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3 王子殿下の魔剣編
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湿った匂いはあっという間に、辺りに広がる。
ところが誰も気付いている様子がない。
「て、ことは」
私はキョロキョロと辺りを見回す。
この湿った匂いは本物の匂いじゃない。
その証拠に、
「クラウド、何か匂わない?」
「いや。ここは相変わらず、乾燥してホコリっぽい感じしかしないぞ?」
と、クラウドもこの調子だ。
本物の匂いではないとしたら、何なのか。
「湿った大地のような魔力か」
私はつぶやいた。
魔力には色や匂いがある。とは言っても普通の人は魔力の色や匂いを、判別することが出来ないそうだ。
分かると便利なのに。みんな、不便すぎる。
話を戻して。五強のリグヌムやアクアならともかく、湿った匂いの魔力を持つ三聖はいない。
となると、考えられるのは本当にここに『お告げの魔剣』が眠っていて、カス王子たちがあちこち触ったせいで、動き出したということ。
「クラウド、三聖の部屋の様子がおかしいから、気をつけて」
「エルシア、それより第二王子殿下や研修生たちを、ここからどうにかしないと、」
クラウドが最後まで言い切る前に、
ピシャーーーーーーーーーン!
轟音が鳴り響く。
「キャーー!」
「危ない!」
誰かが悲鳴を上げた。誰かが叫んだ。
外で鳴っていたはずの雷が、三聖の部屋の中に落ちた。誰もがそう感じるほどの雷鳴が室内に轟いたのだ。
「なんだ? いきなりどうした? まさか、呪いか? 魔剣を探すものに与えられる試練というヤツだな、これは!」
雷鳴に狼狽えるカス王子。
そして変なことまで言い出す始末。
「なはず、あるわけないでしょ」
雷鳴は外で鳴っていた。
そして、三聖の展示室は、建物の中に建物が立っているような作りになっている。
雨風が直接当たらないように、三聖の展示室を建物で覆っているからだ。
だから、外で鳴っている雷が、三聖の部屋に落ちるはずがない。
通常であれば。
私は、轟音が直撃した場所を確認する。
ちょうど、三聖の模造品が飾られている側の壁の、天井に近い辺り。その辺が黒く変色していた。
焦げ臭さとともに、さきほどの湿った大地の匂いも、どうやらそこから溢れているようだ。
近くには、三聖の剣を描いた絵が飾られている。
私は手を挙げて、クラウドと警備の騎士に合図を送った。ここから、研修生とカス王子を避難させるために。
ところが。
「きっと、三聖がお怒りなんだわ!」
「王族だからって、三聖の部屋で無礼なことをするから!」
室内でのありえない轟音で、研修生たちはすっかりパニックを起こしていて、騒ぎはじめていた。
「クラウド」
「あぁ」
さすがにクラウドは落ち着いていて、私の呼びかけに大きく頷く。
「まずは静かに。落ち着いて行動しろ。緊急時の動き方は習っているだろう!」
クラウドの声に半数が静かになる。残りはまだざわめいているが、訓練を受けた研修生だ。半分が静かになれば、どうにかなる。
クラウドも私と同じ判断をしたようで、落ち着きを取り戻した研修生に次々と指示を出し始めた。
カス王子はというと、まだまだ魔剣を探すと言い張るところを、配下に取り押さえられている。
配下の騎士たちも、ふだんと違う三聖の部屋の様子を見て、退避した方がいいと判断したようだ。
カス王子は抵抗しているけど、それも時間の問題だろう。
クラウドが、一通り、研修生に指示を出し終わった。
三人ずつ固まって、そろそろと三聖の部屋を出ていく研修生たち。
「エルシア、修復できるか?」
そう言われて、クラウドが指差すところは、さきほど私が確認していた場所。轟音が直撃して黒く焦げたところだった。
私は首を縦に振る。
「やってみる」
「俺は警備とともに研修生を避難させるから。一人で大丈夫だよな?」
クラウドは最後まで心配そうな顔を、私に向けていたけど。
クラウドは誘導係だ。こういう非常事態に先頭に立たないわけにも行かない。
「うん。そっちはよろしく」
クラウドを避難する研修生の方へ押しやって、私は私で修復を始めた。
「《セラフィアス》」
