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7 王女殿下と木精編
1-9
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「嘘でしょう?」
フィリアが紙に書き出した内容を見て、デルティ殿下が最初に口に出したのが、これだった。
ギロッ
嘘ついてどうするよ!
にしても、けっこうな量。
自分でもビックリするくらいの内容が書き連なっていて、なんだが額に汗が浮かんでくる。
隣で見ていたバルトレット卿や侍女さんたちまでも固まっているところから、普通に、けっこうな量であることが窺えた。
いまさら、そんな事実を知っても、どうにもならないけど。
フィリアだけが澄ました顔。
「王女殿下、嘘ではございません。すべてうちのお嬢が、この愛らしくて最強なうちのお嬢が、十一歳から二年間で詰め込んだ内容です」
フィリアが書き出したのは、あくまでも、座学として受けた勉強内容と、貴族としての礼儀作法のみ。
これ以外にも様々なことをやらさせたような気がする。
「加えて、セラフィアスからは、魔力コントロールと魔導具について習ってたわ」
「あと、身体を動かす方も訓練されていましたよね。基礎体力、筋力、瞬発力の他、剣術、体術、簡単な護衛術。お嬢は打撃武器専門なので棒術もされていたかと」
「やってたやってた。あれは死ぬかと思った」
グレイ直々に教わってたな。
しかも、殲滅隊に放り込まれていっしょに訓練やら実戦やらさせられてたな。
よく生きてたよな、私。
私は私を誉めてあげたい気分になった。
「だから、デルティ殿下もやれば出来るから」
「ええええええええ!」
淑女にあるまじき大声を出す殿下。
何この反応?
「十一歳の私が出来たんだから、十五歳のデルティ殿下なら簡単でしょ?」
胸を張って言う私を見て、デルティ殿下だけでなく侍女さんたちまでブルブルと震えだした。
だから、何その反応は。
そこに割って入ってくるフィリア。
「必要なものとそうでないものがありますので、必ずしもまったく同じ内容を学習する必要はないかと思いますが」
侍女さんたちは全員で安堵のため息をつき、デルティ殿下に至っては飛び上がって喜んでいた。
「やった、良かった!」
いいのか、それで。
と思わなくもないけど。
少なくとも、デルティ殿下が前向きに頑張るつもりではいることだけは、よく伝わってきた。
学習内容が少なくなることを、素直に喜ぶデルティ殿下。
あれだけサボりまくっていたのに、はたして、本当に少なくなるんだろうか。逆に私より多くなるのでは?
フィリアは、侍女さんからデルティ殿下の教育課程を教えてもらっていて、私はそれを黙って観察している。
まとめ終わったのか、フィリアが別の紙を手にして、私たちに見せてくれた。
「それでも、半分くらいは必要な学習内容ですね。こちらの教育課程を参考にすると一年程度で、いけそうです」
半分、とか言ってるけど。
どう見ても半分になってない。
デルティ殿下も紙を見て、飛び上がる動きを止めた。
喜び舞い上がっていたのが、また、地に落ちた感じ。
フィリアの説明によると、王女殿下には王族としての教育があるから、私とまったく同じわけにはいかないとのこと。
教育係でもないのに、いやに詳しい。
結果、私の内容が半分、それにプラスして王族教育で、ボリューム的には私と変わりないくらいに膨れ上がってしまった。
これはまぁ、今までサボったつけが回ってきただけ、と思うと納得しかない。
ただ、これに納得していない人物が一人いた。
「え、待って! 無理よ無理。エルシアは学院で首席だったんでしょう? 優等生の学習スピードよ!」
当事者のデルティ殿下だ。
「デルティ殿下」
ここで私は口を挟む。
「さきほどの覚悟は?」
「う」
デルティ殿下は言葉に詰まった。
サボりまくった自覚はあるだろうし、自業自得なのも分かっているだろう。
それなのに、まだ、楽をしたいのか。
「それと、できるできない、いけるいけない、ではないの。やるかやらないか、だからね」
「ううううう」
それからデルティ殿下の口からは、唸る声しか出なくなってしまったのだった。
「と、いうわけで、デルティ殿下の底上げ計画が立ち上がりました」
「許可する」
