側近女性は迷わない

中田カナ

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第4話

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「なるほど、そういうことでしたか。殿下の謝罪を受け入れますわ」
 笑顔で答えたつもりだった。

 第二王子殿下が私の方に歩み寄ってくる。
「実はしばらく貴女がいる小部屋の前にいたんだが、かすかだけれど嗚咽が聞こえていた」
 伊達眼鏡を取られてしまい、顔をのぞきこまれる。
 そしていきなり抱きしめられた。
「で、殿下?!」
 突然の出来事に私は抵抗するのも忘れていた。
「本当にすまない。貴女を泣かせてしまうなんて私は最低な男だな」
「いえ、これは私が勝手に落ち込んでしまっただけで」
 殿下が私の頭をなでながら言葉をさえぎる。
「いや、謝らなければならないことはまだあるんだ」
 えっと、何かありましたっけ?
「最初の顔合わせの時に『派手な格好はしない方がいい』と言った本当の理由は、貴女の可愛らしさを他の男達に知られたくなかったからだ」
「えっ?」
 ちょっと待って。なんかヘンなこと言い出してるんですけど。

 しばらく私を抱きしめていた殿下がようやく離れてくれたけど、今度はソファーに並んで座らされた。
「貴女がまだ幼かった頃、宰相の執務室へ時々遊びに来ていただろう?」
「ええ」
 当時、宰相になったばかりの父はあまりに仕事が忙しく、『帰宅しても子供達の寝顔しか見れない!』と不満を爆発させていたので、兄や私は時々執務室を訪ねていた。執務室のソファーに座って本を読んだりお菓子を食べたりして、休憩時間に父と王宮の庭を散歩しながら話をしただけだったけど、それでも十分だったらしい。
「私はその頃から貴女のことが好きだった」
「は?!」
 あれって確か10年くらい前のことなんだけど。
「宰相と話している時の笑顔が本当に可愛くて、ずっと忘れられなかった。いずれ婚約を申し込むつもりで、両親を通じて早くから宰相に打診もしていた」
 ということは、父はずっと前から知ってたってことなのか。
 学院時代、友人達は次々と婚約が決まっていったけど、もしかしてうちはお見合いのストップがかかってた?

「だが、貴女が学院で飛び級するほど優秀であることを知り、考えを改めることにした。ちょうど王宮で女性の登用を増やそうという機運が高まってたこともあり、初の女性の側近として貴女を採用しようと私が主張したら無事に通った。幼馴染から側近になった奴らよりも仕事ができそうだし、側近の方が一緒にいられる時間が多いかもしれないと思っていた」
 いやいや、おかしいでしょ。側近ってあくまで仕事だよね?
「仕事でずっと一緒にいて、真面目で有能な貴女のことがますます好きになっていった」
 今まで仕事で手一杯で、殿下が私にそんな感情を持っていたなんて全然気づかなかった。

「その、貴女は私のことをどう思っているだろうか?」
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