』と言わないと。あんなムチャクチャな人間は、他にいないでしょうから。
私は話をしれっとそらした。
「それに、魔力防御壁ってそれほど頑丈ではなかったし」
「だから、主。あれは壊れないからな」
「え? 壊れたよ?」
「だから、学院側全員がどん引きしてただろ」
そうだったっけ? あぁ、顔色が青白くはなってたな。
考え込む私に代わって、セラフィアスがヴァンフェルム団長に仕事についての進言をし始めた。
「というわけで、僕の主は無自覚なんだ。その辺を加味して仕事は割り当てて欲しい」
「いや、その辺をどう加味しろと?」
結果、何も加味されることはなく、私が案内係を担当することだけがあっさり決まったそうだ。
頑張っていろいろと我慢もしたのに。
次からは我慢しないで言い返すことを心に誓った私だった。
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