デルティ殿下の談話室を退出した足で、私は王太子殿下の執務室に向かった。もちろん訪問の連絡を入れた上で。
三聖同士は連絡が取り合えるので、こういう時はとても便利だ。
王太子殿下も私を呼び出す予定だったそうで、午前中に会ったばかりなのに何事かと不安になりながら、執務室についてすぐさま入室。
そして、デルティ殿下の底上げ計画を熱弁し終わって、あっさりと許可も得た。
だけでなく、余計なことも言われてしまった。
「ルベラス嬢も、ともに王族教育を受けるといい」
提案、の振りをした命令だわ、これ。
「首席のルベラス嬢なら、簡単な内容だから、気負う必要はない」
てことは、デルティ殿下にはキツい内容ってこと? そう思わずにはいられなかった。
そして、
「私への用事って何ですか?」
単刀直入に尋ねてみた。回りくどく言われても面倒なだけなので。
私の心情を分かっているのか、王太子殿下は簡素に答える。
「良い報告と悪い報告が届いた」
と。
「両極端ですね」
「聞きたいだろう?」
この言い方からして、面倒な臭いしかしない。
「いえ、結構です」
丁寧にお断りしているのに、わざと、分かってない振りを。同意も得ずに勝手に喋り始める。
「遠慮することはない。まず、良い報告の方だが、お披露目会をして闘技会ということで話がまとまったようだ」
「闘技会は参加させるんですか?」
「残念だが、身内だけの大会ということでお引き取り願おうかと思っている」
こちらはこれで一安心、かな。
「それで、悪い報告とは?」
「リグヌムとアクアが消えたそうだ」
さらっととんでもない言葉が出る。
あまりにもさらっと言われたので、気に止めることもなかったし。
私は、そのまま受け流して、王太子殿下の言葉を復唱していた。
「へー、消えたんですね」
が、言葉にしてから、改めて内容が頭の中に入ってくる。
「って。消えた? 消えたぁぁぁ?!」
デルティ殿下に負けないくらいの大声を張り上げてしまい、声は周囲に大きく響きわたることになった。
フィリアが紙に書き出した内容を見て、デルティ殿下が最初に口に出したのが、これだった。
ギロッ
嘘ついてどうするよ!
にしても、けっこうな量。
自分でもビックリするくらいの内容が書き連なっていて、なんだが額に汗が浮かんでくる。
隣で見ていたバルトレット卿や侍女さんたちまでも固まっているところから、普通に、けっこうな量であることが窺えた。
いまさら、そんな事実を知っても、どうにもならないけど。
フィリアだけが澄ました顔。
「王女殿下、嘘ではございません。すべてうちのお嬢が、この愛らしくて最強なうちのお嬢が、十一歳から二年間で詰め込んだ内容です」
フィリアが書き出したのは、あくまでも、座学として受けた勉強内容と、貴族としての礼儀作法のみ。
これ以外にも様々なことをやらさせたような気がする。
「加えて、セラフィアスからは、魔力コントロールと魔導具について習ってたわ」
「あと、身体を動かす方も訓練されていましたよね。基礎体力、筋力、瞬発力の他、剣術、体術、簡単な護衛術。お嬢は打撃武器専門なので棒術もされていたかと」
「やってたやってた。あれは死ぬかと思った」
グレイ直々に教わってたな。
しかも、殲滅隊に放り込まれていっしょに訓練やら実戦やらさせられてたな。
よく生きてたよな、私。
私は私を誉めてあげたい気分になった。
「だから、デルティ殿下もやれば出来るから」
「ええええええええ!」
淑女にあるまじき大声を出す殿下。
何この反応?
「十一歳の私が出来たんだから、十五歳のデルティ殿下なら簡単でしょ?」
胸を張って言う私を見て、デルティ殿下だけでなく侍女さんたちまでブルブルと震えだした。
だから、何その反応は。
そこに割って入ってくるフィリア。
「必要なものとそうでないものがありますので、必ずしもまったく同じ内容を学習する必要はないかと思いますが」
侍女さんたちは全員で安堵のため息をつき、デルティ殿下に至っては飛び上がって喜んでいた。
「やった、良かった!」
いいのか、それで。
と思わなくもないけど。
少なくとも、デルティ殿下が前向きに頑張るつもりではいることだけは、よく伝わってきた。
学習内容が少なくなることを、素直に喜ぶデルティ殿下。
あれだけサボりまくっていたのに、はたして、本当に少なくなるんだろうか。逆に私より多くなるのでは?
