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第5話:検索してはいけない言葉
しおりを挟むこの話は、大学時代に一緒にサークルを組んでいた、日向という男から聞いたものだ。
彼は都市伝説やオカルトにやたら詳しく、ネットにある“検索してはいけない言葉”をまとめたサイトを作っていた。
「ほら、あるじゃん。見るだけでトラウマになる画像とか、消された動画とか。そういうの、検証してるんだよ」
彼はそう言っていたが、私からすれば、ほとんど趣味と狂気の境界線だった。
だが、ある日、彼は妙に落ち着かない様子でこう言った。
「やばい単語を見つけた。たぶん、本物だと思う」
「何が?」
「その言葉、どこの掲示板でも“検索するな”って伏せられてるんだけどさ……、たまたま断片的に拾って、検索したら……妙なサイトに繋がった」
「どんな?」
「無題のページ。白背景に、黒い一文だけ。“あなたは今、どこにいますか”って」
「……それだけ?」
「うん。だけどさ、その瞬間、背筋がゾクッとした。なぜか“カメラ”を感じたんだ。こっちを見てるって。……画面の中から、じゃない。部屋の中から」
日向は、部屋中のカメラを調べた。
スマホ、ノートパソコン、WEBカメラ、インターホン。
どれも問題なかった。
でも、気になってページを閉じずにいたら、数分後、画面が勝手に切り替わったという。
そこに表示されたのは、彼の部屋の見取り図だった。
玄関、トイレ、キッチン、書斎、ベッドルーム
そして、地図の中央に、赤い点が点滅していた。
「それが……ベッドルームの中だったんだ。俺がいたのは書斎なのに。じゃあ、ベッドルームの“誰”がそこにいたんだよ……」
彼は青ざめていた。
その夜、彼のTwitterアカウントは一斉に凍結された。
ブログも消えていた。何百とあった検証記事が跡形もなく、Googleのキャッシュにも残っていなかった。
私は心配になって彼のアパートを訪ねた。
だが、ポストには何枚もチラシが詰まり、管理会社の「居住者不在のお知らせ」が貼られていた。
警察にも相談したが、彼は“元々存在していなかった”ことになっていた。
大学にも在籍記録がなかった。ゼミの名簿にも、写真にも、どこにも名前は残っていなかった。
ただ、私のスマホの履歴には、彼とのLINEのやりとりが残っていた。
そして、その最後のメッセージには、たった一言――
「検索するな。絶対に。“オクイミサ”で検索するな」
……。
信じるかどうかは任せる。
けれど、もしあなたが今、手元のスマホやPCで「オクイミサ」という単語を検索しようとしているなら……。
“それ”は、もう部屋の中にいるかもしれない。
どうか、振り向かないでほしい。
その気配がどれほど近くても、画面に映っていても、それはまだ、“本物”ではない。
本物は、あなたの背中を、じっと――
―――――――――――――――――――――――
あとがき
第5話『検索してはいけない言葉』、お読みいただきありがとうございました。
今回はネットと実生活が交錯する「デジタル系怪談」を軸に構成しました。
「知ったこと自体が呪いになる」という、“情報の呪縛”をテーマに、静かに入り込み、ゾクリと残る演出を意識しています。
次回は『第6話:語られていない第13話』を予定しています。
いよいよ、本作の構成に触れる“逸脱”が始まります。
―――――――――――――――――――――――
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