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第94話:抜け落ちたページの告白
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図書室の奥、旧分類で整理された「怪奇」「民俗」「心理」の棚は、普段は誰も近寄らない。
その中にある、一冊の古い本。
背表紙もタイトルも擦れて読めず、貸出記録もない。
けれどその本は、なぜか棚の位置を日によって変えていた。
誰も触れていないはずなのに、棚の左端にあったと思えば、次の日には真ん中に、また翌日には右端に。
それを見つけたのは、読書好きの女子生徒・野中由梨だった。
彼女はその奇妙な本に興味を持ち、手に取った。
ぱらぱらとページをめくると、中は古い日本語で書かれた民話や怪談ばかり。
一話ごとに「語り」と書かれ、百話構成のようだった。
だが、97話だけが“抜け落ちていた”。
◆
「どうして、ここだけ?」
由梨はページを手繰った。
けれど、96話の末尾の次には、いきなり98話の冒頭が記されている。
ページ番号も、印刷も、飛ばされていた。
不思議に思いながら本を閉じたとき――
彼女は背後から「……みつけてしまったのね」と、女の声を聞いた。
振り向いても、そこには誰もいなかった。
◆
それ以来、彼女は夢を見るようになった。
古びた紙の音、そして墨で書かれた何かの文字。
夢の中で彼女は、空白のページを“書かされている”。
誰かの手が、彼女の指を導いているような感覚。
目を覚ますと、ノートの片隅に、見覚えのない文字列が増えていた。
“あの話は、書かれてはならない。
書いた者の記憶を、代価として捧げる。”
それが、97話の内容なのだと、彼女は知った。
そしてある日、図書室からその本が消えた。
棚にも、記録にも、存在しない。
由梨のノートだけが、誰にも読めない97話の“断片”で埋め尽くされていた。
それを最後に、彼女は転校した。
――ただ、後に入った図書委員が、棚の奥から一冊の古い本を見つけたという。
中を開くと、97話のページだけが破り取られていた。
しかし――そのページの切り口からは、今もかすかにインクの匂いがする。
まるで“今も誰かが、その続きを書いている”かのように。
―――――――――――――――――――――――
あとがき
第94話『抜け落ちたページの告白』をお読みいただきありがとうございました。
書かれていない話は、無かったことになるのでしょうか。
それとも、“語ってはならない”ということこそが、本当に語るべき内容なのでしょうか。
次回は『第95話:逆さまの放送』。
校内放送のスピーカーから、時折“逆さに流れる声”が届くという、不気味な伝承を描きます。
―――――――――――――――――――――――
いいね・フォローのお願い
あなたの本棚にも、背表紙の読めない本がありませんか?
その本のページが揃っているかどうか、どうか今一度、確かめてください。
語り部は残りわずか。いいねとフォローで、次なる話への扉を開いてください。
その中にある、一冊の古い本。
背表紙もタイトルも擦れて読めず、貸出記録もない。
けれどその本は、なぜか棚の位置を日によって変えていた。
誰も触れていないはずなのに、棚の左端にあったと思えば、次の日には真ん中に、また翌日には右端に。
それを見つけたのは、読書好きの女子生徒・野中由梨だった。
彼女はその奇妙な本に興味を持ち、手に取った。
ぱらぱらとページをめくると、中は古い日本語で書かれた民話や怪談ばかり。
一話ごとに「語り」と書かれ、百話構成のようだった。
だが、97話だけが“抜け落ちていた”。
◆
「どうして、ここだけ?」
由梨はページを手繰った。
けれど、96話の末尾の次には、いきなり98話の冒頭が記されている。
ページ番号も、印刷も、飛ばされていた。
不思議に思いながら本を閉じたとき――
彼女は背後から「……みつけてしまったのね」と、女の声を聞いた。
振り向いても、そこには誰もいなかった。
◆
それ以来、彼女は夢を見るようになった。
古びた紙の音、そして墨で書かれた何かの文字。
夢の中で彼女は、空白のページを“書かされている”。
誰かの手が、彼女の指を導いているような感覚。
目を覚ますと、ノートの片隅に、見覚えのない文字列が増えていた。
“あの話は、書かれてはならない。
書いた者の記憶を、代価として捧げる。”
それが、97話の内容なのだと、彼女は知った。
そしてある日、図書室からその本が消えた。
棚にも、記録にも、存在しない。
由梨のノートだけが、誰にも読めない97話の“断片”で埋め尽くされていた。
それを最後に、彼女は転校した。
――ただ、後に入った図書委員が、棚の奥から一冊の古い本を見つけたという。
中を開くと、97話のページだけが破り取られていた。
しかし――そのページの切り口からは、今もかすかにインクの匂いがする。
まるで“今も誰かが、その続きを書いている”かのように。
―――――――――――――――――――――――
あとがき
第94話『抜け落ちたページの告白』をお読みいただきありがとうございました。
書かれていない話は、無かったことになるのでしょうか。
それとも、“語ってはならない”ということこそが、本当に語るべき内容なのでしょうか。
次回は『第95話:逆さまの放送』。
校内放送のスピーカーから、時折“逆さに流れる声”が届くという、不気味な伝承を描きます。
―――――――――――――――――――――――
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その本のページが揃っているかどうか、どうか今一度、確かめてください。
語り部は残りわずか。いいねとフォローで、次なる話への扉を開いてください。
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