悪役令嬢に転生するも魔法に夢中でいたら王子に溺愛されました

黒木 楓

文字の大きさ
80 / 109
2章

61話

しおりを挟む
 中間試験を終えて、十一月となっていた。
 もう十一月――ゲーム通りなら、悪役令嬢リリアンの悪事の規模が更に増していた頃だ。

 先週の中間試験でロウデス教に洗脳されていたルートを正気に戻して以降、何も悪事は起きていない。
 カレンは私がロウデス教側についていないから、学園内で行動を起こすのが難しくなっているからと言っていた。
 私も同じ考えだけど……それでも、邪神が目覚める絶好の機会が来月起こる。

「もう来月には魔法披露会……グリムラ魔法学園で一番大きな行事ですか」

 昼休みに私が、食堂でレックス殿下、ロイ、ルート、カレンに話す。
 魔法披露会という名前だけど、実際は学園祭のようなものだ。
 メインイベントが各学年代表による魔法の披露だから、そう呼ばれている。
 ゲームのクライマックスといえるイベントで、前夜祭に悪役令嬢リリアンが破滅する。
 その後、自棄になって邪神が復活するけど、対処に成功してハッピーエンドになっていた。

 ゲームだと誰を攻略しても、誰も攻略できない終わり方でも対処できているけど……この世界は私にとって現実だ。
 予想外の事態も起きているし、ゲームの出来事は参考程度に考えよう。
 
「魔法披露会の一組代表は、当然だがリリアンだったな」

「はい。完璧に魔法を披露してみせます」

 レックス殿下の発言に、私は頷く。
 今日の朝発表されたことだけど、ゲームでは誰を攻略しても主役カレンとレックス殿下が選ばれる。
 ダドリックの方が優秀だけど、素行に問題があるから理由があったはず。
 ゲームとは全然違うけど、成績を考えると当然なのかもしれない。

「女子がリリアンさん。男子がラギル君だったけど……学園主席より凄い魔法を扱うのは間違いないだろうね」

「俺が選ばれたかったが……仕方ないだろう」

 ロイは聖魔力に集中して学んでいるから、総合的な成績だとレックス殿下の方が上だった。
 もしラギルがグリムラ魔法学園に入学していなければ、代表として私と共に魔法を披露していたはず。
 私、ラギル、カレンの三人は間違いなく学年どころか学園全体でもトップの成績で、私達の組は一年生だけど順番が最終日になるらしい。

「これから一ヶ月間、授業の他に準備を行うと聞いています」

 カレンがゲームと同じなのか、確認のために呟く。

「かなり大規模になるので、冒険者の人達が応援に来るようです……警戒はしておきましょう」

 一度ロウデス教に操られているルートが、顔を強張らせながら決意している。
 これから外部の人達が来ることになり……ロウデス教団員が紛れている可能性が高い。
 実際ゲームでもこのタイミングで悪事の規模が増すから、警戒はしておくべきだ。
 冒険者全員が敵とは思えないから、今後冒険者になるかもしれないのなら話を聞きたい。
 
「応援の冒険者の人達ですか……話してみたいものです」

「リリアンが冒険者になるのなら俺もなるから、聞いておきたいものだ」

 思わず呟いてしまうと、レックス殿下も賛同している。
 まずレックス殿下は冒険者になれるのか微妙な気がするけど、やる気に満ちていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。