悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

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2章

36話

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 ロイが私に、話したいことがある。

 それが気になっていたけど……ロイはまず、昨日のことを話していた。

「レックス君とアスファ君の決闘は引き分けだったけど……聖堂の人達はアスファが勝っていたって噂になっているみたいだ」

「そ、そうなんですか」

「最後の方だけ見たら……アスファ君の切り札でレックス君が倒れていたから、仕方がないと思うけどね」

「確かに……」

 これが話したかったことではないということは、私でもわかる。
 どうやらロイは緊張している様子で……私は、ゲームの出来事を思い返していた。

 ゲームの主役カレンは、この夏休みでのイベントを経て、ロイに告白される。
 二人きりの状況ということもあって、私はその場面を思い返すしかない。

 なぜかカレンではなく私に対して起こって、動揺している最中だ。

 聖堂に来て九日目のはずだから、違うとは思うけど……この世界はゲームと違う。
 私に対して言いたいことが気になりすぎていると、ロイが再び真剣な表情を浮かべて。

「リリアンさん。僕の病を治してくれて、本当にありがとう」

「えっ!?」

「僕がリリアンさんにお礼を言うのは、そんなにおかしいことかな?」

 身構えていた私が驚いていると、ロイが楽しそうに微笑んでいる。
 まさか告白されるかと思いましたなんていえないから、咄嗟に思いついたことを口にする。

「い、いえ……治した時にも聞いていますし、今になって再び聞く理由がわかりませんでした」

 これは本心でもあり、どうして今になってお礼を言われるのかわからない。

 その発言にロイが納得しながら、私をじっと眺める。
 可愛さに凜々しさも兼ねている美しい顔立ちだと再確認していると、ロイが話しを始めた。

「僕は回復魔法を使えるようになって、人々を治したい――リリアンさんの回復魔法で治った時の感動を、僕ができる限りの人にも受けてもらいたい。それが僕の夢だ」

「はい」

 それは前にも聞いたことがある……そして、ロイは私を眺めて。

「前にも言ったことがあるけど……試練の前に、もう一度言っておきたかった」

 どうやらロイは聖堂に来たことで自信がついたから、私に決意を伝えたかったようだ。

 最悪意識が戻らない聖堂の試練で……ゲームではロイは試練を受けていない。
 それでも――ロイなら試練を乗り越えられると、私は確信していた。

 私の返答を聞いてロイは顔を少し赤くしながら、微笑みを浮かべる。

「ありがとう……それにしてもリリアンさん、さっきは凄く驚いていたよね」

「そ、そうですか?」

 ゲームの知識があったから、つい告白されるのかと思ってしまった。

 実際こうして面と向かって告白されたら、私はどんな返事をしていたかわからない。
 そのことに安堵していると――ロイが微笑みを浮かべたまま。

「レックス君が僕より不甲斐なくならない限り――告白は止めておくよ」

「えっ!?」

「ははっ、これはレックス君には内緒だよ。そろそろ、部屋から出よう」
 
 ロイの発言が本心なのか冗談なのか――私にはわからない。
 その後――私はロイと護衛の人達と共に、聖堂内を見学することにしていた。

 魔法に関して調べると使ってしまいそうだから、書庫には行っていない。
 書庫以外あまり興味なくて――午後からは訓練場に向かい、レックス殿下とアスファとの模擬戦を眺めていると、一日が終わろうとしていた。
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