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第29話:山のふもとで拾った小石は、夜になると動く

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それは、中学生のときの林間学校だった。
行き先は、長野の山奥。自然体験をテーマに、三泊四日のキャンプが行われた。

初日の午後、自由時間をもらった俺たちは、近くの沢沿いを歩いていた。
そこで、ふと目を引かれるものがあった。

小石だ。

白っぽく、丸く、手のひらにちょうど収まるサイズ。
だが、なにより不思議だったのは――表面に刻まれた**“目”のような模様**だった。

俺はそれをお守り代わりに持ち帰ることにした。
なんとなく、ポケットに入れておくと安心できる気がしたのだ。

その夜、事件は起きた。

同じテントの友人Kが、夜中に叫び声をあげて飛び起きた。
「足を掴まれた!」と。

だが、誰も見ていない。
Kは取り乱していたが、教師に連れられてそのまま別室で寝ることになった。

その時、俺はポケットの中にあの石がないことに気づいた。

不思議に思ってテントの中を探していると、
Kの寝袋の足元から、小石がコロンと転がり出てきた。

“目の模様”がこちらを向いていた。

翌朝、俺はその小石をそっと元の沢に戻した。

だが、それで終わりではなかった。

キャンプが終わり、帰宅して数日後――
また、あの石がポケットに入っていた。

制服のポケットを探っていると、
あの日と同じ感触。手に乗せると、間違いなく、あの目の石だった。

気味が悪くなり、今度は近所の神社に持っていき、境内の石垣の隙間に押し込んで帰った。

それから数年は、何も起きなかった。
が、大学二年の夏。実家に帰省したある夜――
俺の枕元に、それは“置かれていた”。

目を閉じていても、わかる。
視線を感じる。眠れない。

朝、恐る恐る確認すると、
そこに転がっていたのは、あの小石。

しかも、以前より模様が深くなっている。

“目”の彫りが濃くなり、まるで瞬きをしているように錯覚するほどだった。

俺は今もそれを捨てられず、
小さな木箱に入れ、机の奥にしまっている。

なぜなら――
捨てた者が次に見るのは、その石の“裏面”だという。

裏には何が彫られているのか、誰も見たことがない。

けれど、一度でもそれを見てしまえば、
次に“石”が目を向けるのは、自分では済まなくなるらしい。

あの“目”は、今日も静かに、
次に誰を追うべきかを、選んでいる。

―――――――――――――――――――――――

あとがき
第29話『山のふもとで拾った小石は、夜になると動く』をお読みいただきありがとうございました。

石には力が宿ると、古くから言われています。
それは自然の霊性なのか、それとも人の思念を吸ったものなのか――。

無機物であるはずの“石”が、ふとした瞬間にこちらを見返してくる、
そんな錯覚を覚えたことはありませんか?

次回は『第30話:学校の鏡は、閉校の日にだけ開く』を予定しています。

―――――――――――――――――――――――

いいね・フォローのお願い
もし、拾ったものに“目”のような模様があったら――
それを持ち帰るべきか、考えてみてください。

この話に、少しでも“何か”を感じたなら、
どうか「いいね」と「フォロー」で、次の話への道を照らしてください。







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