79 / 109
2章
60話
しおりを挟む
中間試験を終えた翌日の放課後、私は女子寮に向かっていた。
婚約破棄イベントのことばかり話してしまいそうだから、試験が終わるまで行っていない。
試験を終えて婚約破棄を受けていないから安堵して、私は部屋でカレンと対面する。
とにかく私は、真っ先に聞いておきたいことを尋ねた。
「ルート様の件、カレンは予測していたような気がしますけど、どうして教えてくれなかったのですか?」
中間試験一日目はゲームで何も起きないこともあり、完全に私は油断していたと思う。
私と違いカレンはルートを警戒していて、レックス殿下とロイと協力してずっとルートを監視していた。
その結果、私は助かったけど……どうして、カレンはルートを警戒していたのだろうか。
理由を尋ねると、カレンが教えてくれる。
「そのことだけど……まず、ルートの恋愛イベントって、悪役令嬢リリアンが絡んでくるのよ」
「……そうでしたっけ?」
迷走している出来事ばかり覚えていたから、私が忘れていた部分のはず。
よくわからないでいると、カレンが詳しく話してくれる。
「ゲームだと本来……ルートはレックス殿下の護衛という立場もあって、婚約者であるリリアンの命令を聞くしかなかった。真面目だから葛藤して、優しくしてくれたカレンを異性として意識するののよ」
ルートと恋愛イベントが発生した時、そんな説明があるようだ。
カレンから話を聞いて、私は思い出しそうになってきた。
確かにそんな気がする……顔に出ていたのか、カレンが呆れながら呟く。
「やっぱり覚えていなかったのね。リリアンが今この状態だから大丈夫かなって思ったけど、まさかルートがロウデス教に操られるとは思わなかったわ」
「そうですか……話を戻しますけど、どうして教えてくれなかったのですか?」
「今まではラギルを警戒すべきだと思ったからよ……裏目に出たけど、ルートが敵になった時は好機だったのに動かなかったから、普通にただの新入生なのかもしれないわ」
あの時は私とレックス殿下、ロイとカレンが傍にいたからルートを助けることができた。
ルートに告白されて、動揺して斬られようとした時――レックス殿下がいなければ、私は確実に終わっていた。
あの場面でラギルがレックス殿下を止めようと動かなかった辺り、ロウデス教とは無関係だと考えてもいいのかもしれない。
「一応ラギルの警戒は続けるけど、今回みたいなことを防ぐためにも、リリアンの安全を第一に考えるわ」
「それは嬉しいのですけど、カレンが狙われたこともあります。気をつけてください」
「わかってるわよ……ゲームのイベントで重要なのは、もう魔法披露会だけね」
カレンがそう呟いて、私は頷く。
メインイベントにして全ての決着がつく魔法披露会、その準備がはじまろうとしている。
「はい。楽しみでもありますけど、やはり不安の方が強いです」
「あたし達なら大丈夫よ……とにかく、今を満喫しましょう」
「そうですね」
後数カ月すれば――この世界がゲームだと、深く考えることもなくなるはず。
この日常を守りたいけれど、悪役令嬢リリアンの末路は婚約破棄と国外追放だ。
それでも冒険者になればいいと考えていたのに……今では、この生活が変わってしまうことを恐れている。
中間試験が終わり――ゲーム通りなら全てに決着がつく、魔法披露会が迫っていた。
婚約破棄イベントのことばかり話してしまいそうだから、試験が終わるまで行っていない。
試験を終えて婚約破棄を受けていないから安堵して、私は部屋でカレンと対面する。
とにかく私は、真っ先に聞いておきたいことを尋ねた。
「ルート様の件、カレンは予測していたような気がしますけど、どうして教えてくれなかったのですか?」
中間試験一日目はゲームで何も起きないこともあり、完全に私は油断していたと思う。
私と違いカレンはルートを警戒していて、レックス殿下とロイと協力してずっとルートを監視していた。
その結果、私は助かったけど……どうして、カレンはルートを警戒していたのだろうか。
理由を尋ねると、カレンが教えてくれる。
「そのことだけど……まず、ルートの恋愛イベントって、悪役令嬢リリアンが絡んでくるのよ」
「……そうでしたっけ?」
迷走している出来事ばかり覚えていたから、私が忘れていた部分のはず。
よくわからないでいると、カレンが詳しく話してくれる。
「ゲームだと本来……ルートはレックス殿下の護衛という立場もあって、婚約者であるリリアンの命令を聞くしかなかった。真面目だから葛藤して、優しくしてくれたカレンを異性として意識するののよ」
ルートと恋愛イベントが発生した時、そんな説明があるようだ。
カレンから話を聞いて、私は思い出しそうになってきた。
確かにそんな気がする……顔に出ていたのか、カレンが呆れながら呟く。
「やっぱり覚えていなかったのね。リリアンが今この状態だから大丈夫かなって思ったけど、まさかルートがロウデス教に操られるとは思わなかったわ」
「そうですか……話を戻しますけど、どうして教えてくれなかったのですか?」
「今まではラギルを警戒すべきだと思ったからよ……裏目に出たけど、ルートが敵になった時は好機だったのに動かなかったから、普通にただの新入生なのかもしれないわ」
あの時は私とレックス殿下、ロイとカレンが傍にいたからルートを助けることができた。
ルートに告白されて、動揺して斬られようとした時――レックス殿下がいなければ、私は確実に終わっていた。
あの場面でラギルがレックス殿下を止めようと動かなかった辺り、ロウデス教とは無関係だと考えてもいいのかもしれない。
「一応ラギルの警戒は続けるけど、今回みたいなことを防ぐためにも、リリアンの安全を第一に考えるわ」
「それは嬉しいのですけど、カレンが狙われたこともあります。気をつけてください」
「わかってるわよ……ゲームのイベントで重要なのは、もう魔法披露会だけね」
カレンがそう呟いて、私は頷く。
メインイベントにして全ての決着がつく魔法披露会、その準備がはじまろうとしている。
「はい。楽しみでもありますけど、やはり不安の方が強いです」
「あたし達なら大丈夫よ……とにかく、今を満喫しましょう」
「そうですね」
後数カ月すれば――この世界がゲームだと、深く考えることもなくなるはず。
この日常を守りたいけれど、悪役令嬢リリアンの末路は婚約破棄と国外追放だ。
それでも冒険者になればいいと考えていたのに……今では、この生活が変わってしまうことを恐れている。
中間試験が終わり――ゲーム通りなら全てに決着がつく、魔法披露会が迫っていた。
0
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ
ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」
ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。
「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」
何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。
都合のいい女は本日で卒業。
今後は、余暇を楽しむとしましょう。
吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。