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第49話:かくれんぼの途中、声がひとつ多かった
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その日、小学五年の健太は、
田舎の祖母の家に泊まりに来ていた。
夏休みの真ん中、夕暮れ時。
近所の子どもたちが集まって、裏山でかくれんぼをして遊んでいた。
鬼になったのは、背の高い中学生の兄ちゃん。
「百まで数えるから隠れろよー!」
そう言って、木の幹に顔を伏せた。
健太は、裏山の獣道の奥にある小さな祠の裏に身をひそめた。
しゃがんで息を潜めていると、
すぐ近くに誰かが隠れている気配がした。
でも、誰の姿も見えない。
祠の石の陰から覗くと、
少し離れた木の影に女の子のような姿がちらっと見えた。
「誰だろう……」
見覚えがない顔だった。
鬼の兄ちゃんの声が聞こえてきた。
「もういいかーい!」
すると――
**「まーだだよ」**と、すぐ後ろで女の子の声が返事した。
びっくりして振り返った。
でも、そこには誰もいなかった。
それどころか、祠の裏にいたのは自分ひとり。
「変だな……」
その後、鬼がみんなを見つけて、遊びは終わった。
健太が声をかけた。
「さっき女の子の声、聞こえなかった?」
「え、だれそれ? 今日、女の子いないよ」
「……え?」
数えてみると、今日集まったのは健太を含めて六人。
でも、隠れていたとき――
あの祠の裏で聞こえた声を合わせると、七人目がいたことになる。
その夜、健太は祖母にその話をした。
すると祖母は、ふと顔を曇らせて言った。
「裏山の祠はね、昔、迷子になって亡くなった子を祀ってる場所なんだよ」
「……女の子?」
「うん。あんたと同じくらいの歳だったって」
健太は、あのとき聞いた声を思い出した。
明るく、はしゃぐような「まーだだよ」。
でも、あの声には――
もう見つけられることを望んでいないような、
妙に深い寂しさがこもっていた気がした。
翌日、健太は祠にお菓子を置いて帰った。
小さなチョコと、ポケットの中に入っていたビー玉を添えて。
そして祠を離れるとき、
背後でかすかに、**「もういいよ」**と聞こえた気がした。
――だが、その日以降。
健太の影は、いつもひとつ多く見えるようになった。
―――――――――――――――――――――――
あとがき
第49話『かくれんぼの途中、声がひとつ多かった』をお読みいただき、ありがとうございました。
遊びの中に紛れ込む“見えない誰か”。
子どもの無邪気さは時に、
向こうの世界との境界線を越えてしまうのかもしれません。
次回は『第50話:封筒に入っていた、差出人不明の自分の写真』を予定しております。
―――――――――――――――――――――――
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「もういいかい?」
「――まーだだよ」
あなたのそばでも、聞こえていませんか?
いいねとフォローで、
百の物語に隠れた“声の主”たちを、ぜひ見つけてあげてください。
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夏休みの真ん中、夕暮れ時。
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しゃがんで息を潜めていると、
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でも、誰の姿も見えない。
祠の石の陰から覗くと、
少し離れた木の影に女の子のような姿がちらっと見えた。
「誰だろう……」
見覚えがない顔だった。
鬼の兄ちゃんの声が聞こえてきた。
「もういいかーい!」
すると――
**「まーだだよ」**と、すぐ後ろで女の子の声が返事した。
びっくりして振り返った。
でも、そこには誰もいなかった。
それどころか、祠の裏にいたのは自分ひとり。
「変だな……」
その後、鬼がみんなを見つけて、遊びは終わった。
健太が声をかけた。
「さっき女の子の声、聞こえなかった?」
「え、だれそれ? 今日、女の子いないよ」
「……え?」
数えてみると、今日集まったのは健太を含めて六人。
でも、隠れていたとき――
あの祠の裏で聞こえた声を合わせると、七人目がいたことになる。
その夜、健太は祖母にその話をした。
すると祖母は、ふと顔を曇らせて言った。
「裏山の祠はね、昔、迷子になって亡くなった子を祀ってる場所なんだよ」
「……女の子?」
「うん。あんたと同じくらいの歳だったって」
健太は、あのとき聞いた声を思い出した。
明るく、はしゃぐような「まーだだよ」。
でも、あの声には――
もう見つけられることを望んでいないような、
妙に深い寂しさがこもっていた気がした。
翌日、健太は祠にお菓子を置いて帰った。
小さなチョコと、ポケットの中に入っていたビー玉を添えて。
そして祠を離れるとき、
背後でかすかに、**「もういいよ」**と聞こえた気がした。
――だが、その日以降。
健太の影は、いつもひとつ多く見えるようになった。
―――――――――――――――――――――――
あとがき
第49話『かくれんぼの途中、声がひとつ多かった』をお読みいただき、ありがとうございました。
遊びの中に紛れ込む“見えない誰か”。
子どもの無邪気さは時に、
向こうの世界との境界線を越えてしまうのかもしれません。
次回は『第50話:封筒に入っていた、差出人不明の自分の写真』を予定しております。
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