私の言葉に応じる私の杖。
見てくれこそ、黄色い旗がついた普通の杖だけれど、これでも立派な三聖。鎮圧のセラフィアスだ。
《ずいぶん、派手にやってくれたな》
セラフィアスも三聖の部屋が一部、壊れたのを感じているようだ。
「何か分かる?」
《ここに眠っていたうちの一つが、動き出したってことくらいか?》
「いったいどうして?」
《主。杖や剣はそういうものなんだ》
なんか、すべてを『そういうもの』で片付けられても困るんだよね。
《仕方ないだろ、主。そういうものとしか言いようがないんだ》
私の心を読みとったかのような『言い訳』をするセラフィアス。
主の心情を読み取る能力は持ってないはずなのに、こういうところには、敏感だ。
《主は顔に出るからな》
訂正。
心情じゃなくて表情を読んで返事をしているようだった。顔色を窺う三聖って、いったい。
「とにかく、あそこを修復するから」
私はセラフィアスにそう語りかけると、右手をくるんと動かして、魔法陣を一つ一つ作り出していった。
魔法陣一つだけでも、対処が出来なくはないけど。
「何か嫌な予感がする」
私が壊れたところを中心にして、魔法陣を作り出していっている最中に、またもや動きがあった。
ゴウゥゥゥゥゥ
ぐっ。
突風だ。
「うわっ」「キャァ!」
ゴウゥゥゥゥゥ
三聖の部屋の中にだけ、突然、突風が吹き荒れる。
私は突風に吹き飛ばされまいと、ぐっとこらえて魔法陣を維持した。
「なんだ、この突風は?!」
「エルシア、気をつけろ。飛ばされるぞ」
カス王子やクラウドの声もどこからか聞こえるが、周りを見ている余裕は私にはなかった。
風が強くて吹き飛ばされそうになるだけで、とくにこのくらいは問題ない。
「でも、この魔力は」
さきほど感じた、湿った大地の魔力と同じ匂いだ。
出所を探ろうと、もう一つ、魔法陣を呼び出そうとした矢先。
「キャァァァァ」
「危ない!」
黒く焦げた場所近くの壁にかかった絵。
それが、額ごと大きく傾く。
あれが落ちたらマズい。
私はとっさに絵を魔法陣で押さえつけ、
「《修復》」
すべての魔法陣を発動させた。
ウィィィーーン
私の魔力圧と、湿った大地の魔力がぶつかり合う。
競り勝ったのはもちろん私の魔力。
あぶれた魔力から魔力圧が生じ、三聖の部屋がぐらっと揺れた。
うん、ヤバいヤバいヤバい。
額から汗がつーっと流れる。
三聖の部屋を逆に壊さないよう、細かく魔力を操って、魔力圧が生じないよう静かに直していった。
それでもコントロールしきれない魔力が、ときおり、零れ落ちる。
グラッ
また三聖の部屋が揺れる。
「キャァァァ」
「大丈夫か?!」
誰かの悲鳴と、悲鳴に駆け寄るクラウドの声。
ごめんごめん。
これでも、この魔力量に対して上手く処理できてる方なんだから(たぶん)。少しの揺れくらいは我慢してもらいたい。
心の中で謝りながら、私は修復を続けていった。
「あ、あ、ありがとうございます」
「ケガはないか?」
「は、はい!」
悲鳴をあげていた研修生の方も、どうにかなったようだ。
私はほうっと静かに息を吐いて、修復を続けていった。
そして、
「消えた」
修復が終わると同時に、湿った大地の匂いが感じられなくなった。
ところが誰も気付いている様子がない。
「て、ことは」
私はキョロキョロと辺りを見回す。
この湿った匂いは本物の匂いじゃない。
その証拠に、
「クラウド、何か匂わない?」
「いや。ここは相変わらず、乾燥してホコリっぽい感じしかしないぞ?」
と、クラウドもこの調子だ。
本物の匂いではないとしたら、何なのか。
「湿った大地のような魔力か」
私はつぶやいた。
魔力には色や匂いがある。とは言っても普通の人は魔力の色や匂いを、判別することが出来ないそうだ。
分かると便利なのに。みんな、不便すぎる。
話を戻して。五強のリグヌムやアクアならともかく、湿った匂いの魔力を持つ三聖はいない。
となると、考えられるのは本当にここに『お告げの魔剣』が眠っていて、カス王子たちがあちこち触ったせいで、動き出したということ。
「クラウド、三聖の部屋の様子がおかしいから、気をつけて」
「エルシア、それより第二王子殿下や研修生たちを、ここからどうにかしないと、」
クラウドが最後まで言い切る前に、
ピシャーーーーーーーーーン!