フィリアは、侍女さんからデルティ殿下の教育課程を教えてもらっていて、私はそれを黙って観察している。
まとめ終わったのか、フィリアが別の紙を手にして、私たちに見せてくれた。
「それでも、半分くらいは必要な学習内容ですね。こちらの教育課程を参考にすると一年程度で、いけそうです」
半分、とか言ってるけど。
どう見ても半分になってない。
デルティ殿下も紙を見て、飛び上がる動きを止めた。
喜び舞い上がっていたのが、また、地に落ちた感じ。
フィリアの説明によると、王女殿下には王族としての教育があるから、私とまったく同じわけにはいかないとのこと。
教育係でもないのに、いやに詳しい。
結果、私の内容が半分、それにプラスして王族教育で、ボリューム的には私と変わりないくらいに膨れ上がってしまった。
これはまぁ、今までサボったつけが回ってきただけ、と思うと納得しかない。
ただ、これに納得していない人物が一人いた。
「え、待って! 無理よ無理。エルシアは学院で首席だったんでしょう? 優等生の学習スピードよ!」
当事者のデルティ殿下だ。
「デルティ殿下」
ここで私は口を挟む。
「さきほどの覚悟は?」
「う」
デルティ殿下は言葉に詰まった。
サボりまくった自覚はあるだろうし、自業自得なのも分かっているだろう。
それなのに、まだ、楽をしたいのか。
「それと、できるできない、いけるいけない、ではないの。やるかやらないか、だからね」
「ううううう」
それからデルティ殿下の口からは、唸る声しか出なくなってしまったのだった。
「と、いうわけで、デルティ殿下の底上げ計画が立ち上がりました」
「許可する」
デルティ殿下の談話室を退出した足で、私は王太子殿下の執務室に向かった。もちろん訪問の連絡を入れた上で。
三聖同士は連絡が取り合えるので、こういう時はとても便利だ。
王太子殿下も私を呼び出す予定だったそうで、午前中に会ったばかりなのに何事かと不安になりながら、執務室についてすぐさま入室。
そして、デルティ殿下の底上げ計画を熱弁し終わって、あっさりと許可も得た。
だけでなく、余計なことも言われてしまった。
「ルベラス嬢も、ともに王族教育を受けるといい」
提案、の振りをした命令だわ、これ。
「首席のルベラス嬢なら、簡単な内容だから、気負う必要はない」
てことは、デルティ殿下にはキツい内容ってこと? そう思わずにはいられなかった。
そして、
「私への用事って何ですか?」
単刀直入に尋ねてみた。回りくどく言われても面倒なだけなので。
私の心情を分かっているのか、王太子殿下は簡素に答える。
「良い報告と悪い報告が届いた」
と。
「両極端ですね」
「聞きたいだろう?」
この言い方からして、面倒な臭いしかしない。
「いえ、結構です」
丁寧にお断りしているのに、わざと、分かってない振りを。同意も得ずに勝手に喋り始める。
「遠慮することはない。まず、良い報告の方だが、お披露目会をして闘技会ということで話がまとまったようだ」
「闘技会は参加させるんですか?」
「残念だが、身内だけの大会ということでお引き取り願おうかと思っている」
こちらはこれで一安心、かな。
「それで、悪い報告とは?」
「リグヌムとアクアが消えたそうだ」
さらっととんでもない言葉が出る。
あまりにもさらっと言われたので、気に止めることもなかったし。
私は、そのまま受け流して、王太子殿下の言葉を復唱していた。
「へー、消えたんですね」
が、言葉にしてから、改めて内容が頭の中に入ってくる。
「って。消えた? 消えたぁぁぁ?!」
デルティ殿下に負けないくらいの大声を張り上げてしまい、声は周囲に大きく響きわたることになった。
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