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第66話:プールの底に沈む、“七人目の足跡”
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夏のある日、二年生のクラスが体育の授業でプールを使用していた。
水面に陽が反射して、きらきらと輝く午後。
人数確認のために教師が整列を命じ、六人の生徒が次々と水から上がっていく。
だが、その場にいた誰もが――無意識に“七人”いたと感じていた。
後から映像を確認した教師は顔をしかめた。
「……数、合ってるな。けど――妙だな、最後の子の顔が映ってない」
ビデオの最後、プールの端から上がる黒髪の少女の姿。
しかし、映像はその瞬間だけピンぼけし、顔がどうしても確認できなかった。
その日、プールは早々に使用中止となった。
原因は、水底に奇妙なものが見つかったからだ。
プールの底、角に近い部分に“足跡”が残っていた。
水圧で消えるはずの泥のようなものではない。
まるでタイルに焼き付けられたように、確かに片足だけの足跡があった。
七人のうち、誰の足跡かも特定できない。
なにより、その足跡は――片足だけだった。
一週間後、好奇心旺盛な三年の男子・湯浅は、夜のプールに忍び込んだ。
都市伝説を追う動画を撮影するのが趣味で、今回の噂も“ネタ”のつもりだった。
ライトを照らしながら水面を覗き込む。
すると――ライトの先、水底にあるはずの足跡が、二つに増えていた。
しかもそれは、プールの縁から、真ん中へ向かって歩いていくように並んでいる。
動画を撮影する湯浅の背後、草のざわめき。
彼は振り返ると同時に、カメラが落ちた。
映像の最後に、誰かの影が、プールサイドからこちらを見ているのが映っていた。
翌朝、湯浅は無事だったが、「プールには何もなかった」とだけ言って、それ以降口を閉ざした。
ただ一つだけ――
彼のスマホに保存されていたはずの動画は、全て削除されていた。
代わりに、空のファイル名だけが残っていた。
「Nana_Ashi.mp4」
現在、その学校のプールは改修中で使用されていない。
だが、夜に近くを通ると、時折水音が聞こえると証言する者がいる。
それは、誰かが静かに水の中を歩くような、重たい足音なのだという。
―――――――――――――――――――――――
あとがき
第66話『プールの底に沈む、“七人目の足跡”』をお読みいただき、ありがとうございました。
数が合わないという感覚は、理屈ではなく、本能が告げる警告かもしれません。
ましてや、それが“誰かが足りない”のではなく、**“誰かが多い”**と感じたときには。
次回は『第67話:音楽室のピアノが、誰もいないのに“譜めくり”をする』を予定しております。
―――――――――――――――――――――――
いいね・フォローのお願い
もし、ふと数が合わないと感じたら――
誰か“いないはずの存在”が、すぐ近くにいるのかもしれません。
物語の続きが気になった方は、ぜひいいね・フォローをお願いいたします。
水面に陽が反射して、きらきらと輝く午後。
人数確認のために教師が整列を命じ、六人の生徒が次々と水から上がっていく。
だが、その場にいた誰もが――無意識に“七人”いたと感じていた。
後から映像を確認した教師は顔をしかめた。
「……数、合ってるな。けど――妙だな、最後の子の顔が映ってない」
ビデオの最後、プールの端から上がる黒髪の少女の姿。
しかし、映像はその瞬間だけピンぼけし、顔がどうしても確認できなかった。
その日、プールは早々に使用中止となった。
原因は、水底に奇妙なものが見つかったからだ。
プールの底、角に近い部分に“足跡”が残っていた。
水圧で消えるはずの泥のようなものではない。
まるでタイルに焼き付けられたように、確かに片足だけの足跡があった。
七人のうち、誰の足跡かも特定できない。
なにより、その足跡は――片足だけだった。
一週間後、好奇心旺盛な三年の男子・湯浅は、夜のプールに忍び込んだ。
都市伝説を追う動画を撮影するのが趣味で、今回の噂も“ネタ”のつもりだった。
ライトを照らしながら水面を覗き込む。
すると――ライトの先、水底にあるはずの足跡が、二つに増えていた。
しかもそれは、プールの縁から、真ん中へ向かって歩いていくように並んでいる。
動画を撮影する湯浅の背後、草のざわめき。
彼は振り返ると同時に、カメラが落ちた。
映像の最後に、誰かの影が、プールサイドからこちらを見ているのが映っていた。
翌朝、湯浅は無事だったが、「プールには何もなかった」とだけ言って、それ以降口を閉ざした。
ただ一つだけ――
彼のスマホに保存されていたはずの動画は、全て削除されていた。
代わりに、空のファイル名だけが残っていた。
「Nana_Ashi.mp4」
現在、その学校のプールは改修中で使用されていない。
だが、夜に近くを通ると、時折水音が聞こえると証言する者がいる。
それは、誰かが静かに水の中を歩くような、重たい足音なのだという。
―――――――――――――――――――――――
あとがき
第66話『プールの底に沈む、“七人目の足跡”』をお読みいただき、ありがとうございました。
数が合わないという感覚は、理屈ではなく、本能が告げる警告かもしれません。
ましてや、それが“誰かが足りない”のではなく、**“誰かが多い”**と感じたときには。
次回は『第67話:音楽室のピアノが、誰もいないのに“譜めくり”をする』を予定しております。
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