轟音が鳴り響く。
「キャーー!」
「危ない!」
誰かが悲鳴を上げた。誰かが叫んだ。
外で鳴っていたはずの雷が、三聖の部屋の中に落ちた。誰もがそう感じるほどの雷鳴が室内に轟いたのだ。
「なんだ? いきなりどうした? まさか、呪いか? 魔剣を探すものに与えられる試練というヤツだな、これは!」
雷鳴に狼狽えるカス王子。
そして変なことまで言い出す始末。
「なはず、あるわけないでしょ」
雷鳴は外で鳴っていた。
そして、三聖の展示室は、建物の中に建物が立っているような作りになっている。
雨風が直接当たらないように、三聖の展示室を建物で覆っているからだ。
だから、外で鳴っている雷が、三聖の部屋に落ちるはずがない。
通常であれば。
私は、轟音が直撃した場所を確認する。
ちょうど、三聖の模造品が飾られている側の壁の、天井に近い辺り。その辺が黒く変色していた。
焦げ臭さとともに、さきほどの湿った大地の匂いも、どうやらそこから溢れているようだ。
近くには、三聖の剣を描いた絵が飾られている。
私は手を挙げて、クラウドと警備の騎士に合図を送った。ここから、研修生とカス王子を避難させるために。
ところが。
「きっと、三聖がお怒りなんだわ!」
「王族だからって、三聖の部屋で無礼なことをするから!」
室内でのありえない轟音で、研修生たちはすっかりパニックを起こしていて、騒ぎはじめていた。
「クラウド」
「あぁ」
さすがにクラウドは落ち着いていて、私の呼びかけに大きく頷く。
「まずは静かに。落ち着いて行動しろ。緊急時の動き方は習っているだろう!」
クラウドの声に半数が静かになる。残りはまだざわめいているが、訓練を受けた研修生だ。半分が静かになれば、どうにかなる。
クラウドも私と同じ判断をしたようで、落ち着きを取り戻した研修生に次々と指示を出し始めた。
カス王子はというと、まだまだ魔剣を探すと言い張るところを、配下に取り押さえられている。
配下の騎士たちも、ふだんと違う三聖の部屋の様子を見て、退避した方がいいと判断したようだ。
カス王子は抵抗しているけど、それも時間の問題だろう。
クラウドが、一通り、研修生に指示を出し終わった。
三人ずつ固まって、そろそろと三聖の部屋を出ていく研修生たち。
「エルシア、修復できるか?」
そう言われて、クラウドが指差すところは、さきほど私が確認していた場所。轟音が直撃して黒く焦げたところだった。
私は首を縦に振る。
「やってみる」
「俺は警備とともに研修生を避難させるから。一人で大丈夫だよな?」
クラウドは最後まで心配そうな顔を、私に向けていたけど。
クラウドは誘導係だ。こういう非常事態に先頭に立たないわけにも行かない。
「うん。そっちはよろしく」
クラウドを避難する研修生の方へ押しやって、私は私で修復を始めた。
「《セラフィアス》」
私の言葉に応じる私の杖。
見てくれこそ、黄色い旗がついた普通の杖だけれど、これでも立派な三聖。鎮圧のセラフィアスだ。
《ずいぶん、派手にやってくれたな》
セラフィアスも三聖の部屋が一部、壊れたのを感じているようだ。
「何か分かる?」
《ここに眠っていたうちの一つが、動き出したってことくらいか?》
「いったいどうして?」
《主。杖や剣はそういうものなんだ》
なんか、すべてを『そういうもの』で片付けられても困るんだよね。
《仕方ないだろ、主。そういうものとしか言いようがないんだ》
私の心を読みとったかのような『言い訳』をするセラフィアス。
主の心情を読み取る能力は持ってないはずなのに、こういうところには、敏感だ。
《主は顔に出るからな》
訂正。
心情じゃなくて表情を読んで返事をしているようだった。顔色を窺う三聖って、いったい。
「とにかく、あそこを修復するから」
私はセラフィアスにそう語りかけると、右手をくるんと動かして、魔法陣を一つ一つ作り出していった。
魔法陣一つだけでも、対処が出来なくはないけど。
「何か嫌な予感がする」
私が壊れたところを中心にして、魔法陣を作り出していっている最中に、またもや動きがあった。
ゴウゥゥゥゥゥ
ぐっ。
突風だ。
「うわっ」「キャァ!」
ゴウゥゥゥゥゥ
三聖の部屋の中にだけ、突然、突風が吹き荒れる。
私は突風に吹き飛ばされまいと、ぐっとこらえて魔法陣を維持した。
「なんだ、この突風は?!」
「エルシア、気をつけろ。飛ばされるぞ」
カス王子やクラウドの声もどこからか聞こえるが、周りを見ている余裕は私にはなかった。
風が強くて吹き飛ばされそうになるだけで、とくにこのくらいは問題ない。
「でも、この魔力は」
さきほど感じた、湿った大地の魔力と同じ匂いだ。
出所を探ろうと、もう一つ、魔法陣を呼び出そうとした矢先。
「キャァァァァ」
「危ない!」
黒く焦げた場所近くの壁にかかった絵。
それが、額ごと大きく傾く。
あれが落ちたらマズい。
私はとっさに絵を魔法陣で押さえつけ、
「《修復》」
すべての魔法陣を発動させた。
ウィィィーーン
私の魔力圧と、湿った大地の魔力がぶつかり合う。
競り勝ったのはもちろん私の魔力。
あぶれた魔力から魔力圧が生じ、三聖の部屋がぐらっと揺れた。
うん、ヤバいヤバいヤバい。
額から汗がつーっと流れる。
三聖の部屋を逆に壊さないよう、細かく魔力を操って、魔力圧が生じないよう静かに直していった。
それでもコントロールしきれない魔力が、ときおり、零れ落ちる。
グラッ
また三聖の部屋が揺れる。
「キャァァァ」
「大丈夫か?!」
誰かの悲鳴と、悲鳴に駆け寄るクラウドの声。
ごめんごめん。
これでも、この魔力量に対して上手く処理できてる方なんだから(たぶん)。少しの揺れくらいは我慢してもらいたい。
心の中で謝りながら、私は修復を続けていった。
「あ、あ、ありがとうございます」
「ケガはないか?」
「は、はい!」
悲鳴をあげていた研修生の方も、どうにかなったようだ。
私はほうっと静かに息を吐いて、修復を続けていった。
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