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37話
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屋敷に迎えの馬車がやって来て――ジャック様がローウォン家の領地を案内してくれる。
魔鉱石の場所やポーションを生産している加工場を案内してくれたけど、御者の人が何度も本当にそこへ行くのか確認していたわね。
御者の人は婚約者に領地を案内するのなら、もっとムードのいい場所があるのではないかと、暗に言っていた気もする。
私としてはデートスポットのような場所より、ジャック様が案内してくれる魔鉱石のある鉱山や加工場の方が、有意義で楽しかった。
× × ×
夕方になって――今日はローウォン家の屋敷で泊まることとなっている。
今朝はお母様が嬉しそうにしていて、お父様が不安げになっていたけど……私は別の部屋だ。
どうやらお父様はジャック様をかなり警戒しているけれど、魔法と魔力に関することに興味を持っているだけで、後は普通に常識があると私は話をして知っている。
それでもお父様が不安になっているのは、ジャック様の今までの行動なのでしょう。
お父様はもしかしたら、子供の頃の自由に行動していた私を思い出して……私が元に戻るのではないかと不安になっているのかもしれない。
食事の前にジャック様の部屋に案内されて、今日の出来事を話している。
「ローウォン領はどうだった?」
「素晴らしかったです……思わず余計なことを言ってしまった気もしますけど、大丈夫でしょうか?」
そう言いながら、私は今日の出来事を思い返す。
ルジャス領の時と同じように、私は気になったことをつい口に出してしまった。
前と違うのはジャック様が私よりも先に口を出していて、それにつられて言ってしまうけど……言わない方がよかったかもしれない。
「大丈夫だ。私も興味深かったし参考になった……明日も案内しよう」
そう言ってくれるジャック様に安堵していると。
「食事の前に……私は少し用事があるから、パトリシアはここで待っていて欲しい」
「わかりました」
ジャック様はルジャス領の私のように、色々な人から相談されているらしい。
ローウォン領の人達は私やジャック様のように詳しい人も居るから、ルジャス領の私ほどではないみたいだけど、それでも話し合ったりはするみたいね。
ジャック様の部屋を眺めながら待っていると、ドアがノックされる。
そして扉が開くと――そこには、ジャック様に似た美青年の姿があった。
ジャック様よりも和らげな表情をしていて、背もジャック様に比べると少し低い。
銀色の綺麗で短い髪をした美青年で、この人が誰なのか知っていた。
「はじめまして……私は、パトリシア・アズローナです」
「ジャックの婚約者だね。私はイレック・ローウォン……ローウォン家の次男だ」
そう言って、イレック様は微笑んでいた。
ジャック様が部屋を出たタイミングで現れた辺り……私と2人きりになるタイミングを見計らっていたのかもしれない。
ただの偶然だとは思うけど……次男のイレック様に何を言われるのだろうかと、私は緊迫するしかなかった。
魔鉱石の場所やポーションを生産している加工場を案内してくれたけど、御者の人が何度も本当にそこへ行くのか確認していたわね。
御者の人は婚約者に領地を案内するのなら、もっとムードのいい場所があるのではないかと、暗に言っていた気もする。
私としてはデートスポットのような場所より、ジャック様が案内してくれる魔鉱石のある鉱山や加工場の方が、有意義で楽しかった。
× × ×
夕方になって――今日はローウォン家の屋敷で泊まることとなっている。
今朝はお母様が嬉しそうにしていて、お父様が不安げになっていたけど……私は別の部屋だ。
どうやらお父様はジャック様をかなり警戒しているけれど、魔法と魔力に関することに興味を持っているだけで、後は普通に常識があると私は話をして知っている。
それでもお父様が不安になっているのは、ジャック様の今までの行動なのでしょう。
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食事の前にジャック様の部屋に案内されて、今日の出来事を話している。
「ローウォン領はどうだった?」
「素晴らしかったです……思わず余計なことを言ってしまった気もしますけど、大丈夫でしょうか?」
そう言いながら、私は今日の出来事を思い返す。
ルジャス領の時と同じように、私は気になったことをつい口に出してしまった。
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「大丈夫だ。私も興味深かったし参考になった……明日も案内しよう」
そう言ってくれるジャック様に安堵していると。
「食事の前に……私は少し用事があるから、パトリシアはここで待っていて欲しい」
「わかりました」
ジャック様はルジャス領の私のように、色々な人から相談されているらしい。
ローウォン領の人達は私やジャック様のように詳しい人も居るから、ルジャス領の私ほどではないみたいだけど、それでも話し合ったりはするみたいね。
ジャック様の部屋を眺めながら待っていると、ドアがノックされる。
そして扉が開くと――そこには、ジャック様に似た美青年の姿があった。
ジャック様よりも和らげな表情をしていて、背もジャック様に比べると少し低い。
銀色の綺麗で短い髪をした美青年で、この人が誰なのか知っていた。
「はじめまして……私は、パトリシア・アズローナです」
「ジャックの婚約者だね。私はイレック・ローウォン……ローウォン家の次男だ」
そう言って、イレック様は微笑んでいた。
ジャック様が部屋を出たタイミングで現れた辺り……私と2人きりになるタイミングを見計らっていたのかもしれない。
ただの偶然だとは思うけど……次男のイレック様に何を言われるのだろうかと、私は緊迫するしかなかった。
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