悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

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2章

60話

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 中間試験を終えた翌日の放課後、私は女子寮に向かっていた。

 婚約破棄イベントのことばかり話してしまいそうだから、試験が終わるまで行っていない。
 試験を終えて婚約破棄を受けていないから安堵して、私は部屋でカレンと対面する。
 とにかく私は、真っ先に聞いておきたいことを尋ねた。

「ルート様の件、カレンは予測していたような気がしますけど、どうして教えてくれなかったのですか?」

 中間試験一日目はゲームで何も起きないこともあり、完全に私は油断していたと思う。
 私と違いカレンはルートを警戒していて、レックス殿下とロイと協力してずっとルートを監視していた。

 その結果、私は助かったけど……どうして、カレンはルートを警戒していたのだろうか。
 理由を尋ねると、カレンが教えてくれる。

「そのことだけど……まず、ルートの恋愛イベントって、悪役令嬢リリアンが絡んでくるのよ」

「……そうでしたっけ?」

 迷走している出来事ばかり覚えていたから、私が忘れていた部分のはず。
 よくわからないでいると、カレンが詳しく話してくれる。

「ゲームだと本来……ルートはレックス殿下の護衛という立場もあって、婚約者であるリリアンの命令を聞くしかなかった。真面目だから葛藤して、優しくしてくれたカレンを異性として意識するののよ」

 ルートと恋愛イベントが発生した時、そんな説明があるようだ。
 カレンから話を聞いて、私は思い出しそうになってきた。
 確かにそんな気がする……顔に出ていたのか、カレンが呆れながら呟く。

「やっぱり覚えていなかったのね。リリアンが今この状態だから大丈夫かなって思ったけど、まさかルートがロウデス教に操られるとは思わなかったわ」

「そうですか……話を戻しますけど、どうして教えてくれなかったのですか?」

「今まではラギルを警戒すべきだと思ったからよ……裏目に出たけど、ルートが敵になった時は好機だったのに動かなかったから、普通にただの新入生なのかもしれないわ」

 あの時は私とレックス殿下、ロイとカレンが傍にいたからルートを助けることができた。
 ルートに告白されて、動揺して斬られようとした時――レックス殿下がいなければ、私は確実に終わっていた。
 あの場面でラギルがレックス殿下を止めようと動かなかった辺り、ロウデス教とは無関係だと考えてもいいのかもしれない。

「一応ラギルの警戒は続けるけど、今回みたいなことを防ぐためにも、リリアンの安全を第一に考えるわ」

「それは嬉しいのですけど、カレンが狙われたこともあります。気をつけてください」

「わかってるわよ……ゲームのイベントで重要なのは、もう魔法披露会だけね」

 カレンがそう呟いて、私は頷く。
 メインイベントにして全ての決着がつく魔法披露会、その準備がはじまろうとしている。

「はい。楽しみでもありますけど、やはり不安の方が強いです」

「あたし達なら大丈夫よ……とにかく、今を満喫しましょう」

「そうですね」

 後数カ月すれば――この世界がゲームだと、深く考えることもなくなるはず。
 この日常を守りたいけれど、悪役令嬢リリアンの末路は婚約破棄と国外追放だ。
 それでも冒険者になればいいと考えていたのに……今では、この生活が変わってしまうことを恐れている。

 中間試験が終わり――ゲーム通りなら全てに決着がつく、魔法披露会が迫っていた。
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